Q.お粥について教えて下さい | 横浜嚥下研究会

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私たちは横浜、湘南、横須賀の医師、歯科医師、コメディカルの有志で作られた会です。嚥下障害の臨床を追求し、より質の高い臨床を患者さんに提供出来ることを目指しています。

第4回お口のトラブル飲み込み勉強会にて会場参加者さんからの質問に答えさせて頂きます。


Q.お粥を見て感じることがあります。お粥ペースト食の中に、均一物性ではないと誤嚥する人がいらっしゃると思うのですが、そんな方はただのお粥でも 大丈夫でしょうか?一部の方では柔らかいお粥でOKとなっています。


A.おかゆ(お粥)は精白米をやわらかく炊いたもので、その濃さは、米と水の割合によって決まります。

全がゆ(20%がゆ)は米1:水5の割合、

七分がゆ(15%がゆ)は米1:水7の割合、五分がゆ(10%がゆ)は米1:水10の割合、三分がゆ(5%がゆ)は米1:水20の割合です。

なお、普通の精白米のご飯は米1:水12程度の割合、胚芽精米のご飯は米1:水15程度の割合です。(農林水産省HP引用)

 

2.おかゆの問題点

お粥を均一にしようとして、調理時に粒が潰れて無くなるほどかき混ぜすぎると、

米の糊化(α化)した澱粉が粘度を極端に増してしまい、糊を作った状態になります。

それが調理後冷えると固まってしまうような高粘度になると思います。

その状態で食べると付着性が強いので、特に窒息に対してリスクのある物性だと思います。

 

一般的な調理法で作ったお粥は米粒を潰さないように炊きますので、溶けのこった粒が残ると思います。

米から溶け出したでんぷんは加熱により適度な粘度が出ています。

特に薄いお粥の場合には米の澱粉が溶けて適度な粘度がついた液(おもゆ)の中に柔らかい粒が混じった状態となっています。

やわらかい極刻み食にトロミあんかけのような状態ですので、食べやすい物性だと思われるかもしれませんが、唾液中にはでんぷんの消化酵素(αアミラーゼ)が分泌されておりますので、このような薄いおかゆが口腔内で保持されると、αアミラーゼは数十秒でおもゆの部分のデンプンを分解してサラサラの液体に変化させます。そのため、口腔内では固形物と液体の「混合物」に変化します。

プロセス嚥下で咀嚼を行っている時には軟口蓋と奥舌の間が開いていますので、

咽頭に液体部分が先に流れ込みやすくなります。健常人は先に流れ込んできた液体部分を嚥下することで処理できますが、嚥下反射の遅れなど咽頭期に障害がある場合は誤嚥のリスクがあると思われます。

また、口に入ったスプーンに付着した唾液がお粥のお茶碗に混じることで、食べている途中からおかゆのおもゆ部分が液状になってしまう場合もあります。

 

3.対策

口腔内で保持しても液体にならないように加工した「おかゆゼリー」を作るために開発されたのがお粥ゼリー化剤です。

HPアドレスは渡辺商事通販ページ)


「スベラカーゼ」  フードケアhttp://shop.heartfulfood.jp/shop/g/gI25003/


「ホットアンドソフトプラス」

ヘルシーフードhttp://shop.heartfulfood.jp/shop/g/gI26175/


「ソフティアUおかゆ用」ニュートリーhttp://shop.heartfulfood.jp/shop/g/gI30057/


「ソフトアップ」日清オイリオhttp://shop.heartfulfood.jp/shop/g/gI08124/

ゲル化剤と酵素(αアミラーゼ)が配合されています。

 

熱いおかゆをこれらのゲル化剤と一緒にミキサーにかけますと、お粥が粉砕されて糊化しますが、酵素が働いてでんぷんを一部分解して液体化します。ミキサー後に温度が下がるとゲル化剤が固まってゼリー状に固まります。

均一で嚥下しやすい物性の「おかゆゼリー」となります。既にデンプンの一部が分解されていますので、唾液のαアミラーゼが作用しても液状化されにくくなります。

欠点としては、デンプンが予め分解されていますので少し甘みが感じられます。

全国でも、神奈川県では特に多くの施設でこれらの「おかゆゼリー」が提供されているとのことです。

 

一方、通常のおかゆでも、食事介助する場合におかゆをご飯茶碗から小皿(椀の蓋)に移すスプーンと、小皿から口に入れるスプーンの2本を使うことで、お茶碗のおかゆに唾液が入るを防ぐ方法があります。


解説:日清オイリオグループ   桑原昌巳