実際の補修例・・・


■根継ぎ


木材の欠点は湿気・水分に弱いことが上げられるでしょう。古材で痛みの激しい部分は主に地面に近い柱の根元です。柱の下側の腐った部分を新しい材料に交換することを根継ぎといいます。継ぎ方は一般的に金輪継ぎが多く、また、材料は埋め木同様、同種の木材、特に一緒に使用されていた柱材の再利用がいいと思います。


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* 金輪継ぎ

木材の継ぎ手の一つ。小屋梁、合掌梁、土台、出桁、敷桁、柱の根継ぎなどに用いられる。継ぎ手の長さは木材の成(せい)の3倍、または3・5倍。上木、下木とも同じ形で区別は無い



■横架材の継ぎ木


梁の継ぎ木は構造的な意味で避けるべきで、どうしても継ぐ場合は力のかからない所で継ぐか、柱の補強をしたほうがいいでしょう。


■ 古材の意匠性


古材は解体された状態では長年の煤や埃をかぶった状態ですので使用する際はまず綺麗にする必要があります。


一般的には水洗いを行います。家庭用の金タワシやブラシを使い洗濯洗剤で洗います。車を洗う際に利用する高圧で洗浄できる機械があれば効率よく汚れを落とすことができます。洗ったあとはすぐに水気を拭き取って、小屋などの軒のある場所に保管します。また水洗いにより古色が落ち過ぎてしまうのを避けたい場合にはサンドペーパーや金タワシ等で煤を落とす程度にどどめる場合もあります。


柱や梁にニスやペンキが塗ってある場合には美しい木目に戻すためにサンドペーパーやサンダーで落とします。次に磨きを掛けますが、手作業の場合、金タワシで磨くのが一般的です。機械作業の場合にはホイールサンダーで磨きます。柔らかい針葉樹は真鍮のホイールサンダーで、広葉樹の場合はスチールのサンダーで磨きます。表面の保護や意匠性を高めるために塗装を行いますが、塗装は工事の前に行う場合と、工事期間中に現地で他の塗装工事にあわせて行う場合が考えられますが、工事前に行うほうが手間がかからず綺麗に仕上がります。塗装に使うものはエノ油、亜麻仁油、桐油などの乾性油に着色のための顔料 柿渋、松煙(しょうえん)、墨などを混ぜたものが古来からの塗装方法です。


また、古材鑑定士は全国統一の塗料を使って塗装済みの商品を供給してくれるので全国統一の古材専用塗料を使うと色合いの統一やメンテナンスなどのときにも色が一致するので大変便利です。またその他の方法としてバーナーで表面を焼き木目を浮き上がらせる方法などがあります。


■ 建具類の補修

古材を使う場合には古い建具も使用するケースが多いです。


古い建具は地域によって巾や高さの基準が微妙に違っているので各地の建具を取り寄せて使用する場合には注意が必要です。建具の高さが足りない場合には下框を足します。(ハカマをはかせる)幅が大きい場合には切り詰めしますが内部の組子のデザインを殺しかねませんので注意してください。


以上僕がまとめた厚生労働省認可財団法人職業技能振興会認定資格「古材施行技術士」講習テキストより・・・

来月東京で試験があります。ご興味のある方はチャレンジしてみてください。詳しくは財団法人職業技能振興会までお問い合わせ下さい!