バター品薄騒動にみる利権 | 読書は心の栄養

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主に自分の最近読んだ本の忘備録

2008年、バターが店で見れなくなるぐらい品薄になった
そして、2009年になると、今度は店頭で余るほど見かけるようになり、
2009年夏にはまた品薄になった

牛の乳は毎日出るし、世界中からバターを仕入れることも可能なのに、
なぜこんなに品薄になったり、余ったりするのか?

通常、国産の品が品薄になったり、値上がりしたりすれば、
小売や商社が輸入を増やしたりしてこの問題を解消する。

しかし、これを阻害しているのが、
農水省の天下り団体「
農畜産業振興機構 」
によるバター輸入独占業務です。

輸入バターは600トンという量までは関税35%が割り当てられるのだが、
これは国際航空会社や国際物産展に既に割り当てられている。
通常の会社は、2次税率(1kgあたり29.8% プラス 179円)の関税を払う。
さらに、輸入業者はわざわざ上記の機構にバターを買い入れてもらい、
農林水産大臣が定めた1kg806円の輸入差益を上乗せされた価格で買わなければいけない
このとき、機構はペーパーワークだけで、年間11億円強が収入になる。

国際価格500円のバター1kgを輸入するとする。
第2次関税が29.8%相当の149円+179円
これに輸入差益806円を足すと合計1634円になる
ここに流通・小売マージンを乗せると2000円を超えてしまう。
つまり、4倍以上の値段になってしまう。

これでは、輸入業者は気軽に輸入できない
海外では安価な外国産バターが日本では法外に高く、高級スーパーや百貨店でしか見かけない理由の一つはここにある。

さらにこの機構はバター輸入する量・時期を決定する権限を持っている。
これでは輸入業者が自分の意思で輸入しようと思ってもできない。

2次関税と輸入差益を撤廃すれば、この問題は解決するのだが、
このお金は上記の機構に流れる。
このうちの7割は酪農家の助成に使われるが、のこりの4億円弱は
役員と一般職員の懐に流れる
役員10人の報酬は合計1億6000万円
一般職員の平均給与も930万円である。
役員の半数以上は農水省OBなのは言うまでもない

この事実を知ったとき、
なぜ、ここが事業仕分けの対象にならないのか不思議でしょうがなかった
このHPにも似たようなことが書いてある。

書籍「日本は世界5位の農業大国」より