インターステラー 2014年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督 クリストファー・ノーラン

 

キャスト
宇宙船クルー
クーパー       - マシュー・マコノヒー
アメリア・ブランド  - アン・ハサウェイ
ロミリー        - デヴィッド・ジャーシー
ドイル         - ウェス・ベントリー
TARSの声      - ビル・アーウィン
CASEの声      - ジョシュ・スチュワート
マン博士       - マット・デイモン
地球の人物
マーフィー(マーフ) - ジェシカ・チャステイン マーフ

      (幼少期) - マッケンジー・フォイ
マーフ(老年期)   - エレン・バースティン
ブランド教授     - マイケル・ケイン
トム          - ケイシー・アフレック トム

     (幼少期) - ティモシー・シャラメ
ドナルド        - ジョン・リスゴー

 

予告編

https://www.youtube.com/watch?v=-sb8axLSXvI


 

あらすじ
元宇宙飛行士のクーパーは義父、15歳の息子トム、10歳の娘マーフとトウモロコシ農場を営んでいた。地球規模の砂漠化が進み、人類の先行きには厳しいものがあった。

 

まず食料危機に対処する必要があるため、宇宙開発より農業関連の事業が優先され、宇宙飛行士だったクーパーもそれで職を失った。マーフの部屋で起こる不可解な現象。特定の本が本棚から落ちている。マーフは父親の影響で宇宙に興味を持ち、学校で教師たちから異端視されている。学校では「アポロ計画」はなかった事という教育が行われていた。

 

GPS制御されている農機具の動きがおかしいと言う義父。重力の影響かも知れないと感じるクーパー。
大きな砂嵐が来た時、マーフの部屋の床の砂に模様が出来ており、それをバイナリ(2進法)信号と直感したクーパーは、その数字が緯度と経度である事をつきとめ、車を出す。内緒で潜り込んだマーフ。その場所は柵で囲われており、カッターで切ろうとしたクーパーはそこに現れた者に、娘と共に拉致された。

 

目が覚めると、そこにはかつて宇宙関係の仲間だったブランド教授が居た。なぜこの場所を知ったのか執拗に聞かれたが「重力だ」と言ってはぐらかすクーパー。
この施設はNASAであり、秘密裏にある計画が推進されていた。NASAでは今から10年ほど前に土星近くにワームホールを発見し、そこへ向けて12隻の有人宇宙船を送り込んでいた。そのうち3ケ所から居住可能性があるとの通信を受け、人類移住のための「ラザロ計画」を本格的に推進する準備中だった。そのプランAは人類をそこへ送り込むもの。プランBは受精卵を操作して現地に適合可能とし、繁殖を図るもの。

 

ブランド教授とその娘アメリアはクーパーにこの計画への参加を頼んだ。現在のクルーでは実際の宇宙旅行経験がなかったのだ。
娘が助かる可能性に賭けて計画に乗るクーパーだったが、マーフは更に本棚から落ちる本の数列から「S・T・A・Y」というメッセージを解読しクーパーに「行かないで」と懇願する。
それを振り切って出発したクーパー。出発前、マーフに時計を渡し、宇宙旅行で時間差が出る事のチェックをしようと言い残した。

静止軌道上の宇宙船「エンデュランス」号に乗り移り、土星までの冬眠旅行。

 

土星付近に到着し、ワームホールを抜けて別の銀河系に到着したクルーたち。3つの星は、調査に行ったクルーたちの名前が冠されていた。最も近い「ミラー星」にクーパー、アメリア、ドイルの3名が着陸艇を使って向かい、海に着水する。だがその信号発信場所では、宇宙船の残骸しかなかった。ブラックボックスを取りにアメリアが別の残骸へ向かうが、かなたから超巨大な津波が襲って来た。支援ロボットTARSの助けを借りて何とかアメリアを救出するが、ドイルは助からなかった。勝手な行動をしたアメリアに怒るクーパー。船内の水の排水に45分かかり、船は次の大波が来る寸前に脱出。

 

母船で待っていたロミリーはかなり歳を取っていた。ミラー星はブラックホールに近かったため、時間の進む速度が遅れ、母船では23年が経過していたのだ。地球からの23年分のメッセージを確認して涙するクーパー。

残る「マン星」と「エドモンド星」。地球に戻る事を考えるとどちらか一つにしか行けない。アメリアがエドモンド星へ行く希望を出したが、彼女がエドモンドと恋人関係にあった事で、個人的な感情であるとクーパーは否定、マン星に向かった。

 

マン星は氷に閉ざされた星であり、ベースキャンプに辿り着いた3人は冬眠装置を解除させてマン博士を目覚めさせた。

 

地球ではブランド教授が死の床に居た。マーフは成人してからNASAでブランドと共に計画を推進していたが、移住のための物理問題を解くのに課題があった。数式は、ブラックホールの中の特異点の情報がないと運用出来ないものだった。計画成功のアテがない事を告白して息絶えるブランド。

 

目覚めたマン博士の語るこの星の状況。寒いが移住は可能であると言う。マンと連れ立って星の調査に出かけるクーパー。だがマンはクーパーに攻撃を仕掛け、通信機を外した上でヘルメットを損傷させ、着陸艇に向かう。瀕死のクーパーは何とか通信機を見つけるとアメリアに連絡。別のシャトルに居たアメリアはクーパーの救出に向かう。その頃、ベースキャンプで星のデータがおかしいと気付いたロミリーは、破損して停止していた支援ロボットを起動させるが、その時に大爆発。マンが保身のために爆薬を仕掛けていたのだ。マン星は、実際には人の住めない所であり、その事に絶望したマンが、宇宙船を呼び寄せるため、嘘の情報を流したものだった。

