【小早川秀秋幻記】其の11 | 関ヶ原の合戦を演出した小早川秀秋

【小早川秀秋幻記】其の11

 杉原重治も秀吉に仕え、稲葉と同じく秀秋

の監視役を務めた。

「まだ幼き秀頼様を補佐する役目の家康殿が

勝手な振る舞いをしているのは許せません。

秀頼様をお守りするのが大事と心得ます」

 杉原は稲葉と違い、忠義を選んだ。

 松野道円は隆景に仕え、隆景が隠居する時、

秀秋の監視役を命じられた。

「殿は大殿の後継者になられたいじょう、毛

利家、吉川家と共に行動していただきたい」

松野は秀秋の若さを心配していた。

平岡頼勝は流浪した後、秀秋に仕えるよう

になった。

家康との使者役をすることが多く、家康か

ら高く評価されていた。そのせいか、一説に

は家康から送られた監視役と言われている。

「御殿のいかなる命にも従います」

沈着冷静な平岡はいつも何を考えているの

か分からない。

こうして秀秋は皆から意見を聞くことで、

それぞれの立場を尊重し、またその違いを把

握することに努めた。そして最終的な判断は

秀秋自身がし、意見対立することを避けた。

これは実の親から離され、養子として生活し

ているうちに人間関係を円滑に保つため自然

に身についた知恵だった。

                 つづく