「氷の森」 大沢在昌 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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私立探偵緒方洸三の敵は、罪の意識を一切感じないで他人の弱味を握り、野望達成へと突き進む特異な犯罪者だった。
ヤクザすら自在に操り、平然と殺人を犯しながら姿を見せようとしない“冷血”な男との闘いに、緒方も血だらけになって挑む。
「新宿鮫」の原点となる鮮やかなハードボイルド・ミステリー。


この主人公のヒューマンな感じには好感が持てるが、話の筋立て自体はちょっとスケールが小さい。家出した少女にからんで若者が殺され、その周辺で幾人かが謎の死を遂げる。影で操るのが、かつていったん死亡と見せかけて戸籍を抹消した男。こう書くといかにもカッコいいが…・・
最終的に、犯人は緒方と対決することなく自決したのも「冷血のわりには根性のないヤローだな」という印象。ただ、ハードボイルドの基本は押さえている感じであり、ちょっと時間のある時に「一気読み」するのには好適。


「新宿鮫」シリーズもこのノリなら、多少のツッコミは出るだろうが、楽しく読めそうだ。