日本のRPG/と制作者に求められるスキル | ヨコオタロウの日記
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ある小さな時代は、独特の醜いやり方で、
ほかのすべての時代を誤解する。

/ ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン



黒川文雄のサブカル黙示録:RPGが世界に通用しない理由 エンタメ市場の危機
http://mainichi.jp/enta/mantan/column/kurokawa/news/20090115mog00m200036000c.html

「日本のRPGは既にガラパゴスなのでは?」というよくある意見。
その内容はさておき、文中に出てくる「ゲーム関連会社に勤務する古い友人」の言葉が面白い。

> 12月に発売になった『フォールアウト3』がいい例だと思うよ。
> 日本のクリエーターが『できない』といい続けてきた、瞬時に視
> 点が切り替わる。一人称、三人称、俯瞰(ふかん)の視点までね。
> コレって今まで、言い訳ばかりで誰もやろうとしなかったことなんだよ。

何が「いい例」なのかさっぱり判らない。
複数の視点への対応なんて、言えばやってくれる気がする。

今まで作らなくても良かった場所(たとえば主観では見えない屋根の上とか)を作らなくてはいけないからコストがかかるけれど、そのコストを超えるメリットを説明出来れば全然やってもらえると思う。もしくは予算をどっかから引っ張ってくるとかすればいいだけで。



あと、フォールアウト3とかを例に出して「RPG分野で日本負けてる」ってのはいくらなんでも乱暴過ぎる。あれはFPSとかTPSとかの文脈から出てきた別のジャンルのゲームであって、日本のコマンド選択RPGとは全く違うモノ。
北米ではジャンルとして固定化していなかったから、自由なゲームが出てきた訳で。

もし仮に、日本のRPGがフォールアウトみたいな進化を遂げられなかった事を反省するとしたら、今は日本型でもフォールアウト型でもない全く新しい形のRPGを提案する必要があるけれど、そこに20億とか持ってこれるヒトはほとんど居ない。
せいぜいが、「フォールアウトを何故日本では作れないのだ!」と怒るくらい。

でもまあ「まったく新しいモノを作るから金をくれ!」と言っても、そりゃ難しい。
今、日本のRPG制作者に求められているのは「フォールアウトみたいな北米指向のRPG作りましょう!」と大金を引き出した挙げ句、全然違うモノを仕上げるような奇天烈スキルなのではないだろうか(と、まとまった風に言ってみる)。