闇よりも暗いもの | アジアの季節風

アジアの季節風

アジアの片隅から垣間見える日本や中国、あるいはタイを気負うことなく淡々と語る


アジアの季節風



丁度1年ほど前にこの本を読み、それに対する感想文 も少しこのブログで書いたのだが、今回もう一度読み直してみて、まだまだ書き足りないと思ったのでもうすこし書くことにする。


アウトドア好きの人なら多分分かってくれると思うのだが、世の中には闇よりも暗いものがある。それは森であり樹木の影だ。


キャンプなんかをしていてふと夜空を眺めた時、よく見ると樹木というのはこの世の全てを飲み込んだように真っ黒なのだ。


その背景にある空はどんな時間でも、闇ではあってもまだまだまだ明るさが残っていて青く見える。それに比べて木の陰は真っ黒だ。


それ程森の暗さは濃くそして黒い。漆黒と言うのはそういうものなのかもしれない。それは何故かというのがこの本を読んで少しわかったような気がした。


今世間では二酸化炭素は悪の権現のように言われているが、果たして本当にそうなんだろうか。


政府もマスメディアもあまりにもそんなことばかりいうから、素直な日本国民は同じようにそう思いこまされているようだが、これって本当にそうなんだろうか、と問うたのがこの本だ。


それによると石油や石炭のような化石燃料を使うと地球上に二酸化炭素(CO2)が増えるのは確かだが、CO2が増えると一般的には光合成の速度があがり植物が増加し、その植物がCO2を吸収してくれるので、CO2濃度は下がっていくらしいのだ。


だからこの地球と言うのは我々が想像する以上にキャパシティーがあると言うことなのだ。


上手い具合に自然循環してくれている為、地球温暖化説を訴える学者がいうほど単純なものでもなさそうなのだ。


つまりこの世で悪者と言われているCO2でも、それを食べて活動してくれるものがいる。それが植物、と言うわけだ。


だからこそ樹木は闇よりも暗くなる、なんて事をいうと、この本の著者の一人である養老孟司さんから、それこそ文科系の人間の曖昧な言葉だと怒られそうだが、私としては敢えてそういう言葉を使いたい気分だ。


それに地球の歴史を見るとそもそも色んな生物が絶滅したりするのは温暖化の時ではなく寒冷化の時だと言うのが常識のようだ。


ただしこの本もCO2をどんどん出せば良いと言っているわけでは勿論ない。限りある資源を大切にしなければいけないのは当然だと言っている。


ただあまりにも歪曲化された報道等に対して異を唱えているだけであり、それよりも大事なものは食糧問題でありエネルギー問題だと訴えている。


と言うことで少しでも環境問題に興味のある人はぜひこの本を読んでもらいたいが、さっきアマゾンで探しても出てこない。


もしかしたら民主党政権に代わってから危険図書と言うことで廃版になったのかもしれないが(まあそんなことはないと思うが)、もし本まで買って読みたくない人はこれ↓を読んでもらったら大筋は理解してもらえそうだ。


「本当の環境問題 書評」:http://www51.tok2.com/home/sendatakayuki/eco2/eco4.html



ところでこの本の帯にはこんな言葉が書いてある。


「地球温暖化を防止しよう」だって? そんな瑣末なことはどうだっていい。大事な「問題」は別にある。


更に帯の裏にはこんなことも書いてある。


日本のように省エネが進んだ世界のモデルのような国が、この上さらに炭酸ガスを減らせという議論をしている。何を考えているのかと思うー養老孟司


「本当の問題」を知らされていないと言う意味で、日本国民は不幸だと思う。京都議定書を正義だと思って、勘違いしている人がとても多いのだからー池田清彦


皆色んな事を言う人がいるので、環境問題に関しては本当はどうなのか私もよくわからないところがある。ただこの本を読む限りはやはりこちらの説が正しいと信じたい。


日本は去年の秋政権交代が起こり、その直後鳩山首相は世界に向けて2020年度の二酸化炭素の排出量を1990年度比25%削減すると約束した。


この本はその2年ほど前に書かれたので、京都議定書で約束した6%の削減に対してさえもとんでもない約束をしてしまったと憂えている。


にも拘らず鳩山さんはそれよりもさらに難しい約束をしてしまったわけで、これから先日本は一体どうなるのだろうと言うのが、この本を読んだ後の正直な気持ちだ。