東京電力株の今後 | 木村佳子のブログ

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社会とのコンタクトポイントの一分野として経済・株式市場をとらえ、分析する過程で資産運用力を磨き、人間として深い「知」を獲得しよう

東京電力株の今後。

保有している人にとっては一大関心事であると思います。


というのも投資に詳しくないけれど電力株なら持つという人は少なくなかったので、今の今、どうしていいかわからない。

株は好きではないけれど電力株ならまあいいか、と一定額保有している方、親から株を受け継ぎ、配当をもらい続けてきたという方もどうしていいかわからない。


電力株はかつて高配当、安定的株価推移の代表的存在で、債券感覚で何千万円も電力株を持つ人がいて、そういう人たちは今も株を持ったままだろうと思います。


通常の株価崩落なら、長期保有である程度、株価が戻ることは考えられます。

しかし、3.11の被災で、状況はかつてと全く変わってしまいました。

株価は大きく値下がりしたままで、回復の気配もありません。

特に東京電力株の値下がりはひどいもんです。

チャートはゴールデンチャート オプティキャスト

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これからどうなるか?

約30年間、株式市場を観察してきた私の経験則からいうと、今は「あきらめて売る人待ちの相場」といえるでしょう。


モデルはJALです。

ダメだ、ダメだと言われながら、JALもずいぶん長い間、上場されました。

無配当になっていましたが優待があったので、それに惹かれて保有する人もいました。


ちなみに私は無配当なのに優待が魅力的な株式の保有は勧めしません。株は本業の成長力が株価上昇の原動力になり、ひいてはそれが配当原資になるので、配当ができない会社は成長力が著しく鈍化しているとみなせるからです。配当と優待をもらい続けて株価が値上がりするまで待つ作戦を取るにしても、無配当になったり減配になったり、不祥事が続発したりという状況なら保有銘柄は入れ替えなければならないのです。


無配当、株価低迷は経営資源の劣化とみなすことができます。製品価値もさることながら、現経営陣に問題がある場合もあります。

そして、通常ならば、利益を生み出せない経営陣は株主の力で交代させるべきなのです。


しかし、経営陣と大株主が結託すれば経営刷新はなされにくくなります。そしてこういう企業風土が大株主にいい顔をする傾向を強め、インサイダー取引を生み出す温床にもなり得るわけです。


さて、JAL、そして東電の話です。

ダメになるまで放置され続けた期間=その時と東電の今の株価展開がどうにもかぶります。


JALは株主責任もあるとして、つまり、そんな経営を許していた株主も責任分担ということで会社更生法申請、上場廃止となり株価は紙くずになりました。


上場廃止までの不思議に無風状態だった間、誰が最も潤ったかを想像することが一番こうした案件のダークサイドの理解に役立つでしょう。給料、報酬、役職、権限、資産処分の周辺、利権・・・。いろいろな角度から見てみることです。


東京電力もこのJALといずれ同じような道をたどるのではないでしょうか。


いま、なぜ、上場されたままなのか?をよくよく考える必要があります。


JALと同様に解体の過程に様々な利害が絡むから、それをほぐす期間が必要なのではないか。

その道筋がつくまでの間がいわば猶予期間。


解体のプロセスに絡む様々な利権享受者はかつては数千万円分だった株を保有する程度の個人投資家のことなど考えていないと思います。ましてや1000株、100株の小株主のことをや。


道筋がつくまでは上場という形でいつでも売買できるようにしておくからご判断はご髄に。JALは紙くずになりましたよ、あなたはそれも覚悟で株を持ち続けましたね、といつか問われるかもしれません。

株価の発信しているメッセージがあるとすれば、そんなところだと思います。


そして、個人投資家があきらめあきらめして去ったら?


こんなふうに再生するのでしょう。

朝日デジタルの記事


ちなみに電力が足りないという話に役立ちそうなのはエンロンのドキュメンタリーです。

大嘘はこうしてつかれたのだと知れば、やみくもに何でもうのみにしてはいけないということがわかります。