他人の顔 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

薬品関係の技術者。事故で液体酸素を顔に浴び、素顔を人に晒せない状況になる。妻との関係も微妙に変化し、疎外感を深めていく。
自分の顔を作る事を決意。徹底した調査、研究。克明な仮面製作の記述。非常な努力の末に仮面は完成。
見知らぬ男として妻に近づき、そして誘惑。応える妻に対する不信、混乱。
妻は全てを知って、男に応えていたのだった。そして男から去っていく。

顔のせいで妻に嫌悪されていると思い込んだ男。事故の後も妻は何も変わっていなかったのに。「仮面をかぶろうと、かぶるまいと、そのあなたにはなんの変りもなかった・・・」去っていく妻の言葉。
大江健三郎の解説が深い。