夜明けの街で 2011年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督 若松節朗
原作 東野圭吾

キャスト
渡部和也(会社員)   - 岸谷五朗
仲西秋葉(派遣社員)  - 深田恭子
渡部有美子(和也の妻) - 木村多江
新谷(和也の親友)   - 石黒賢
里村(和也の部下)   - 黄川田将也
部長(和也の上司)   - 田中健
浜崎妙子(秋葉の叔母) - 萬田久子
仲西達彦(秋葉の父)  - 中村雅俊
渡部園美(和也の娘)  - 栗本有規

 

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=-8W4X064yYc


 

あらすじ
建設会社に勤める和也。親友の新谷と会社の帰りにバッティングセンターに居たところ、そこで和也の部署に勤める派遣社員の秋葉に偶然出会い、その日3人でカラオケに行く。泥酔した秋葉を和也がマンションまで送るが、嘔吐で和也の背広が汚れてしまう。背広をそこに置いたまま帰宅する和也。

 

後日秋葉に呼び出される和也。高級テーラーに連れて行かれ、お詫びに一着背広を仕立てるという。汚れた背広は洗ったらダメになってしまったとの話。弁償の前にまず素直に謝るべきだろう、と怒る和也。ぎこちなく謝る秋葉。
怒ったものの、その不器用さに惹かれる和也。それを機会に食事をしたり、飲んだりする様になる。秋葉には叔母(妙子)がおり、バーを経営していた。

 

ある日、秋葉の誘いでサーフィンに行ったが、悪天候のため少ししか出来ず、帰りに秋葉の実家まで車で送る事になる。
そこに車で立ち去ろうとする男性。父親だと秋葉が紹介した。父親の達彦は車で去り、和也は誘われるまま家に入った。
秋葉は、15年前にここで殺人事件があった事を仄めかした。秋葉は女性が殺された現場を見て気絶してしまったという。
酒の力もあって、2人は関係を持った。

 

「不倫をする奴は馬鹿だ」というのが自論だった和也だが、秋葉との関係にのめり込んで行った。日曜にはゴルフと言って家を出る。何も疑いを持たない妻の有美子。
後戻り出来ないところまで和也が深く考え始めた頃、秋葉が15年前の殺人事件についての話をする。死んだのは父達彦の秘書であり愛人の麗子という女性だった。犯人は見つからず、間もなく時効になるという。

 

クリスマス・イブの夜。和也は新谷に協力させて恩師の通夜があると有美子に連絡を入れ、その口実を使って秋葉と一夜を過ごす。
クリスマス用の、卵の殻を使ったサンタの人形を潰すシーン挿入。

 

会社の若い者と一緒にスキーへ行くという秋葉。妻の実家がそのスキー場の近くだと知り、里帰りに同行したついでにスキー場にまで行く和也。秋葉には逢えたが、実は秋葉はこの旅行には参加しておらず、和也が「行く」というメールを受けて急遽スキー場まで来たのだった。和也に負担をかけまいとしていた秋葉の心を知ってますます気持ちが入ってしまう和也。
妻と別れて一緒になりたいと言う和也に「3月31日まで待って」という秋葉。

 

そして3月31日の当日。一緒にいて欲しいという秋葉につきあって彼女の実家に行く和也。そこには達彦と叔母の妙子が居た。
時効の時刻が過ぎて秋葉が真相を語り始める。
当時は強盗事件とされていたが、結局それは麗子の自殺だった。秋葉はその遺書を読んでいた。
実は最初不倫をしていたのは達彦と妙子だった。達彦の妻との関係は冷えており、達彦は離婚を考えていたが、その相手が妹ではそれを承諾しないだろうという事で、偽装のために麗子と関係を持った。それが判って絶望した末に麗子は達彦の家で自殺した。秋葉は当時病気で薬を飲んで寝ていたが、もうろうとした頭で、麗子の死体を見て気を失ったと達彦から言われ、その通りの供述を続けていた。達彦と妙子は、麗子が死んだ現場のナイフや周囲の指紋を拭き取り、自殺ではない様に工作していた。

 

真相が判っても、この事実は公表されるわけではない。和也は秋葉との今後を考えていた。
だが秋葉には全くその気持ちはなく、父親がやっていた不倫というものを経験してみたかった、というのが今回の和也との関係のきっかけだった。だが和也の心に触れて、巻き込んではいけないという気持ちに変わっていた。
別れを告げ、和也の元から去って行く秋葉。

家に帰ってからキッチンに置かれている季節外れのサンタ人形(卵の殻)を見つけ、クローゼットの箱に入れようとして愕然とする和也。そこにはたくさんの人形が潰されていた。

 

翌日の出勤時、妻の有美子が外まで追いかけて来て「話って何だったの?」と訊く。昨日和也が「帰ってから大事な話がある」と言って出社していたのだ。
「ああ、あれは終わった」と言う和也に対して有美子が「どうして? あなたと私の将来についての大事な話だったんでしょう?」とにっこり笑う。驚愕する和也。

 

感想
深キョンの不倫モノ、という事で多少期待したが、ほとんど何も見せない。「失楽園」の黒木瞳を見習って欲しいものだ。
それはさておき。
会社の派遣社員といつのまにかデキてしまう。実生活でもいかにもありそう、なーんてホントかよ、と言いたくなる。
女性の側によほどの意図がないと、こういうシチュエーションは生れない。逆に言えば女性が本気になれば、男性の方のガードは極めて甘いという事か。

ミステリーはお得意の東野圭吾だが、恋愛ものに関してはどうか。派遣社員に溺れて行く道程、家庭を壊してまで突き進む動機付けみたいなものがやや希薄な感じがした。
しかし不倫なんてそんなもんかも知れない。

 

ただ、思春期の少女が父親の愛人の死の秘密を知って苦悩する話と、不倫をくっつけても、あまりいい作品にならなかったという事かなァ。もしやるならもっとプラトニックな話でまとめた方が秘密の種明かしも良くハートに食い込んだと思う。

 

原作では、和也がサンタ人形を見つけるところで終わっている様だが、映画版の木村多江の笑顔の恐ろしさがすごかった。この1カットだけでも、単なる駄作と言えないものを感じる。