嗅覚の低下がアルツハイマー病の予測因子に | 横山歯科医院

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[嗅覚の低下がアルツハイマー病の予測因子に]

(薬事日報 HealthDay News2007年 7月3日)


嗅覚の低下が認知障害の初期の徴候である可能性が示され、米医学誌
「Archives of General Psychiatry」7月号に掲載された。

研究を率いた米ラッシュRushアルツハイマー病センター(シカゴ)神経
心理学教授のRobert S. Wilson氏によると、すでに軽度の認知障害がある人に
嗅覚の低下がみられることは過去に報告されているが、研究開始時に認知
障害が全くない人を対象にしたのはこの研究が初めてだという。


今回の研究では、平均年齢約80歳の高齢者589人を対象に、12種類の匂いを
嗅がせ、それぞれ4つの選択肢から同じ匂いを選ばせる嗅覚検査を実施。
その後、神経機能および認知機能の検査を年1回、5年間行った。
研究期間中に117人がアルツハイマー病の初期徴候と疑われる軽度の認知
障害を発症。
嗅覚検査の成績が平均未満であった人は、平均以上だった人に比べ軽度認知
障害の発症率が50%高いことがわかった。

この結果は、アルツハイマー病が脳の特定部位の障害から始まり、それが
広がって思考領域を侵していくという考えに一致するものだとWilson氏は
述べている。


米アルツハイマー病協会(AA)医学科学諮問委員会のSam Gandy博士は
この理論をおおよそ支持しているものの、嗅覚検査が認知障害の指標になると
主張するには、第2、第3の集団で二重盲検法による評価が必要と指摘して
いる。


今回の研究で用いられた嗅覚検査の開発者、米ペンシルベニア大学メディカル
センターのRichard L. Doty氏によると、この検査はすでに臨床の場で利用
されているという。

パーキンソン病およびアルツハイマー病の患者を血縁者にもつ人を対象に
この検査を実施した結果、後に疾患を発症する人には嗅覚の低下がみられる
ことが示されており、鑑別診断にこの検査を利用する神経科医もいるという。

この検査は5分ほどで実施できるが、Wilson氏によれば、アルツハイマー病の
進行を止める有効な治療法がない現在、誰もがすぐにこの検査を受けるべきと
いうわけではないという。

しかし、脳のアミロイド蓄積を標的とする薬剤が有望であることが示されて
おり、もし疾患の進行を止める治療が可能になれば、早期発見にも意義が
あるという。

ただし、その場合でも嗅覚検査単独での診断ではなく、さまざまな方法の
うちの1つとして用いられることになるとしている。


http://www.yakuji.co.jp/entry3725.html