クモ膜下出血 | 中国の果てで理学療法

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2013年 青年海外協力隊参加
中国で理学療法士として活動中

クモ膜下出血とは脳表とクモ膜に囲まれた脳脊髄液腔、すなわちクモ膜下腔に出血した病態を総称したものである。


クモ膜下出血




頻度的に最も多いものは外傷性出血で、非外傷性(突発性)の原因としては脳動脈瘤の破裂が最も多く、7080を占める。次に多いのは脳動脈奇形によるもので全体の510を占める。


症状としては「突然の経験したことのないような激しい痛み(バッドで殴られたような痛み)」と表現される。




頭蓋内圧が急速に上昇し、そのため膜が引っ張られて痛覚神経が刺激されるためである。




突発的に起こる頭痛の他に、髄膜刺激症状として、項部硬直、意識障害が起こる。




脳内に穿破して血腫を作らない限りは片麻痺や失語といったような症状は出現しない。



しかし、くも膜下出血発症後1ヶ月以内に死亡される方は30、元気に退院される方は60で、残りの10前後の方は高度な障害を後遺される。



性別は特に一定した傾向が見られないという報告から、女性に多いという報告までさまざまであるが、わが国では女性に多い傾向を認める(男女比1:2)。全米の死亡統計をもとにしたクモ膜下出血の死亡率はすべての人種で女性の方が高い。脳血管障害に占めるくも膜下出血はわが国では1980年後半の時点で1950年代に比べ増加している。




クモ膜下出血の三大合併症として①再出血脳血管攣縮正常圧水頭症がある。



再出血は24時間以内に多く、再出血を起こすと更に死亡率が高くなる。


クモ膜下出血患者の治療方針を決定するにあたっては、その重症度の判定が重要である。クモ膜下出血の重症度分類にはHunt and Hess分類(表1)、Hunt and Kosnik分類(表2)などがあり、いずれも国際的に活用されている。


Hunt and Hess分類




Hunt and Kosnik分類





ちなみに再出血の危険因子としてはHunt and Hess分類(ⅣorⅤ)、動脈瘤が大きいこと、1カ月以内の警告頭痛の存在が挙げられる。




初期治療には再出血の予防と頭蓋内圧の管理および全身状態の改善にある。発症直後はできるだけ安静を保ち、侵襲的な検査や処置は避けた方がよい。

再出血予防のためには、十分な鎮痛、鎮静が必要であり、積極的に降圧薬を投与する。





リハビリテーションはJapan Coma ScaleJCS)1桁で運動の禁忌となる心疾患や合併症がないことを確認したうえで、脳出血では神経症候の増悪がないことを確認してから可及的早く開始することが勧められるが、十分な科学的根拠はない。



また以前働いていた病院ではできるだけ刺激を与えないように発症1週間は暗室で実施していた。



再出血のリスクがあるため、リスク管理下のもとに慎重に進めなければならない。