【どうなる功名が辻】猿と狸

　豊臣秀吉の再三にわたる上洛要請に応じな

い徳川家康。

　秀吉は本当に家康を上洛させたいと思って

いたのだろうか？

　家康が上洛しない間に秀吉は着々と天下統

一の足場固めをし、その結果、家康は孤立す

ることになる。

　秀吉が上洛するように要請していたのは家

康の動きを封じ込めるためだったのではない

だろうか。

　秀吉の工作で家康がしぶしぶ上洛すると三

河から武蔵に領地替えをさせられ、荒地の江

戸を開拓する羽目になった。

　当時の平均寿命で考えれば、家康はいつ死

んでもおかしくない。

　このまま死ねばマヌケな武将として名を残

しただろう。

　猿知恵の秀吉に狸寝入りで対抗した家康だ

が、それはなんの効果もなく失敗に終った。

　狸寝入りを利用して成功したのは小早川秀

秋で、幾度も病気など何か理由をつけて相手

の誘いにのらず、じらして注目させることで

自分の目的を達成している。

秀吉亡き後、家康は積極的に行動して諸大

名に恩を売るという、秀吉の猿真似をしてい

たのではないだろうか。