光と闇 天降る星が奏でる物語

光と闇 天降る星が奏でる物語。


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● 光と闇 天降る星が奏でる物語 総合目次







或る日、二人の若者は十年振りの邂逅(再会)を遂げる。

一人は剣術や光の術と呼ばれる技量を磨き。

一人は異界の地で異能の数々を修めて舞い戻る。

二人の出逢いが運命の糸を紡ぎ出し、縁ある人々の運命をも揺さぶり、時代のうねりと共に解き放たれる! !




● 白露と光波旭天流

邂逅を遂げた二人の若者。

その一人、大和 白露は南千住にある道場へと戻る。

師である土門十全が語る、白露の秘密とは………。




● 白露の朝のひととき

白露の朝のひとときは、日課をこなすことから始まる。

道場に手習いに来た子供たち。

そんな子供たちが一目散に逃げる。その相手とは‥‥‥。




● 白露と相模屋利兵衛

白露が光流のもとへと向かう途上。

ある店へと立ち寄る。

そこの主人である相模屋利兵衛が商うものは‥‥‥‥。




● 白露、光流宅を訪う

相模屋で手土産を持参した白露は、八丁堀に辿り着く。

そこで、店子の女房達に翻弄されながらも、光流宅を訪う。

白露の呼び掛けで光流宅から出てきたのは‥‥‥‥。



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● 児童養護施設の子供達に理想の未来を!!

おはようございます。山里 洋です。

この世界には、よんどころない事情で親と暮らせなかったり、虐待ゆえに親と住めないでいる。

そんな児童養護施設で生きる子供達がいます。

児童養護施設は全国に600施設あり、約30,000人の子供たちが暮らしています。

そのうち親が居ない子が2/3、虐待などで親がいるのに家に帰れない子が1/3。

子供達の多くは18歳になるまで施設で過ごし、そこから社会へと旅立ちます。

しかし児童養護施設出身だからといって、偏見を持たれることが多いのが実情です。

過去に辛い経験をした子供達の多くが、社会に出ても辛い目にあっているんです。

何故、この様な負の連鎖が続くのでしょうか。

そこには、児童養護施設のことを知らないが故の、社会が持つ過度の偏見が見え隠れしています。

そう、人は未知の事柄に対しては、ネガティブなイメージが先行するからです。

その人が背負う過去をみて、そこから連想する先入観に支配されやすくなるからです。

もちろん、それだけではありませんが、その想いがもたらす相手への影響は計り知れません。

想いは交錯します。

交錯した想いは相手の心を傷つけ、更なる溝を創り出します。

でも、これらの未知の部分や先入観なども「知る」「知っている」状態となれば、その趣きも違ってゆくでしょう。

そのためには、多くの方に知っていただく必要があります。

その方法として「映画」が選択されました。

子供達の過去の辛い体験や、心の傷を深く掘り下げる、そんな映画ではありません。

子供達が夢や希望に向かえる未来を創造でき、社会の偏見や先入観をなくしてゆく。

そんなエンターテイメント性の高い映画が企画されています。

企画されたのは、NPO社団法人キッズ・ドリームパートナーズ代表の山本敏幸さん。

でも、あなたもご存知の通り、映画を完成させるには費用が必要です。

その費用を捻出するためには、多くの方の支援が必要となります。

プラチナ思考でお話する、幸せなお金持ちになるための方法の一つとして。

「収入の一割を他の人に与える」というものがあります。

豊かさを分け与えることで、更なる豊かさが還ってくるということです。

多くの億万長者と呼ばれる人々は、この教えを実践されています。

あなたが持つ豊かさを、笑顔や喜びに変える。

そして、この方法は徳を積む行いにもなります。

「徳は魂の財産」とも呼べるもので、魂に貯まってゆき、その恩恵は輪廻の先や末代まで続くものです。

徳を高め、金運を高める、そんな数少ない方法の一つとして、お話させていただきました。


そんな素敵な映画創りに、興味を持っていただけた方は覗いてみてくださいね。

子供達の未来への希望や、社会的意義を少しでも感じていただけたなら、こちらよりお進みください。

児童養護施設の子ども達に「希望」と「生きる力」を伝える映画を

あなたの愛ある支援が、未来の子供達の笑顔への道しるべです。

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● 光と闇 登場人物略式紹介 総合目次



1828年~ 大和 白露(やまと はくろ)

