宇宙で2番目にダメなゲーム企画書の書き方 その04 | ヨコオタロウの日記
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あなたが明日会う人々の四分の三は、
「自分と同じ意見の者はいないか」と必死になって探している。
この望みをかなえてやるのが、人に好かれる秘訣である。

/ デール・カーネギー



タイトル変えました。
「企画書」→「ゲーム企画書」
なんか普通の会社の就職用には役に立たないですから。
ゲーム業界の就職用に役立つかどうかもわかんないですけど。

あと、昨日の日記のコメントで教えて頂いた衝撃の事実。

「FPS+サッカー、はもう存在する。」

ttp://www.deathball.net/

※ウィルスに感染するサイトであるとのご指摘を頂きましたので、リンクを外させて頂きました。

うはーん。
何事も事前の調査は大事という事で……
でもこのままいきます。いかせて頂きます!



今回は企画書の文字とレイアウトのベースを作ります。
ようやく見た目が進歩すると。

基本的に、職業プランナーが企画書を書くときは

1・やる事を決める
2・構成を考える
3・レイアウトを作る
4・完成

という流れになります。たぶん。
そんなわけで本来なら構成を決める訳ですが、就職用企画書は先にレイアウトを作ります。

理由
・レイアウトから文章構成を考えた方が楽だから。
・極力文章を少なくするため。

経験者はレイアウトを大体イメージしながら構成するんですが「レイアウト?何それタイトーの新しいシューティング?」みたいな学生さんは、レイアウトから構成を作った方が圧倒的に楽だと思うわけです。



とはいえ、いきなり「レイアウトせよ」と言われてもDTPというかデザインの授業を受けていない学生さんには酷な話。しかし今からデザイン学校に入ってDTPを覚えるのも時間が無い。
と言うわけで、本当は何年もかけて勉強するようなデザインの奥深い世界をたったの7行で説明。

・「大見出し」を1ページに一個置く。
・「中見出し」は1ページに2~4個まで。
・「本文説明(中)」は短く簡潔に。
・「サブ説明(小)」は読めなくてもイイ内容を。
・フォントと大きさは4種類まで。
・外枠エリアに文字書いちゃダメ。
・文字は全体エリアの60%まで。

全然わかんないですな。



サンプルを作ってみました。


http://www.bukkoro.com/taro/u2dgkk/pdfs/sample_080131.pdf

P1・表紙(これまで通り)
P2・レイアウト案A
P3・レイアウト案Aの解説
P4・レイアウト案B
P5・レイアウト案C

このサンプルの特徴は3つ。


★文章量は少なく。
大体は「こんな素晴らしいアイデア思いついちゃった!」とどんどん入れ込んでいくウチに、わけわかんない長大な企画書になるわけですが、人間が一度に見て把握出来る文章量なんてたかが知れています。なるべく簡潔にするのが良いかと。

★内容の階層化をする。
見出しを付ける事で内容の階層化を行い、理解の手助けをします。
ついでに、作る方も考えもまとまる一石二鳥な作戦。

★最低限のデザインをする。
「デザインを全く知らない人」が手っ取り早くなんとか作る為の最低限のルールと、奇抜すぎないレイアウト。
大まかなやりかたさえ判れば「レイアウト案A」と同じように「B」も「C」も作れると思います。
見た目で一番近いと思うのは「電車の中吊り広告」ですかね。


あとこれは重要なポイントですが、なるべく印刷して確認したほうがイイです。
やっぱりモニターで見る印象と紙で見る印象は異なります。慣れないウチはとにかくトライ&エラーを繰り返した方が安全。



フォント選びも奥深い世界ですが、3行で解説すると

・大雑把に言うと「ゴシック体」「明朝体」「その他」がある。
・「ゴシック体」はカッチリしたイメージ。
・「明朝体」は繊細なイメージ。
・「その多」は特殊な雰囲気。
・太い文字を使うと力強くなる。

5行じゃん。
でもまあ、そんな感じなんで企画に合ったフォントを選んでください。
今回は「FPS+サッカー」なのでパワフルなイメージが出せる太いゴシック体を選んだんですが、これで恋愛ゲームの企画だとしたらちょっと力強すぎます。丸文字で可愛い感じにしたり、細めの明朝や筆記体と呼ばれるフォントを選ぶのが良いんじゃないでしょうか。
まあ、パワフルな恋愛ゲームも悪くは無いですが。



というわけで今日はここまで。

実際の仕事現場では、ここまで文字の少ない企画書はほとんどないです。
ちゃんと対面で説明しながら見せる企画書はもっと文章が多くても会話でフォロー出来ますし、デザイン性を強調してOKであれば文字を小さくして余白を取る方法とかもあります。

あくまで「大手ゲーム企業の就職用に送る企画書」です。
先方は時間が無いので、文字もあんまり読まない。
純粋プランナーだからデザインにフォーカスしてない。
そういう予想をベースに作られたレイアウトなわけです。

何事にも万能なレイアウトやフォントが有るわけではありません。
必ず全部読んでもらえる前提があったり、デザインにこだわっている会社(チーム)である事があらかじめ判っているのなら、こんなサンプルではない方が良いでしょう。

迷わないように説明ではかなり断定調で書いてますが、本当の正解はたくさんあります。
ただ、

「企画書には、100通りの書き方がある」というより
「企画書には、100通りの受け取られ方をされる」

という方が実態に近いようなそうでないような(どっちだ)