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++  エピソード日本史 ~人物で繋ぐ日本の歴史~ 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.037━2007.02.12━…‥*



 ◆◇ 藤原仲麻呂 《フジワラ(の)ナカマロ》…

 奈良時代後期の高官。藤原不比等の孫にあたる。
 早くから頭角を現し、740年の藤原広嗣の反乱後、
 政界への進出の足がかりを掴んだとされるが…。

 《*藤原広嗣:フジワラ(の)ヒロツグ》




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■ 唐被れした大臣、藤原仲麻呂
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藤原不比等が描いた自分の孫を天皇にし、自分の娘を皇后にする。
この夢を実現させたのが、光明皇后と言ってもよいでしょう。

 《*光明皇后:藤原光明子の事》

光明皇后は、夫である天皇が病気がちになり、
娘に譲位した頃から、権力を握り始めていました。

そして、その光明皇后に遇されたのが甥にあたる藤原仲麻呂でした。


仲麻呂は、かなり聡明な人物だったと言われています。
光明皇后にとっては、自分の力になってくれていた兄たちの代わりに、
聡明な仲麻呂に藤原一族の行く末を託したのでしょう。


光明皇后の兄たちである藤原四兄弟が死んでしまった後、
政権は、別の人物に握られてしまっていました。

この事に不満を持ち、反乱を起こしたのが仲麻呂の従兄弟にあたり、
四兄弟の一人宇合《ウマカイ》の長子、藤原広嗣でした。

二ヶ月ほどで、広嗣の乱は鎮圧されてしまいますが、
この乱をきっかけに仲麻呂が表舞台に立つようになります。

この乱から、わずか9年で、仲麻呂は政界ナンバー3にまで躍り出ます。

四兄弟死後、権勢に陰りが出ていた藤原氏が仲麻呂の台頭で、
再び息を吹き返した事になります。

この躍進にも光明皇后の力が働いたのでしょう。


しかし、ここで困った事が起きました。
仲麻呂がすぐに今以上の昇進が見込めなくなってしまったのです。
なぜなら、ナンバー1には、四兄弟以後、政治の実権を握ってきた人物。
ナンバー2には仲麻呂の兄である藤原豊成《トヨナリ》がいたからです。

そろそろ引退時のナンバー1に比べ、ナンバー2の豊成は、まだ若い。
仲麻呂に実権を握らせるには、どうしても時間がかかってしまう。

そこで、光明皇后は考えました。
それは本来の役職とは違う役職を作り実権を握らせる、という事でした。

この時の光明皇后の力は絶大でした。
何しろ、本来天皇が持ち、皇位の象徴ともされた鈴璽《レイジ》という
天皇御璽の印と駅鈴《エキレイ》を持っていたそうなのです。

それだけの力を持っていた光明皇后が、
ただの皇后の家政機関であった皇后宮職という機関を改組し、
紫微中台という機関を作りました。

 《*皇后宮職:コウゴウ・グウシキ》
 《*紫微中台:シビ・チュウダイ》

この紫微中台の長官に仲麻呂を任命したのです。

天皇の権力を持つ皇后直属の特別機関・紫微中台長官藤原仲麻呂の誕生です。

こうして政界で一番の力を手に入れた仲麻呂は、
時の天皇であり、光明皇后の娘にあたる孝謙天皇と共に
政務を取り仕切る事になります。


元々仲麻呂は唐に深い関心があったようで、
権力を握ってからは、官職の称号を唐風に改めていき、
さらに、朝廷から唐風に名前である恵美押勝という名までもらう事になります。

 《*恵美押勝:エミ(の)オシカツ》

しかし、仲麻呂の絶頂期も長くは続きませんでした。



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仲麻呂が政界に出てくるにあたり、光明皇后の力の影響がありました。
しかし、それだけではありませんでした。

藤原四兄弟死後、政界で権力を握り、一時代を築いた人物が
自分の腹心にと考え、引き上げた節があるのです。

その人の名は橘諸兄《タチバナ(の)モロエ》。
彼は、あの橘三千代の子・葛城王《カツラギ王》なのです。



┏━◇  次回の予告  ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 藤原家に迫った三千代の子、橘諸兄

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━━[編集後記]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最近資料集めがうまくいかず、面白い逸話が出せずに苦労しています。
また、面白い話が出来る時に改変していきたいと思っています。
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