外神田、神田明神裏手の大和家に生まれる。

大和家は千石の旗本であり、白露は故あって十歳の頃より………。




1828年~ 八州 光流(やしま こうりゅう)

外神田の地にあった、八州家に生まれる。

八州家は御家人ではあるが、末席の三十俵二人扶持の家柄で、十の歳に上野不忍池で………。




1822年~ 土門 龍毅(どもん りゅうき)

父.土門十全と母.静香の長男として生を受ける。妹に楓がいる。

その偉容と武芸教伝の激烈さから、光波の"鬼仁王(おにおう)"様と呼ばれ………。




179?年~ 土門 十全(どもん じゅうぜん)

1828年に南千住の地に、忽然と光波旭天流の道場を開く。

温和で飄々とした人柄ながら、武芸百般に通じ。

膨大な知識から光の術を編み出している。

その生い立ちは謎に包まれており‥‥‥。




1832年~ 土門 楓(どもん かえで)

父.土門十全と母.静香の長女として生を受ける。兄に龍毅がいる。

幼少の頃より、父.十全より光の術の手ほどきを受ける。

光の術の力量は相当なものであり、時折その才覚を顕すが‥‥‥。



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● 光と闇 登場人物略式紹介 土門 楓


1832年~ 土門 楓(どもん かえで)


