ボルベール〈帰郷〉 2006年 (8/17TV放送) | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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監督 ペドロ・アルモドバル

キャスト
ライムンダ     ペネロペ・クルス
ソーレ        ロラ・ドゥエニャス
パウラ         ヨアナ・コボ
イレーネ       カルメン・マウラ
パウラ伯母さん   チュス・ランプレアベ
アグスティーナ   ブランカ・ポルティーヨ
パコ          Antonio de la Torre


 

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=Qt1T5sh_z1c

 

感想
ペネロペ・クルスはいかにも濃い顔立ちで、ただのお色気だけの役柄かと思っていたら、けっこう生活感があってなかなか見応えがあった。
母親のイレーネが出て来た時は、本当の幽霊?これオカルト系の映画だったの?とも思ったが、どう考えても幽霊としての表現ではない。

 

登場人物がテンコ盛りで、関係を把握するのが大変だったが、後で真相が判って「なるほど」。
故郷に対する想いと父親に対する恨み。それは気付いてくれなかった母親に対しても抱いていた気持ち。しかし幼い頃、母親と仲の良かった時期にオーディションを受けるために歌っていたその曲を歌うことで、故郷や母親に対する思慕を募らせて行く。この辺、いいなぁ。
しかし姉妹の父親、ライムンダの父親と、しょうもない男ばっかりで、男が観るにはちょっとつらいかも。

 

 

 

あらすじ
村の墓地で両親の墓の掃除をする姉妹。姉ソーレと妹ライムンダとその娘パウラ。姉妹は微妙によそよそしい。

両親は3年半前に火事で死んでいた。

その地で時々噂になっていた姉妹の母親の幽霊に関する話。

 

普段はマドリッドに暮らしているが、しきたりに従って時々来なくてはならない。

この土地に一人で住む叔母パウラは認知症が進んで引き取る必要があった。叔母の向かいに住むアグスティーナが時々叔母の様子を見てくれている。アグスティーナの母親はライムンダの両親が火事に遭った頃から行方不明になっていた。

アグスティーナは母の死について姉妹の母親が何か知っていると思い、幽霊でもいいから会いたいとソーレに頼んでいた。
叔母はライムンダが引き取ると言うのを頑として聞き入れず、3人はマドリッドに引き返す。

 

ライムンダの夫パコは失業しており、家計をささえるために働いているライムンダの留守中に、娘に手を出す。パウラは身を守るためにナイフを手にし、はずみでパコを刺し殺してしまう。
その事情を知ったライムンダは、パコを以前働いたことがあるレストランまで引きずって行き、そこの冷凍庫に入れた。

そのレストランのオーナーは、引っ越しており、ライムンダはそのオーナーから鍵を預かっていたのだ。
そんな折りに、レストランを訪ねる若者がおり、ロケで30人程度の昼食を作って欲しいとライムンダに申し出る。それを引き受け、昔の仲間の助けも借りて何とかそれをこなす。
その後も昼食のオーダは続き、ライムンダはオーナーに、自分がここを引き継ぐと申し出る。

 

その頃、ソーレの元に叔母が死んだとの連絡。ライムンダは店の事があって身動きが取れない。

ソーレが急いで叔母の家に行くと、そこに死んだ筈の母親イレーネが居た。事情も良く判らないまま自宅に連れて帰る。

ソーレは独身で、モグリの美容院をやっていた。そこでロシア人の助手という事で母親を住まわせる。

ライムンダとイレーネは不仲であり、生きている事を伝えられない。
一方ライムンダはパコの死体を始末するためにバンを借り、仲間を使って冷凍庫を車に乗せ、パウラだけを連れて遠くの川の畔に行き、穴を掘ってそれを埋めた。

 

その後もロケは続き、スタッフへの昼食提供も続いたが、それも終わり、その打上げパーティーもライムンダが請け負った。

パーティーの終盤で歌を披露するライムンダ。娘時代にオーディションにも通った経歴を持っていた。そこにはソーレが母親を連れて来ており、車の中からライムンダを見ていた。

ライムンダの歌う「ボルベール」に涙する母親。

 

ソーレの家に出入りするうちにイレーネの事を知ったパウラ。

その後ライムンダもソーレの家でイレーネとの再会する。

そこで全ての真相が繋がる。姉妹の父親は家の向かいのアグスティーナの母親と不倫をしており、自分の家でその現場を見たイレーネは家に火をつけて二人を殺してしまった。

自分はそのまま死んだ事にして身を潜め、そのうちほとぼりが冷めてから認知症の始まった叔母の面倒を陰で支えていた。
姉妹の父親はライムンダにも手を出していた。その結果妊娠し、生まれた娘がパウラだった。母親にも知らせる事が出来ず、死んだ夫の子供という事で結婚したライムンダ。

よってパウラが殺したのは実の父ではなかった。
ガンに侵されているアグスティーナの面倒を見ようと考えるイレーネ。

 

 

ライムンダの歌う「ボルベール」
http://www.youtube.com/watch?v=FDDx0Y7T4g8