こんにちは、横浜トリエンナーレサポーターLOGBOOKチームの本田です。

 …が、なんと!

 今日は一日限定サポーター事務局インターン(お試し版)の本田として、先週末2月14日(日)に行われたゼミⅡ期~ゲストトーク&アクティビティその3~「グループワークを進めよう!!!」の第1部について報告させていただきます!

 2016年最初のゼミ第一部では、われらがサポーターの講師でもある演出家の市原幹也さんと映像作家であり音楽家でもある岡本憲昭さんをゲストに、アシスタントとして中川ゆかりさん(俳優)、吉見茉莉奈さん(俳優)にも参加していただき、ワークショップ「目に見えない『空気』を見る、撮る、観る。」が行なわれました。



 まず最初にゲームをする人たちとそれを眺める人たちという状況をつくり、その光景を岡本さんが撮影。その状況の中にうまれた緊張感や空気感(=目に見えない『空気』)を、映像を通して共有できるのかを検証してみる。そして次はもう一度その状況をつくり、今度は希望者がスマートフォンで『空気』を動画撮影し、それを観ることができるのかを試してみる。ということを行いました。

 ゲームはゲストトーク参加者から選出した3名と中川さんとの4人でスタート!ゲームでは、ピンポン球を使います。これは、市原さんがかつて鐘下辰男さん(劇作家・演出家)の演出助手をされていた際に学んだワークショップの手法を応用したものだそうです。
 円形に座った4名のうち、市原さんに指名された人は他の誰かに向かってピンポン球を投げます。そして投げられる人は当たらないよう避ける。といった簡単なルールなのですが、指名する際、4名は目を閉じているのでお互いに誰が投げるかわかりません。そして投げる人が決まったら1分間無言の時間がとられます。その1分間で誰がどのタイミングでどこに投げるのかを、沈黙の探り合いが繰り広げられるのです…!
 


 他の参加者は観覧に回っているので、誰が投げるのかわかっています。それでもいつ投げるのかはわからないので、この先の展開はどうなるんだろうとドキドキです。
 探り合い中は目線を動かす人もいればリラックスして全く動じない様子の人がいたり、探り合いの時間開始直後に撹乱するかのように、肩を回して投げる準備をしているかのような動きをみせたのには思わず会場から笑いが(笑)
 そして1分経過…すぐにピンポン球が投げられ、見事、相手に命中!! 
 ゲーム終了後、探り合い中どこを見ていたのかを参加者に尋ねると、相手の目や手であったりとそれぞれ見ているところが違っていて面白かったです。

 そしてこのゲームの様子をスマートフォンで撮影していた岡本さんの映像を全員で観賞。
 岡本さんは、椅子に座っている4名とそれを囲んでいる人たちを一つに収めるように撮影していました。探り合い中から球を当てるところまでの映像だったのですが、実際に見ていたところからは死角になってたところを見ることができたり、観覧している人はこんな表情で見ていたのかという発見がありました。
 緊張感といった『空気』を感じられるか、という点については、生で見た方が感じられるとの感想が。じゃあ何が違うのだろう?と考えたとき、視点の違い、というのが出てきました。

 では、次は何人かの視点を観てみよう!ということで撮影をしてくれる希望者数名を募り、もう一度『空気』を撮影してみることに。



ゲームはメンバーをチェンジし、参加者、中川さん、吉見さん、そしてゲストトークを聞きにいらしていた俳優の方にも急遽参加していただき、女優4名による戦いです(笑)
 撮影者の方たちもスタンバイしゲームスタート!前回の探り合い中よりも、何だか空気がピリッとしているように感じられますが…結果、残念ながら狙いが外れてしまいました。

 この光景、この空気感を撮影者の方々はどう撮っていたのでしょう。撮影者のコメントも聞きつつ観賞会です。
 


 「自分が思っていたのとは全然違っていた。」「改めて観たら他のところも気になって、普段自分が無意識にキャンセルしているものまで映り込んでいる。」「やっぱり女優さんの顔が気になって。」等のコメントが。どの動画もどれも視点が違っていて、移動しながら状況を見ていたり、ある一点に集中したり、撮影中の撮影者を撮影したりと、それぞれカラーが出ていました。(中には録画ボタンが押されておらず幻となってしまった作品も(!))
 「“何をとるか”ではなく“何をみているか”」と岡本さん。スマートフォンという今や誰もが持っているもので、録画ボタンを押して、止めて、と動作としては単純なものだけれど、こんなにも違いが出てくるかと興味深かったです。
 鑑賞後、「球が投げられるシーンが映ってないけど、映っている人の表情や撮影者の反応(体が反応して画面が動く)でフレームの外で何かが起きたことが伝わってきた。」という感想があり、普段映画で活動していらっしゃる中川さんも「あえてフレームを設けることで、その外もみえてくることがある。」とコメント。また、視点がたくさんあることで、それぞれが補完しあって観ることができました。
 
 普段自分が何かをみているかを改めて意識する機会はなかなかないですが、そこにカメラを挟んでちょっと距離を置いてみたり、他の人の視点を借りてみたりしてみるとおもしろい発見があります。また、たくさんの視点がみられるというのは本当に様々な人が集まっている『ハマトリーツ!』という集団ならではですね。