父.土門十全と母.静香の長女として生を受ける。兄に龍毅がいる。


幼少の頃より、父.十全より光の術の手ほどきを受ける。


母譲りの美貌を持つ可憐な少女で、門弟達の憧れの的となっている。


普段は土門家の家事全般を取り仕切っており、道場や手習い所に顔を出すことは稀である。


しかし光の術の力量は相当なものであり、時折その才覚を顕すが、余人にそれと知れることはない。


白露にほのかな想いを寄せていることは周知の通りだが、当の白露はそんな事とは露知らぬ体である。


そんな二人を温かく見守る父.十全だが、門弟達の白露に対する嫉妬もまた‥‥‥‥。


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● 光と闇 天降る星が奏でる物語 邂逅編 4

南千住の道場を出た白露は、八丁堀へ向かう途上にある神田相生町の菓子舗「相模屋」に立ち寄った。

八畳程の入れ込みに、種々数多な菓子が取り扱われている菓子舗で。

隣接する茶店で、菓子を食することもできる。

この茶店は夕刻から酒飯も供しており、一日中客足が絶えることがない。

ここの名物は最近流行りの久寿餅で、ところの評判もよく大層繁盛している。

関東界隈で食される久寿餅は、小麦粉を発酵させたものを用いるものが多い。

関西周辺では葛粉を用いる葛餅になり、その製法も歴史的経緯も異なる。

きな粉や黒蜜をまぶして食すのは同様であり、その涼感から夏場に食される機会が多い。

白露も光流も、相模屋の菓子が幼少の頃からの好物であり、手土産にするには最適といえる。

「おぉ、これはこれは大和の若様、御久し振りでございます。」

そう言って深々と頭を下げたのは、この菓子舗で主を務める相模屋利兵衛である。

四十半ばの血色の良い男で、恰幅の良いお腹が信楽のタヌキを連想させる。

どこか惚(とぼ)けた感のある人物で、白露との所縁(ゆかり)も深い。

「お久しぶりです。

もうそろそろその若様というのはやめて頂けませんか?」

幼き頃よりそう呼ばれていた白露だが、二十歳を迎えた今、流石に面映(おもは)ゆい。

「これはこれは失礼致しました。

昔から御見知りしています故、ついつい口がすべってしまいました。」

利兵衛がこの地に店を構えて二十年余。

白露を幼少の砌(みぎり)より存じている利兵衛にとって、無理からぬことといってよい。

「お父上が亡くなり、兄君が家督を継がれ。

白露様も御苦労がおありではございませんか?」

「いえ、私も家を出て、今は光波で過ごす身なれば。

大和家のことは兄上や母上、それに妹の葵が盛り立ててくれるでしょう。」

「左様でございますか。

光波様においては、娘の「香名」がお世話になっておりますが、しっかりと勤めておりますでしょうか?」

香名は楓より一つ上の十七の娘で、光波で子弟達に手習を教える傍ら、光の術の修業に勤しんでいる。

光波旭天流には二つの流れがあり、武芸の流れと、神仏所縁の光の術という流れがある。

各々に四人の師範代がおり、巷間では光波四智仙とか、旭天四剣豪と呼称されており。

無論白露も含まれているが、白露のみこの双方に名を連ねている。

香名も、この光波四智仙の一人に数えられ、その博識と才知から「女こうめい」と門人達の間ではささやかれている。

こうめいとは、中国古代三国の時代は蜀の軍師にして丞相、智将.諸葛孔明のことである。

その神算鬼謀振りや信賞必罰の公正さから、優れた人物に対する代名詞として扱われている。

「はい。子供達への教えも上手く、光の術においても熱心に励まれておられます。」

幼少の頃より香名にせがまれ、数多の蔵書を与えてきた利兵衛である。

その香名の成長ぶりに感慨も一入(ひとしお)であろう。

「左様でございますか。一人娘ゆえ甘やかしてきましたが。

自分で選んだ道ゆえ、無事に勤めてくれていれば、こんなに嬉しいことはありません。」

そういって相好を崩し、喜びをかみしめる利兵衛であった。

その利兵衛を微笑ましく見つめる白露が、

「今日は知人宅へ赴く為、手土産にと久寿餅をいただきたいのですが、十包み程いただけますか?」

感慨に浸っていた利兵衛だったが、我に返り、

「これはこれは失礼致しました。では早速ご用意させていただきます。」

勘定を済ませて、久寿餅が包まれた袱紗(ふくさ)を受け取り、再び八丁堀へ向けて白露は歩み出した。

そんな白露を、利兵衛は見えなくなるまで見送った。

往来の人通りも慌ただしく賑やかになり、町の喧騒が辺りをつつんでゆく。

神田川沿いに群生している紫蘭が蕾みをほころばせ、今か今かと開花の時期をうかがっている。

光流のもとへと向かう白露の後を追うかの様に、少しずつ紫蘭が花開く様が、春の移り行く姿を色濃く物語っていた。


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● 未来をつくるミラクルランチ会 in 金沢 北陸に初上陸!

おはようございます。山里 洋です。

今朝の白浜は、昨夜から雨となり豪雨が屋根をたたいていました。

今は落ち着いていますが、荒れた天気が予想されます。

そんな白浜をよそに、9月9日北陸は石川県の金沢で熱い企画が盛り上がっています!

その名も、全国で好評開催中の未来をつくる「ミラクルランチ会」

ミラクルランチ会は、総計50回以上の開催実績をもつランチ会。

述べ1700人の方が参加され、ミラクルが起きる人気のランチ会です。

なんと北陸エリアでは初の開催となります。

そんなミラクルランチ会の特徴は!

☆人との出会いで「奇跡を起こしたい」☆
☆夢を語ることで「未来をつくりたい」☆

そんな素敵なミラクルを実現したい方におすすめです。

ビビビッと感じられた方は下記より、私のお友達のブログを覗いてみてくださいね。

未来をつくるミラクルランチ会 in 金沢 北陸に初上陸!








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● 光と闇 登場人物略式紹介 土門 十全


179?年~ 土門 十全(どもん じゅうぜん)


