現在日本漢方には多くの漢方流派が存在する。現在の流派の区別は主に使う方剤がいつ作られたかにより決められてるが、私は使い方で流派を分けるべきだと考えている。純粋な古方派と思われている吉益東洞は、梅毒症例のほとんどに水銀剤を併用している。尾台榕堂はかなり古方の方剤が多いがそれでも六物解毒湯、柴胡清燥湯、柴胡養栄湯、石膏湯などをたびたび使用しており、尿閉に対してはカテーテルにて導尿している。昭和の古方の継承者大塚敬節も初期でこそ後世派を攻撃していたが、矢数道明らと親しくなるにつれ、診療にかなり後世方を取り入れ、逆に師匠の湯本求真に叱責されたと晩年語っていた。最も古方偏重の小倉重成でさえ腸廱湯と十全大補湯だけは使用していた。今の多くの医師は西洋薬と漢方薬を併用して使用している。傷寒論はそのまま読めば指示書にも見える。
しかし傷寒論は傷寒の治療書ではなく、漢方の治療戦略書なのである。
この治療戦略に則って処方をする漢方医を私は古方派だと思っている。私も自分ではまだ未熟ではあるが、この治療戦略を武器に漢方処方しているので、高血圧、高脂血症などに対してはほとんど西洋薬を処方しているが、古方派だと言い聞かせている。
参考文献 儒医両道の仁医 尾台榕堂先生伝 藤平健著 東亜医学協会
傷寒論解釈 小倉重成著 医道の日本社
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