季節はもう秋ですね、これから野球の練習は冬季練習に入り、ボールを使うことは減り、走り込みがメインになってくる時期です。
私自身も何度も経験していますが、特に中学に入って一年目、高校に上がった一年目、この一年目が一番つらく精神的にも追い込まれてしまいます、練習がきつく何度もやめたいと心の中で考えますが、結局野球が好きでやめられない、けど練習がきつい、そんな葛藤を繰り返し一年目を越えると、二年目からは一年目ほどきつさは感じずしっかりと練習に打ち込める。
そんな思いがよみがえるようです。
しかし今になってその冬季練習の意味合いを考えるようになりました、なぜあんなにも走り込むのか?
筋肉を付けるため?体力をつけるため?メンタルを鍛えるため?
チームによって多少の差はあるでしょうが、大まかな部分は同じだと思います、そこの部分を一度、この季節なので考えてみようかと思います。
ご自身で冬季練習の意味合いを一度考えてみて、これからの記事を読んでみると、いろんな角度から物事を考えることが必要なことがお分かりになるかと思います。
■冬季練習をどんな目的で行っているのか
野球をしていた人は皆、冬季練習を一度は経験していることかと思いますが、どんな練習でしたか?
ボールは一切触らず、ただただ走り込んだり、筋トレに励んだりした記憶が私にはありますが、みなさんはどうでしょうか?
もちろん野球だけに限らず、他の競技でも冬季練習はあるでしょうから、その競技の冬季練習についても考えてみてください。
いったいどんな目的で行っているのかを。
ぱっと思い浮かぶのは「体力作り」「筋力強化」「メンタル強化」
これらの三つでしょうか。
おそらくこの部分が多くを占めていると思うのですが、選手たちもなんとなくはわかっていても、具体的にこの冬を越えると身体がどうなって、メンタルがどうなるのかという明確な目標が無いと、つらさが上回ってしまい、練習にしっかり打ち込めない可能性もあります。
単純に練習量が多すぎる場合もあるのですが、その加減は監督・コーチの力量にかかっているので、どうしようもありませんが。
選手達がもし、ケガやスポーツ障害に悩んでいるのであれば過度の負担をかけてしまっているかもしれませんね。
そこには常に気をつけながら練習をしていっていただきたいところです。
さて、先ほどの「体力作り」「筋力強化」「メンタル強化」
これらの3つを目的にするとして、最終的な目標は何処に置くのでしょうか?
体力なら、例えば1500mのタイムでしょうか。
筋力なら、ベンチプレスでの記録でしょうか。
メンタルなら、最後まであきらめない心を手に入れますか。
ここではないと思うのです、最終的な目標はこれらの体力、筋力、メンタルを合わせ、個人個人のパフォーマンスを上昇させ、試合に勝つことではないでしょうか。
この部分が選手たちにしっかりと伝わっているかどうかで練習の効果を倍加させるか半減させるか、すごく大事だと思います、選手たちはしかり理解してくれているでしょうか?
監督・コーチとのコミュニケーションをしっかり取りながら、これからの冬季練習をより効果の高い練習へと昇華していってほしいと思います。
■「体力作り」を目標とするのであれば
冬場の体力作りは基本的には走り込みが多いと感じます。
私の場合は300mのトラックを石灰で描き、そこにみんな集まって、タイムをはかったり、競争したり、サーキットトレーニングを行ったり。
練習時間は短かったですが、内容が濃く、とても辛いものではありましたが、楽しかったです。
ではこの走り込みは体力作りにどのような効果をもたらしているのかを説明していきましょう。
まず、よくいわれるのは投手が走りこむことでスタミナがつき、それによって速いボールが投げられたり、コントロールが良くなるという「誤解」があります。
スタミナがつけば技術がうまくなるのか?という部分ではおかしいところに気づくかと思います、投げるスタミナと走るスタミナは違うということです。
「投げるスタミナ」をつけるためには「投げる」しかないのです。
これだけだと「走る意味ないやん!」って突っ込まれそうなので、もっと深く行きましょう。
走りこみをするうえで第一に考えることは、最終的には試合での体の使い方に対して練習を行うことが大事です。
投手の場合、なかなか長い距離(数十キロ)を走るところもあります、ここで先ほどの話になるのですが、これは長い距離を走るスタミナを得る練習を行っていることになるので、これだけ走ったからといって=コントロールが良くなるとかスピードが上がるというわけではありません。
コントロールを上げるならそれに対する練習を行うほかありませんし、スピードも同じです、ではなぜそんなに長い距離を走るのか?
