『薄闇シルエット』角田光代

 

あらすじ(「BOOK」データベースより)

ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。仕事は順調。同年代の男よりも稼いでるし、自分の人生にそれなりに満足していた。ある日、恋人から「結婚してやる」と言われ、小さな違和感を感じる。「どうして、この人は『私が結婚を喜んでいる』と思って疑わないんだろう…」―違和感は日に日に大きくなり、ハナは恋愛と仕事について模索していくことになるのだが…。

 

主人公ハナは変化を好まず、ずっとやりたいことだけやって生きていたいし、実際そうやって生きてきた。

たまたま運良く仕事が成功して、たまたま彼氏がフリーターで、自分が勝ち組に見えちゃったハナ。だから今以上を目指すために、やりたくないことを始める友人や元カレがかっこ悪く見えちゃったんだよね。

だけどあることがきっかけで嫌で嫌でしようがなかった母の人生観が理解できるようになり、ハナは新たな一歩を踏み出すことになった。

そして幸か不幸かそれは「世のなかは、私が思っていたよりもずいぶんと自由な場所なんだな」って勘違いしちゃうくらい、トントン拍子で進んでいくわけだ。

でもハナは途中で気が付きます。実際は自分が何も持っていないことを。そして自分自身何を欲っしているのかすらもわかっていないことを。

 

歳も違うし、ハナのように成功もしてないけれど、まるで自分の姿を見ているようでした。

人生のぬるま湯につかっていることに気が付いたら、泣いて泣いて泣いて、あとはそこを這い出るだけ。どんなに人と比べても、なるようにしかならない。そんな吹っ切れたハナの姿を見て、私も何か新しいことがしたくなりました。

 

やりたくないことをやって初めて人は大人になれるのかもね。