日本は何故、舐められる? | 縁に連るれば唐の物

日本は何故、舐められる?

タイのクーデターは現体制派と反体制派の話し合いがまとまらず、しょうがないから軍隊が出てきて「力で解決」・・・という非常に「みっともない」結果である。しかし「イデオロギーで物事は解決しない」という「いい例」を示している。ウクライナ問題も一緒だ。宗教や民族問題が絡めばもっと厄介である。

「集団的自衛権問題」について中国との軋轢を映画監督の山田洋次は「同じ人間なのだからちゃんと話せば分る」・・・などという非常に能天気な発言をしていて呆れる。だから日本は世界から舐められるのだが、これもいい例だ。

とかく日本人は「自国の価値観」で世界を見ようとする。何か問題があっても「私にも何某かの責任がある訳だから・・・」という「和を尊ぶ(これ自体は美しい思想だ)」文化があるが、海外では「じゃ、お前の責任だな」とバッサリやられる。「そこはまぁその、あれで・・・」などという曖昧な状況でも日本人同士なら納得してしまう。だから領土問題でも棚上げ発言を鵜呑みにして何の手立ても打って来なかったから、今になって大問題なっている。

中国では「井戸を掘ってくれた人の恩を忘れない」などという諺があるが、現在の中国人にそんな事を思う人間はほとんどいないだろう。今まで、そして今でもODAで多額の援助をしてきたのに、そんな「恩」や「義理」は微塵も感じない。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/chiiki/china.html

大きくなった力に任せて「人のモノも俺のモノだ!」と言い切ってしまえば何とかなるという強欲な国もあるのだ、という「事実/現実」を理解せずに「話せば・・・」と考えるのは日本でしか通用しない。

同じ敗戦国で経済的にも文化的にも先進国なのにドイツようにリーダーシップを取れる国でない日本とは何だろう?・・・もちろん潜在的な「欧米人優位の人種差別」があるのは間違いないが、やはり「ちゃんと発言して来なかった」のと「外交戦略」があまりに劣っていた事に尽きるだろう。なので経済が弱くなった途端、日本の価値は低落する。

しかし、だからといって「軍事力で」という発想も非常に愚かだ。確かに「話し合い」なんかで問題は絶対に解決しないが、だからこそ「どう話すか」の「かけひき技術」が重要なのである。そこで必要なのは「真心」なんかじゃなく「意思の強さ」であろう。

今まで様々な国を訪れたが、何処でも必要と思ったのは、その国の「文化への理解」と自身の「アイデンティティ」である。自分は日本人であるという「主張」も同時に持っていないと相手からは理解されないのだ。