インドネシア、ハイチ、ニュージーランド...
地震、津波の被害を観るのは初めてではないのに、ひどく心が痛む。
テレビに映るぐちゃぐちゃになった町、川、丘は、私の育ったふるさとに似ている。
テレビに映るおびえた顔は、同級生、近所の人、友人に似ている。
今回は私の故郷、日本...私の国の人々、日本人...
こんなことになり、こんなにも故郷のことを愛している自分に、少し当惑する。
美しい故郷が地震、津波によって消えていく映像に、体が震えた。
被害のあった地区では、今年の春、
田んぼで白レンゲを探す女の子、
土手でツクシを集める老夫婦、
桜の花びらを追う子供達...
私の大好きなそんな故郷の春の光景は、見れないのだろう。
桜... 日本を出て以来、22年見ていない。
弥生三月生まれだからか、 22年前、桜が満開の故郷を、列車の窓から涙いっぱいで見たからか、春の桜だけが私をホームシックにする。
一体、何本の桜の木が倒れたのだろう。
どれだけのレンゲ畑が土砂の下になり、土手が崩れたのだろうか。
この春を愛おしむ心など持てない人が、一体何万人、何十万人、何百万人...いるのであろうか。
ひどく心が痛む。