1828年に南千住の地に、忽然と光波旭天流の道場を開く。


その生い立ちは謎に包まれており、杳(よう)として知れぬ。


温和で飄々とした人柄ながら、武芸百般に通じ。


膨大な知識から光の術を編み出している。


公儀隠密からは目を付けられているが、京の公達公卿とは親しい間柄である。


1846年に隠居し、家督は長男の龍毅が継いでいる。


未だその業の冴えは衰えず、龍毅をして「一生超えられない巨大な壁」と言わしめている。


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● 光と闇 天降る星が奏でる物語 邂逅編 3

光流との邂逅を遂げた翌朝、明け六つ頃(日の出頃)に白露は起居した。

爽やかな風が、桜のほのかな薫りを運んでいる。

何事もなければ白露の朝は、決まってこの流れで進んでゆく。

軽く朝餉を摂り、沐浴して後、陽光に向かい瞑目するのが日常となっている。

光波旭天流の極意でもある陽光の力を得るための、欠かせない儀式である。

瞑目を終えた白露は、大きく深呼吸して調息し。

出立の準備を整えて光流の住まう長屋に赴く為、玄関で身支度をしている。

五つ過ぎ(約8:00頃)であろうか、近隣の子弟達が手習を学びに続々とやってきた。

ここでは身分に分け隔てなく、百姓の子も町屋の子も武家の子も、等しく扱っている。

子供たちが白露を見つけて、どっと集まり。

「しらつゆ先生、おはようございます。」

と元気に挨拶してきた。

「しらつゆ」とは白露のことである。

色白細身に端整な面持ちからか、子弟たちやその親たちも含め、親しみを込めて、こう呼んでいる。

「はい、 皆さんおはようございます。」

その中の一人、百姓の子である善吉が、白露が腰に提げている三振りの太刀を見て、

「あれれ?しらつゆ先生どこかへ出かけるの??」

と、くりっくりの可愛い目をまあるくして訊いてきた。

「はい。 今日は所用があり、知人の住まいへと赴くところです。 」

「そっか~‥‥‥、今日は先生いないのか~‥‥‥。」

子供たちは皆一様に、残念そうにうなだれている。

「今日は出かけますが、また明日からは共に励みましょう。

今日は大先生もみてくれるそうですよ。」

大先生とは、隠居した十全のことである。

子供たちも幾分か元気を取り戻し、

「うん、わかった。しらつゆ先生いってらっしゃい。」

みんなが白露を見送ろうとする最中、奥から龍毅が現れた。

「白露、今から出立か?」

その声を聞いて振り向いた子供たちが、一斉にこう叫んだ。

「きゃーー、光波の"鬼仁王"様だーーー!!みんな逃げろーーー!!」

子供たちは、あちらこちらで叫びつつ、各々の手習部屋へと駆け込んでいった。

「はい。 今から出立致します。

先生は相変わらず子供達から怖がられていますね。」

この情景をみて、静かに微笑みながら、しみじみ漏らす白露へ、

「な~に、これ位で丁度良いのだ。

怖いものの一つや二つあった方が、子供達の為にもなるでな。」


事も無げに、こう平然と言い放つのは、如何にも龍毅らしいといえる。

「誠に以って、なるほど。

流石は先生、深くお考えのことでありましたか。」

「ま~よい。それより先程親父殿と話していたのだが。

おぬしが会う八州殿を、一度当家へ連れて参ってはどうかとの仰せであってな、どうだ?」

突然の龍毅の申し出に、少し思案して後、白露はこう告げた。

「心得ました。 かように伝えてみます。

10年前とは異なり何分変わった男にて、その旨は含んでおいてください。」

今の光流がどの様な状況かは、まだ判然としていない故、白露は即答を控えた。

昔の光流が、あまり人前に出るのが得手ではない事を思い出していたからでもある。

「うむ、相分かった。気を付けてな。」

大地に根を下ろすかの如く悠然と双手を胸前で組み、威風堂々と見送る龍毅に、

「では、 行って参ります。」

着流しを翻し、颯爽と白露は出立していった。

桜の花びらが舞う爽やかな涼風が吹き抜ける中、心地好い春の陽射しを背に、大空で雲雀が一羽、その美声を誇らしげに奏でていた。


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● 光と闇 天降る星が奏でる物語 邂逅編 2

六つ半(約19:00頃)を少し過ぎた頃、白露は南千住の道場へと帰り着いていた。

道場は南千住の東端に程近く、周囲には田園が広がっており、東方二町半程先に宮戸川(現隅田川)を望める。

南千住には小塚原刑場等があり、この付近は江戸の鬼門筋に位置している。

ところの人々の話では、夜な夜な百鬼夜行が行われており。

