私の知っている井上ひさしの戯曲の中で
最も好きな作品
「父と暮らせば」
父子家庭に育った私にとって
娘を思う父の思いは苦しい程わかるから
観るたびに思わず嗚咽をもらしそうになります。
作品から、井上ひさしの明確なメッセージが、観る側にしっかりと伝わってくる。
失ったものの大きさと重さに胸がつぶれそうになるけれど、
先にはちゃんと希望の光が見え、悲しみの中にもほのぼのとした温もりがある。
「父と暮らせば」は、そんな作品です。
むすび座の人形劇は大好き。
大きな期待をしていました。
小さな舞台の可愛らしい小物たち
それらが醸し出す世界感が素晴らしい。
それなのに、入りこめませんでした。
感性が鈍ってしまったのか、想像力が乏しくなったのか
私には、人形たちが生きているようには見えてこなかった。
人形使いも台詞を言う演者も素敵だったのに
それらが別ものに感じられたのはどうしてなのか、
観る私側の問題のような気がして、
自分にがっかりしています。
人形を操る人が人形とひとつになって台詞を言ってくれていたら、
人形と演者があえて切り離される場面がなかったら、
人形に魂があるように見えたのかもしれない
----と、あれこれ思い悩んでいます。
どんな作品も万人に受け入れられるわけではない。
一方で素晴らしいという人もいれば、つまらないという人もいる。
そんなことは重々わかっている。
でも、心の動かない人間にはなりたくないなあ。
錆び付いたのか私