しかし、政宗はクライマックスシーンの前に「歌舞く(かぶく)シーン」を作り自らを演出する。最後の最後に美感ただよう一輪の花を咲かせて、それを見せるのだ。それはオーディエンス(聴衆)がいることを意識してオーディエンスに対して歌舞くのであり、そのことで、最後の最後に聴衆を味方につける。
葛西大崎一揆の弁明のための入京では、金の磔柱を先頭に死装束姿の行列であらわれ、京童を味方につけた。
朝鮮出兵の京からの出陣では、きらびやかな軍装行列(写真)で京童を驚かせ心を掴み、「伊達者」と言わしめ味方につけた。
美しき花は咲く場所を選ばない。ただ凛としてそこに咲くだけ。
伊達政宗の一生を通覧する時、私はそんな政宗独自の美学をそこにみる。
そして、わたしもまた、そうありたい! あなたにもまたそうあってほしい!
遅すぎることはない。それは今からでもいい。いや、最後の最後でもいいのだ。