ロミオとジュリエット(英国ロイヤルバレエ団) | おいしく、楽しく、美しく!

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余韻にひたって の続き


アリーナ・コジョカルのジュリエットを観たくて、はじめてバレエ公演へ。英国ロイヤルバレエ団 の「ロミオとジュリエット」 (東京文化会館にて)


ロミオ役のヨハン・コボーが身内の事情で帰国を余儀なくされ、代役のルパート・ペネファーザー(*)がロミオを演じることになっていました。


私生活でもパートナーであるコボーとの踊りがみれなくて残念・・と思ったのもつかの間、すらりと長身・金髪、英国的「王子」な雰囲気のルパート・ペネファーザーのロミオはとてもロマンチックで、イメージ通り(=私の好みなだけです 笑) ふたりの息がぴったりなのに驚きました。


一緒に練習を重ねてきたわけでないのに、どうしてこんな息のあった踊りができるんだろう? タイミングひとつで失敗や怪我にもつながるわけで、ふたりの間の不協和音や不安が出てしまうと観客にも伝わってなかなか感情移入できないそうですが、そんなこともなく、驚きでむしろ感動が高まっていきました。


第一幕 バルコニーのシーン


階段をかけおりるジュリエットの足取りだけでも、100の言葉を語っているかのよう。叙情的な音楽にのせて、恋に落ちた二人のあふれる感情、舞い上がるよろこびが痛いほどに伝わってくる。 ロミオの肩上に掲げられ、恍惚の表情で体をまかせ喜びをあらわすジュリエット。美しい弧を描いてしなる肢体、天女の衣のように体にやわらかく沿い、なびくドレス。幻想的で忘れられない光景・・

小柄なアリーナが、華奢な肢体すべてを使って表現する愛と喜び。その流れる動き、表情の一つ一つを追いかけながら、胸がいっぱいに。幸せの絶頂にいる恋人達の踊りに泣けるとは、思っていませんでした。それほどに心を打つものがありました。


バレエって、ことばを介さないぶん(伝えるのは難しいけど)、伝わるときにはストレートに心に入ってくるのでしょうか。表情と肢体のうごきだけで、こんなに感情移入させてしまう、その演技力にも脱帽。 高い技術を要するシーンでも技巧を披露している印象はなく、ただただ内面からあふれでてくる踊りを舞っているように見えるのです。


第三幕 ふたりの最期 


ロミオの死に気づいたジュリエットの声無き叫び。短剣で胸をさし、痛みにもだえながらロミオに触れようと必死で近寄り、指と指が触れた瞬間、天を仰ぎ安心したように息絶えるジュリエット。 壮絶なふたりの最期、その悲しみをつのらせる圧倒的な美しさに酔い、涙しました。


(バレエ歴10年の友人がおどろくほど)何度も何度もカーテンコールにこたえてくれた主役の二人に、スタンディングオベーションとなった会場。 わたしたちも、拍手をしながらも涙、涙。 急遽代役での公演となったにもかかわらず観客を魅了する踊りができたこと、本人たちも会場も、その感動を共有していたような気がします


英国らしい気品のある洗練された衣装にもうっとりだった3時間。 いわゆる「踊り」の振り付けだけでなく、倒れる位置、ドレスの布の表情(透けるようす、揺れかたなど)、すべての見え方を計算しているんですね。その美的感覚にも感動・・すっかりバレエの虜になってしまいました。 さそってくださったhさまに感謝、感謝です。


別の友人が、アリーナの「ジゼル」や、ミラノ・スカラ座バレエ団の「ロミオとジュリエット」(アレッサンドラ・フェリとアンヘル・コレーラ)のDVDを「予習にどうぞ」と貸してくれたのですが、各幕でのストーリーを理解するのにも、衣装や振り付けの比較ができたという意味でも、助かりました。Mさま、ありがとう!


すてきな女友達のおかげで、また開いてしまった、あたらしい扉・・(笑)

火曜日は、吉田都さんによるジュリエットだそうです。こちらも素敵でしょうね。


じつは大学でシェークスピアを専攻していて、ロミオとジュリエットはオックスフォードで何度かお芝居をみていました。これまででいちばん感動したのがバレエによるロミオとジュリエット、というのも不思議です。


*フォト: 第一幕 バルコニーでのパ・ド・ドゥより

英国ロイヤルバレエ団のサイトよりお借りしたものです)


余韻にひたって



*代役を演じたルパート・ペネファーザー: 英国出身の彼は、"金髪長身のノーブルな風貌に、穏やかで包容力のあるダンススタイルで『くるみ割り人形』『眠れる森の美女』といった古典作で王子役をふられる機会の多い"と2年前の英国ロイヤル・バレエ団のインタビュー記事 にありました。