ローマ六日目 | ひよどりのにっきちょう

ローマ六日目

テルミニ駅からアルケオ・バスという小型の観光バスに乗る。屋根のないオープンカーで、一日乗り降り自由。一時間に大体一本運行されている。好きな観光スポットで降りて見学し、ころあいを見計らってバス停に行き、アルケオ・バスが来たらチケットを見せてまた乗る。とても便利な簡易観光バスである。

まずカラカラ浴場で降りてみた。広大な遺跡を寒い風が吹き渡る。ソーラーシステム、循環するお湯による床暖房、古代の人々の智恵に感嘆しつつ散歩。
次の目的地はアッピア旧街道のクオ・ヴァディス教会。夫はここをぜひ見たいと前々から言っていた。
しかしお世辞にも観光スポットではないらしく、ぼんやりしていたら通過されてしまった。
聖セバスティアーノ教会の前で降り、地図を頼りにアッピア街道を戻ってみる。
迷い迷い歩いていたら、突然広々とした住宅地に出た。喧騒のローマ市内とはまったく雰囲気の違う静かな街である。そして、緑豊かな公園が広がっている。この辺は高台らしく、とおくローマ市内が見える。
そしてその公園のかなたに、小さな教会が見えた。夫がビデオの望遠でのぞいてみたら、確かにDomine quo va disと書いてあった。
この教会は不思議な感動があった。昔読んだシェンキヴィッチの「クオ・ヴァ・ディス」を思い出すのはもちろんだが、樹村みのりさんという70年代の漫画家による「ローマのモザイク」という小品を思い出した。家に帰ったらもう一度読んでみよう。

サン・セバスティアーノのカタコンベに行く。英語のガイドツァーがちょうど行われるところだった。
ローマにはこのようなカタコンベがまだまだ眠っているらしい。

はやくも日は傾き、アルケオ・バス最終便をつかまえて乗る。水道橋など、点在する遺跡を回りつつ走り、イヤホーンで英語の案内を聞きながらバスに乗ったままそれを見学する。でこぼこ道だけれど、快適で楽しいバスの旅だった。