農業のプロ・木内博一の言葉 | 喪われた和音を求めて〜プロデューサー日記〜

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ドラマ、映画、演劇、Web+IT、アート、エコ、・・・創造性とは何か? 心動かされたもののスクラップブックです。

今は直接文章書いておらずですが、同期した投稿のみになります。

ヒットコンテンツ研究所の吉田就彦さんから届くメールで、農事組合法人和郷園代表の木内博一さんという人が紹介されていて、その内容がすごく勉強になった。

喪われた和音を求めて-木内博一

少し前にNHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』にもゲストで出演していたらしいが、見たかったなあ。

農業というとアナログなイメージがあるが、合理的な経営やインターネット的な思考が取り入れられ始めてるという話は聞いていた。

そんな中での木内博一さんの言葉は、すごく示唆的で重要な言葉ばかりだと思う。

例えば、こんな台詞。

「事業っていうのは、面でとらえたときに、ちゃんとしたニーズがあるかどうか。一言でいえば、事業の組み立てだとかは、すべてプリンシプルなんですよ。原理原則。もっといえば、揺るぎない原理原則ですね」

原理原則通りにやればいいというものではないが、大きな柱というか、はっきりとこういう認識を持つことって大事だと思う。それは物語づくりでも一緒。

その他にも、木内さんは音楽業界にもふれ、音楽のプロデュースをするとしたら、まずは、人間の感情が高ぶるハイな状態のとき、それもみんなが共感や共有できる感覚を、もっとも盛り上がる言葉でつないであげること。もうひとつは、顕在化していないストレスを解消するような、爽快感を提供するような心地良いメロディ。この2つの方向性があると言ったらしい。

うーむ、なるほど。これって物語に置き換えるとどういう事なんだろうなあって、ちょっと考えたが思い浮かばない。

僕の言葉で、今必要な物語の方向性を二つあげるとすれば「勇気を与える物語」か「今ある幸せに感謝する物語」、もっと現実的にヒットする方向性でいえば「ヒーローが鮮やかに解決する物語」そして「人の生き死にを扱った話」か。

でも、普段考えない切り口なので、木内さんの言葉はとてもヒントになる気がする。

木内さんは、農業だけでなく、今の日本を大きく見回して、個性やオリジナリティを価値として評価する時代になっていかないとダメだ、芸術活動だったり、1人の人が作り出していくモノに対して焦点を当てていく経済のスキームに、日本は大きく舵を転換するべきだ、と考えているとのこと。

モスバーガーに行くと、産地直送の野菜を使っていて、しかも農家さんの名前や写真が出ていたりすることもある。ああいうのって、信頼性の観点から生まれた取り組みだと思うが、それ以上に、食べていて”ありがた味”が増すっていうか、単純にちょっとうれしくなるし僕は好き。

実際には、経済原理上、やはり大量生産による低価格にスイープされてしまう可能性は高く、効率と合理性を上回る個性、ブランドというのは、誰にでもできるものではない。「世界に一つだけの花」というのは実際にはなかなか無いのだ。

けど、そういう視点で考えていくべきというのは僕も大賛成。

木内さんは、農業を通じての芸術パトロンとか、色々進めているらしく、本当に面白い人だ。フォローしていきたい。

◇木内さんと吉田就彦さんの対談が載っているWEBフリーペーパー「音楽主義」(バックナンバー#033)
http://www.fmp.or.jp/ongakusyugi/

◇農事組合法人 和郷園
http://www.wagoen.com/