[顎骨骨髄炎]
(gooヘルスケア)
<どんな病気か>
骨髄の炎症で、同時に骨質および骨膜も侵される難治性の病気です。
<原因は何か>
口内細菌によって、う蝕(むし歯)から歯髄炎になり、治療後の歯が再び悪く
なって起こるケースが最も多くみられます。
また、顎の腫瘍や骨折などでの2次感染によっても起こります。
局所の要因のみでなく、糖尿病などの全身疾患、栄養障害、生体の免疫力の
低下や代謝障害が背後にあることもあります。
<症状の現れ方>
原因となる歯の周囲の歯ぐきが広い範囲で発赤し、はれが著しく、歯は動揺
(グラグラする)します。
また、歯ぐきから自然に膿が出るようになります。
歯、歯周、歯槽骨の深部に激痛が起こり、やがて近くの数歯にわたって
歯ぐきのゆるみや歯の動揺があり、これらの歯を叩くと痛み(打診痛)があり
ます。
また、腫れている側の下口唇に知覚異常が現れます。
骨髄の中で病変がどんどん悪くなり、それに伴って痛みの範囲も広くなり
ます。
稀に症状がひどくは現れず、慢性化することもあります。
全身的な症状としては、初期の悪寒を伴う高い発熱、食欲不振、全身倦怠感が
みられます。
<検査と診断>
X線検査(CT撮影)、MRI検査、血液検査(白血球の数や種類、赤沈)を
行います。
骨に異常のある時は、がんなどの腫瘍性病変との区別が必要になります。
<治療の方法>
発熱による全身的な消耗が強ければ、安静にして対症療法を行います。
抗菌薬の点滴静脈注射だけでなく、骨髄の病変部を抗菌薬を含んだ液で
洗い流す治療が必要です。
炎症を起こしている部分の骨を表層より削りとったり、骨の切除などの手術が
行われ、場合によっては高圧酸素療法も併せて行われます。
慢性化して再発を繰り返すことが多いので、急性期が過ぎたら、原因となって
いる歯を抜歯し、腐った骨を除去します。
予後はあまりよくありません。
<病気に気づいたらどうする>
全身症状を伴い、長い経過をたどるので、早めに口腔外科のある総合病院や
大学病院の歯科口腔外科を受診しましょう。
(執筆者:福田仁一)
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10D40100.html