夫が浮気をしてもよいという誓約書の効力 | 弁護士吉成安友のブログ

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荒川区西日暮里に事務所を構える弁護士。
大分県豊後高田市の若宮八幡神社の宮司を900年務める家に生まれ,神職資格を持つ。
Rockな魂と仕事への情熱であらゆる分野で最強を目指し日々研鑽しています!

 弁護士の仕事のかなりの時間は裁判例,判例の調査に費やされます。

 今の時代,裁判例,判例の調査は,パソコンを使います。

 グーグルなどの検索と同様,キーワードを入れて,探していく。

 グーグル検索でも求める情報にいきつくためには,キーワード選択のセンスが問われますが,裁判例の検索でもそれは同様です。

 もう一つ,似てるのは,狙った情報ではない情報も出てきて,ついついそれに興味を引かれて,本題を忘れていくということ(笑)

 今回つい興味を引かれたのは,妻が「結婚するにあたり,A様が浮気してもやむを得ません,騒ぎません。ここにその事を誓います。」という文面の誓約書を書いていて,夫が浮気をしたという事案。

 妻が浮気相手を訴えたんですが,浮気相手は,妻がこのような誓約書を書いたことが浮気の誘因になったとして,過失相殺の主張をしました。

 過失相殺は,民法722条2項に規定があり

被害者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を定めることができる

というものです。

 しかし,裁判所は,

本件誓約書は,Aが婚姻を切望する原告の弱みに付け入り交付させたものであり,原告の真意を反映したものとは解されず,その内容も,婚姻時にあらかじめ貞操義務の免除を認めさせるものであって,婚姻秩序の根幹に背馳し,その法的効力を首肯し得ないばかりか,社会的良識の埒外のものである

として,浮気相手の過失相殺の主張を認めませんでした。

 これは浮気相手に対する請求の事案ですが,夫に対する離婚請求や慰謝料請求においても,誓約書があるから許されるという主張はなかなか通らなそうです。



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