水島爾保布「東海道絵日記」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
みずすまし亭通信-爾保2535
 水島爾保布:東海道絵日記:大正10年

最近のコレクションから。水島爾保布「東海道絵日記」の貼り込み59帖、全60回ながら1回分抜けていて残念。爾保布(におう)は大正9年に代表作のひとつである「東海道五十三次・附瀬戸内海」を金尾文淵堂から上梓している。10年には、仲間と東海道を遊山気分ででかけているから、その折りの副産物らしい。水島爾保布にそれほど興味があるわけではないのに地元縁故ゆえか、つい蒐めてしまう。もっとも、安価なものに限りますが。

第1回目「日本橋」に中央美術協会主催・東海道漫画旅行団18人の一員として、5月1日午後2時に紀州産の貴賤笠に糸立(いとたて)つけた異装で出発したとある。本人もどれほど気張って描いているわけではないから、作品には文句も注文もつけてみようがない。まぁ爾保布は戯作文と挿絵のコラボに妙味があって、単独での鑑賞は楽しみが半減する。ただ「絵日記」ではコントラストの高い樹木の表現が秀逸で、期待以上でした。

パリでスタイルを確立した佐伯祐三が帰国して描いた、へなへなの樹木や電信柱を思わず思いだした。樹木の描法に和魂が感じられまする。

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