曲金(さしがね)は木部の継ぎ手や仕口などの墨付けに使うL時型の金属製の定規でその使い方は実に多様です。長さを測るのはもちろん、曲線を引いたり、直線を引いたり、直角や勾配などの角度を調べたり求めたり、この曲金を使いこなせれば正多角を書いたり平方根や立方根の長さ、面積、体積まで計算できるのです。L時型の長い方を長手(ながて)、短い方を妻手(つまて)と呼び、妻手が右に来るのが正面になります。寸法はメートル表記と尺寸法が刻まれていて片面とも角の外側と内側にそれぞれの寸法が刻まれている。これは表目、裏目などと呼ばれています。面白い所では曲金の裏面の妻手内側に刻まれている丸目(まるめ)という寸法は2尺分の細かい目盛りが刻まれていて丸太の直径にこの丸目を当てると円周率が読めるようになっています。

曲金で直角を作る(測る)やり方でよく使われるのが3:4:5(さしごと呼ばれたりします)の法則で2辺の長さをそれぞれ3寸と4寸で取りその対角線を5寸の長さにすると直角になるというやり方で、これは建物の大きな角を直角にする時などにもこの原理が使われています。

このような曲金を使って木材に継ぎ手や仕口の実形を書く事を規矩術(きくじゅつ)と呼ばれます。