 

着陸艇を乗っ取って宇宙船に向かうマン。何とかクーパーを助け、2人もシャトルでマンを追う。クーパーはTARSに指示して着陸艇のドッキング無効の措置を取っていた。無理に手動でドッキングしたマンだが、気密が保たれていなかったため、マンは着陸艇もろとも吹き飛んだ。

何とか宇宙船に乗り込んだクーパーとアメリア。残る燃料でエドモンド星へ行くには、近くの旧いブラックホール「ガルガンチュア」の周回軌道を通ってスイング・バイを行うしかない。クーパーはもう1機残った着陸艇にTARSと共に乗り込み、スイング・バイに向かう。

 

スイング・バイの後、重量を減らして宇宙船の離脱を助けるために着陸艇を切り離すクーパー。着陸艇はガルガンチュアに吸い込まれて行った。全く操縦が効かない中で、クーパーはTARSにブラックホール内部のデータ取りを命じる。

 

エマージェンシーが鳴り響き、クーパーは脱出。そこは無重力空間であり、立体格子状の線が無数に折り重なっていた。
その先にマーフの幼い姿を見て驚くクーパー。この空間は時間軸が幾重にも重なっていた。
重力波をコントロールしてマーフの部屋に影響を与える事が出来る事に気が付いたクーパーは、NASAの座標を送り込み、更に本を落として「STAY」のメッセージも送った。だがその時点のクーパーを止めることが出来なかった。

クーパーはマーフに渡した時計を思い出す。秒針の動きをバイナリ信号として届ければ情報を伝えられる。否定するTARSには取り合わず、特異点の情報を送り込んで行く。
その情報を理解し、数式を解明させるマーフ。研究所の中で「ユリイカ!」と叫ぶ。
次の瞬間、クーパーの居る空間が徐々に閉じられて行き、彼は気を失った。

 

クーパーは病院と思われるところで目を覚ました。職員の説明で、そこは土星の起動上に作られたスペースコロニーである事を知る。クーパーは124歳だと言われた。
老衰で寿命の尽きかけているマーフとの再会。マーフが解明した数式の成果でこのコロニーも建造することが出来、人類は救われた。マーフは、アメリアが一人でエドモンド星に居るだろうという事を告げた。
クーパーは再び宇宙艇に乗り込み、新たな旅に出る。


 

感想
多少つっこみどころはあるものの、なかなか上質なSF映画だったと思う。久々に「もう一回観直したい」と思った。
滅びつつある地球の人類を救うため、宇宙に乗り出すクルーたち。主人公のクーパーは、家族を助けるためと言いながら、娘のマーフからは理解されず、苦悩しながら地球を後にする。
壮大な宇宙の話が、クライマックスでは別銀河からブラックホールに入った筈なのに家のマーフの部屋の本棚へ来ている。呆れてしまうが、5次元の概念そのものが理解を超えているものだから、この際何でもアリ、かな?(壮大な、家族の話)
これは「2001年宇宙の旅」で木星からモノリス内部に入ったボーマンが光の回廊を通った先にロココ調の部屋に出て、最終的にスターチャイルドとなって地球に戻る、あのシーンのオマージュにも見えた。クーパーの家が、地球にとっての特異点だったノネ。
また重力を、時空の歪みと関連付けて表現するのは、最近の物理学のホットな話題であり、そこに目をつけたのは秀逸。
ただ情報がテンコ盛りで、何となく「エヴァ的」。キーとなる5次元とか数式とかは多少重複してもいいからていねいに説明した方が良かった。上映開始時刻の関係で吹き替え版で観たが、技術情報は字幕で見た方が理解が深まったかも知れない。

 

では例によって少しづつ「ツッコミ」を・・・・
前振り長すぎ
全169分。「ダークナイト」でも3時間近かったし・・・・。宇宙の話なんだから、地球でのやりとりはもう少し整理して欲しかった。また迷い込んで来たドローンの話は「これ、必要だった?」という印象。重力に異常が出ているという事の傍証として農機具の異常も描かれているが、結局重力の関与が判るのは終わりかけの所なので、あまり思わせぶりな演出は蛇足の感あり。
宇宙船
エンデュランス号が、回転しながら人のための重力を得るという発想。これはさすがに監督の時代錯誤か。現在運用している宇宙ステーションでは人工重力なしに何ケ月生活しても、全く問題ない。2001年・・に引張られすぎたか。
津波
ミラー星に降りた時は水深20cm程度の浅瀬であり、大津波に逢ったら、水底にたたきつけられてグチャグチャになる。あの表現は深い海で遭遇した様にしか見えない。破壊された機体のビーコンが確認出来る様に浅瀬を設定したと思うけど、ちょっと不自然だな。
マット・デイモン
マン博士。なーんかマット・デイモンに似てるなぁ、と思っていたら本人だった。オーラのなさにもびっくり。
STAYって
クーパーが、5次元の世界でマーフの部屋の裏に居る時、マーフに「俺を行かせるなー!」と言ってSTAYのメッセージを送るシーン。これっておかしくない?
だって今クーパーがここでメッセージを送れるのはNASAの座標を知って、宇宙に出たからであり、それを否定したら特異点の情報も送れないし、あかんだろう。
5次元空間
時間と空間の融合、という面で苦労したと思うが、やや具象化しすぎた嫌いがある。もう少し曖昧さがあった方が良かったか。

 

しかし平日とはいえ、封切り4日目で私たちも入れて観客10名以下。意外に少ないナー(残念)。