もうこれ以上は聞いていられない…
震える指でスマホにタッチして、通話を終了しようとした時、
『それは、お前にだろ?』
リーダーがそう言った。
潤くんに?潤くんが?リーダーに?
混乱する。
意味が、わけがわからない。
『おまえの気持ちはわかってるけど、オレは応えられないよ、って、ちゃんと話したじゃん』
リーダーは珍しく声を荒げている。
声もだんだん大きくなって…
『オレは、にのが好きだって』
え?
いま、なんて…?
息を飲む。
『好きって、どういう好き?』
『松潤…おまえ、なんかヘンだぞ?
まさか、飲んでないよな?』
『んなわけないじゃん、フツーだよ』
『だって、あんな真剣に話し合ったのに、なんで』
『あんたの言葉が真実かどうか、確かめたいから』
『真実だよ!』
『じゃ、もっかい聞くよ?大野さん、あんたが想いを伝えたいのは、だれ?』
『…にの』
『なんて言うの?』
『なんて、ってそれは、にのに言うよ』
『ニノが、拒んだら?』
『何回でも言う』
『ニノが、あんたとおんなじ気持ちでも、無理だって言ったら?』
『言わせない』
『言わせないって、それは何?自信なの?』
『うん、言わせない。言えないようにする』
『どうやって?』
『好きだって言って、抱きしめて、離さない。
にのの迷いも不安も全部まとめて引き受けてやる。
そんで、オレの全部、あいつにやる。
今のオレなら、それが、出来る』
少しの間。
きっと、三人とも、息を止めている。
『なぁ、オレは、にのに会いたいんだよ』
無言…
俺は、ソファで息を潜めて、膝をかかえて、ただ涙が溢れてこぼれて…
『ニノ』
はっ、と顔を上げた。
『聞いてるか、ニノ?』
『ちょ、なに?』
『ニノ、誕生日おめでとう!』
『おいっ、おまえ、わけわかんねぇ』
『ニノ、今から、プレゼント届けるから!』
プッ…
「切れた…」
はは、と、泣き笑いがもれる。
J、これはダメだよ、反則だ。
こんな演出、台本もリハも無しで、俺、どうしたら…
リーダー、叫んでたな。
あの人、全くワケわかってなかったな。
おかしいな、笑ってるのに、涙が止まらない。
J…
プレゼントは、ほんとにここに届くの?
ほんとに……?