「おれ」白戸則道は大学を５年かけてようやく卒業しても就職浪人。毎日パチンコをして生活費を稼ぎ出していた。そこにおれが「ジジイ」と称する老人「小塚」が現れて、仕事をしないかと持ちかける。老人は毎日新聞を隅から隅まで読む事と、その地域にある「まつば銀行」の株価終値を記録せよと指示する。報酬は月３０万。
そこから始まる「株式マーケット」という巨大な世界を知る「おれ」。
前回読んだ「うつくしい子ども」とは全く趣きを変えた「経済小説」。ただ、株式に不慣れな読者にも判り易くレクチャーしてくれているので、興味を損うことはない。基礎的なことから次第に投資の駆け引きを学び取って行く白戸。
小塚老人が「まつば銀行」を狙う理由とは？
バブル期に銀行と生保が仕掛けた「融資付き変額保険 」の汚い手口。
例によって、細部について多少の甘さは否めないが、小塚の単に金のみではない行動規範、白戸の資質の良さといったところで、最後の読後感はマアマア。
読んで損はないと思います。ただこんなにウマく行くなら、だれでもやってるワな。
とはいいながらライブドアのホリエモンなんてのは、これに似た才覚であそこまでやっているんだから、キチンと研究すればそこそこ行けるかも？という期待も持たせてくれます。
この小説は、作者の実体験がベースになっている様です（インタビュー記事 ）。