今日買った本です。


太田肇

実に「逆説的」なタイトルですね。

正直言うと、

 

「どんなバカなことが書いてあるのか」


と思って手に取りました。

しかし、ちょっとページを繰ってみると、

なかなかいいことが書いてありそうで、

買って一気に読みました。

この本の結論を簡単に言えば、

社員を「巣立たせる」ぐらいの気持ちで

育成したほうが、社員の仕事の質が

よくなり、結果、会社の利益にもなる。

ってことです。

もっとも、私が興味をひかれたのは、
結論よりも

筆者が、こういった考えに至る前提として
第1章・第2章で書いている

「若者の成長志向と企業の人事システム
とのギャップ」

ですね。

若者は、自らを成長させたいと思っている。

入社間もない20代のうちから、独立を

志向している人もいる。

一方の企業は、年功的な、「長期雇用を前提」

としたシステムになっている。

 

というのが「ギャップ」です。

 

 

これは確かにそのとおりですね。

 

「企業は年功賃金を脱し、成果主義に移行

しているではないか」

 

という反論はあるでしょうが、成果主義がほとんど

機能していないのはよく聞く話です。

 

仮に、成果主義が今なお生きているとしても

それは

 

企業が「会社への直接的な(見えやすい)貢献」を

強く求めている

 

ことの証左であるわけです。

 

会社をやめるというのは、「以後、貢献しません」

という意思表示であるから

表立って 「いずれは独立するつもりです」などとは

言えません。

 

確かに、大学生に対する就職説明会でも

長期的なキャリアプランを説明しますよね。

 

 

結局のところ、企業は

 

短期的な成果を

長期にわたって挙げ続ける人材

 

を求めていることになります。

 

しかし、

 

「自らのキャリアデザインを持つ」

「確固たる自己分析をし、やりたいことを明確化する」

「会社にぶらさがる気持ちを持たない」

 

といったことを

この20年、企業が応募者に求めてきたことも事実。

 

こういう企業の姿勢が

 

長期雇用は望めない

→キャリアアップをしなければ

 

という、若者の意識を生んでいるわけです。

 

要は、企業の求める人材像が

 

「矛盾した、虫のいいもの」

 

になっているわけですね。

 

 

う~む…

こんな状態では、いつまで経っても景気が回復しない

のは当たり前だし、国際競争力が落ちるのも当たり前。

 

書店に行くと、

「部下の管理」「モチベーションアップ」「リーダーシップ」

の本がいっぱいありますが

 

根本の方向性がズレている中、うまくいくはずがないです。

 

これ以外にも感じたことはあるんですが

長くなったので、今日はここまでにします。