それは野球における長い練習に耐えるためです、たとえばコントロールを上げたい、スピードを上げたいとその練習に打ち込む場合、練習は良くてもそれを繰り返し行う根本的な「体力」が無いことにはしっかりと練習することができません。
体力もそうですし、メンタルも同じく強くなければよりレベルの高い練習には耐えられないため、しっかりと基礎体力が必要になるのです。
ですから結果的に、直接ではないですが、コントロールをよくするために走りこむというのも関係していないわけではないのです。
ちなみに、単純に長距離を走る心肺機能を上昇させるには週に少なくとも三回、有酸素運動を行う必要があります。
高校生などの練習なら文句なしで回数はクリアしていますし、強度も申し分ないかと思いますが、約12週ほどで体が適応してくるのでそこを目安になにか練習メニューを変えてみるなどの刺激の変化をつけることが大切です。
ずーっと同じ刺激であれば体がその刺激に慣れてしまい、体力の向上がとまってしまうためです。
そこを考えたうえでもう一度自分の走り込みがどうなのかを考えてみましょう。
■「筋力強化」を目標とするのであれば
冬場には先ほどの走りこみと、ウェイトトレーニングがあります。
これもしっかりと自分の中で目標をもって行うことがとても大切になります、その目標は「何キロ持てる」とかではなく、それを自分のパフォーマンスに活かし、こんな動きやプレーを行えるようにとか、打球の飛距離を伸ばしたい、スイングスピードを上げたい、球速を上げたい、コントロールを上げたい。
それぞれに対して適切なトレーニングを行わなければなりません。
ただベンチプレスの記録が上昇したからといって飛距離が伸びたり、球速が速くなったりするわけではないのです。
球速を上げたいのなら、下半身や腹筋、背筋を鍛えるのが良いでしょう、球速は全身の力が最後にボールに伝わることで発生しますが、そのパワーの60%は下半身からきていることと、そのパワーをしっかり伝えるためには体幹(腹筋・背筋)がしっかりしていないことにはいけません。
このように目標をもってウエイトトレーニングを行えばよいかと思います。
コントロールも、飛距離を伸ばすのも、スイングスピードもそれぞれに対するトレーニングを行いましょう。
さて、「筋力強化」ということはパワーをつけるということですが、このパワーは力×スピードの積で現すことができます。
それなりの力とスピードが必要であることがわかりますね。
パワーは爆発力や瞬発力という言い方をするように、瞬間的に出す爆発的な力であるといえます、こういった能力が高まったときにパワーが爆発するのです。
スピードが無ければ決してパワーは大きなものにはなりません、一流の選手は反応も早いし、力もあります。
ではパワーを高めるためにはどうすればよいのか。
筋力を高めることも1つの方法です。
現在のスピードをそのままに力を上昇させることが考えれますね。
これでもあるレベルまではパワーをレベルアップさせます。
もうひとつは反射や反応といったスピードのレベルを高めることです。
スピードを高めることによってもパワーのレベルをアップすることができます。
バットスイングだと、重いバットを振った後に軽いバットを振ります、重いバットを振ることは大きな力を必要としますから、この後に軽いバットを振ることで、スピードの中にも大きな力が加わり、スピードを強調することができます。
パワーは力とスピードの積で現されます。
力は筋力強化を行うことで上昇させることが可能なのですが、スピードは先天的な部分が大きく、向上させることが難しいのです。
ですのである程度までは筋力強化でパワーを上昇させます。
あとは今持っている力とスピードをパワーに変換できる動作の習得を行うことです。
体をどのように使えばよいのか、その使い方、使う順序を指導することでもパワーを上昇させることができるのです。
この体の使い方をうまくできれば楽に大きなパワーを発揮することが可能です。
自然な体の使い方はとてもリラックスして美しいものです。
■メンタルの強化に関して。
正直のところ、冬の走りこみはこのメンタルの強化がメインなのかもしれません。
走りこみはとてもつらくしんどい、正直いやです。笑
しかし、そんな状況でも踏ん張って最後まであきらめず、みんなで鼓舞しあいながらやり遂げる、どんなに体が疲れていても走る!
そんなつらい状況でもがんばって、力を振り絞る。
声を出す。
足を動かす。
体を追い込む。
正直試合ではここまで体を追い込むことも、メンタルで追い込まれることもあまりありません。
しかし、「最後まであきらめず力を振り絞る」
この部分は試合では大きな意味を持ちます。
みなさんも高校野球などを見ていればお分かりになるかと思うのですが、野球では最後の最後まで勝つか負けるかはわかりません。
その勝敗を分けるものはさまざまあります、個人個人の力量、レベル、サポート、チーム力。
あとは「精神力」
どんな状況であれ、「勝つ」と思い続けるか、「ダメだ…」とあきらめるか。
これは天と地ほどの差があります。
これまでも歴史に残る「大逆転劇」が繰り広げられてきましたが、そんな逆転をしてきたチームの選手たちは必ず「最後まであきらめない」という精神力があったはずです。
ここが勝敗を分かつ重要な部分であり、野球の面白いところでもあります。
このためにメンタルを強化する必要があるのです。
しかし、ただ闇雲にきつい練習をして、体をぼろぼろにしろとはいいません、限度はあります。
それは監督やコーチの判断がとても重要になってきます。
選手個人個人の体力、メンタル、体調、表情、いろいろなところに気を配り、最後まで練習を行わせるようなプログラムを立てなければなりません。
その中で選手たちに明確に目標を持たせ、モチベーションを保ちつつ、体を、心をレベルアップさせる。
大変ですが、そんな作業を日々繰り返し、繰り返し、繰り返した後に待つ栄光のためにがんばっている。
そんなことを考えると高校野球は楽しいものだと改めて感じます。
話それちゃいましたね。すいません笑
■まとめ
〆冬季練習もしっかりと目標を持ち練習を行うことが、練習の効果を格段に飛躍させる。.
〆体力は何のためにつけるのかをしっかり理解しておく。
〆筋力は力とスピードの積で現されている、筋力の向上と反応などのスピードを両方レベルアップさせる
〆メンタルは試合においてとても重要な部分であり、試合の結果をも左右するかもしれない。
という内容です。
最後は根性論みたいになってしまいました、しかし、しっかりと練習にはそれぞれに効果があり、その効果をしっかりと理解しておかないと、その練習が本番で活かすことができないことも考えられます。
練習を行っている選手たちも、それを見ている監督やコーチ、それに保護者の方も理解しておいてほしいと思います。
ただ、冬だからボールやバットを使わないと決め付けるのだけは避けておいてください。
たとえばあまりまだ上手くない子は冬でも軽くバットやボールを使っておかなければ他の子には追いつけません。
体は冷えやすいため、怪我にはよく注意しておかなければいけませんが、すこしでも扱いに慣れることはとても重要ですよ。
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