建築基準法が昭和25年に出来き幾度かの改正を経て現在建てられる住宅は世界的に見ても精度が高く、また地震などに対してもそこに住む人々の生命、財産そして安全を守ってくれる安心して安心して生活できる空間を提供してくれています。建築期間も昔に比べ短くて3ヶ月ぐらいで家は完成します。安心、快適な生活を守ってくれる現在の住宅は魅力的です。一方昔の古民家はどうでしたでしょうか?

この本で定義される古民家とは、建てられてから50年以上経った建物を古民家として定義しています。ですから昭和に入ってからの現在と同じような建物でも50年以上経っていれば古民家となりますが、この章ではもう少し古い土間があって、囲炉裏があってというイメージの建物で話を進めていきます。さすがに今は囲炉裏や土間で生活している家というのは無くなって来たかと思いますが、それでも昔ながらのそういったものが残されている古民家に出会う事は少なくありません。古民家に住まわれている方にお話をお聞きすると、もう一度古民家に住みたいですか?との問にはほとんどの方が「住みたくない」と言われます。残念な事ですが、それも致し方ないかと思います。

なぜなら、

古民家は ①寒い ②暗い ③使いづらいものなのです。

100年、200年前は当たり前だった土間での調理や、木製建具から吹き込む冬場の寒い風の中ではゆっくり休む事もままならないと思いますし、日の光が入りにくい建物の構造は昼までも電気を付けないと暗い部屋は何となく気持ちまで落ち込みそうです。

しかし、私たちが古民家にこだわっているのは不便な生活を強いられる古民家をユーザーに押し付けて住むように強制する事ではなく、古民家に活かされた様々な先人達の知恵を学び、それを現代の生活の中に上手く取り込む事で持続可能な循環型の建築を取り戻す事と、日本古来の技術を未来の子供達へ引き継ぐ指名があると考えています。

具体的には、

古民家の事を学び、そこに活かされた先人達の技や考え方を現代の住宅にも取り入れて活用する。そしてその事で、現在日本の住宅の耐用年数の短さを解消し、200年程度は持続可能な住環境をユーザーへ提案してひいては地球環境へも貢献していくという事です。

古民家の良さは、
① 伝統資財は自然素材なので再活用しやすく、また廃棄しても有害なものは無い。
② 伝統構法は免震的な構造で地震が何回起こったとしても修理が可能である。
③ 地産地消の材料で建てた古民家は無駄な輸送をおこなわない為に地球環境にいい。
④ 夏の暑さを和らげる工夫は現在の住宅でも活かす事ができる。
⑤ 外部との一体感を重視した古民家は自然環境との調和を生み、人の心にも癒しを生む。
⑥ 個人主義では無く、家族で生活するライフスタイルから現在も学ぶべき点は多い。
⑦ 一部屋で就寝を重複しておこなう古民家は、家の大きさを小さく出来き、コスト面環境面とも学ぶ事が多いと思います。

などが上がられるでしょう。逆に現在のライフスタイルにそぐわないものとしては、

① お客様中心の間取りは使いづらい。
② 土間でおこなう様々な作業は現在の住宅では無い為に無駄なスペースとなる。
③ 男性優位の考え方は男女平等の精神に反する。
④ 冬の寒さは改善する必要が大きいなどでしょうか。

古民家の良さを再確認して、上手く現在の住宅へ行かしていきたいですよね!!