魑魅魍魎が溢れて、千万怪異が起こっていると実(まこと)しやかに囁(ささや)かれていた。

千住大橋の手前の道を、東へと切れ込み、田園の通りを道なりに抜けた先に小高い丘がある。

その丘への坂道を上ると、右手に道場がみえ、左手にある緩やかな上がり傾斜の先に、住居兼手習所が建てられている。

帰り着いた白露が戸を開け、三和土に入ると、それを迎える声があった。

「お帰りなさい、白露様。ご実家の方は、お変わりありませんでしたか?」

にこやかに微笑みながら迎えたのは、この道場の娘の"楓"である。

歳の頃は、十六を少し過ぎたばかりの美しい少女で、白地の小袖に淡い桜色が華やいでみえる。

軽やかな足取りが、たゆたう百合を思わせる。

「はい。何時もの如く変わりありませんでした。

先生や大先生はどちらに居られますか? 」

「あっ、父上や兄上は春の間で夕餉を・・・。

白露様もお腹がお空きではないですか?今すぐお持ち致しますね。」

そう言うと楓は、慌てて白露の食事の支度をしに、台所の方へと小走りにしていった。

兄上とは、家督を継いでこの道場の主となっている"土門龍毅"である。

龍毅は齢二十五を越えた、身の丈六尺はあろうかという偉丈夫で。

武芸の教伝においては、その苛烈さから、光波の "鬼仁王(おにおう)"様 と呼ばれ、畏れられている。

龍毅と楓、二人の父"土門十全"は、五十を幾ばくか越えているが、未だ壮健で。

家督を譲った隠居の身ではあるが、近隣の子弟からも慕われ、良き先達となっている。

白露は三和土を上がって縁側を進み、行灯が煌々と灯る、春の間の前で着座した。

「大先生、白露です。ただいま戻りました。」

「おぉ、戻ったか白露。」

室の障子は開け放たれている。

風流に庭で咲き誇っている、見事な一本桜を愛でる為にである。

故に、春の間と呼称されている。

その姿は、さながら観音様が双手を広げたかの様に、見事な枝振りを披露している。

花は八分咲きといったところであろうか。

その見事な花弁が夜闇を背にし、頭上の月光と室の行灯に照らし出されて。

妖艶な翳(かげ)りと共に、美しく微風に揺れている。

室に入り、何時もの場所へと着座する白露へ、十全は静かにうなずく。

「実家の様子はどうだ? 何か変わりはあったか?」

「いえ、何時もの如く、変わりありませんでした。 」

「左様か。大和家も先代が亡くなり、そなたの兄が家督を継いでまだ間も無い。

色々大変であろうが、兄を助けて励むのだぞ。」

10歳の頃より、故あって預けられている白露にとって。

十全は育ての親ともいえる存在であった。

「はい。心得ました。

それと今しがた帰路の道中で、思いがけず昔の友と出逢うてまいりました。」

白露がそう語った瞬間、十全の目が微かに細まり。

その眼の奥底から、虹彩が放たれているかの様に、白露には感じられた。

あるいは十全には、白露と光流の出会いにより、白露が持つ太刀一振りの変化に、気付いていたのやもしれぬ。

「ふむ・・・左様か・・・。

もしや、そなたが当家に来る要因となった、"神隠し"の少年かね?」

「はい。十年前に神隠しに遭い、行方知れずとなっていた者です。

ですが、その者が要因とは・・・?」

白露にとって十年前の記憶は、白い闇に閉ざされたままである。

「そなたが当家に参ったのは、病を癒す為であったのは憶えているな?

そなたの母御の言によれば、少年が神隠しにあった話を聞いた夜から、凄まじい高熱に襲われた由にてな。

様々な医者や祈祷を試みたが、全く効果が出ず、最後に来られたのが、当家であったということじゃ。

なんとか八方手を尽くして、事無きを得たのじゃが。

幼いそなたに事の次第を告げれば、また病に臥すかもしれぬと思ってな。

今迄秘していたという訳じゃよ。」

事の顛末を知り、白露にくすぶっていた白い闇が、少し晴れたように思われた。

「そうでありましたか・・・その様なことが・・・。

お心遣い、ありがたく存じます。」

「おそらくは、その少年所縁の因がもたらしたものであろうな。 

そなた自身の宿命そのものにも、関係してるのやもしれぬな。

心して付き合うてゆかねばなるまいて。」

十全の言葉には、我が子を愛うのと同じ想いが込められていた。

「心得ました。その事ですが、明日その者の家に赴こうかと存じます。」

「左様か・・・。うむ、相分かった。気を付けていってくるがよい。」

そう語ると十全は双目を閉じ、何やら思案にふけっていった。

こうなると暫くは身じろぎもせず、黙念と時を送るのが、十全の日常であった。

その時、台所からこちらへと歩む、楓の足音が聞こえてきた。

膳を運ぶ楓が父を見て、あらっ、また始まったのね ! と軽く微笑んだ。

愛らしい楓の仕草が、その場の空気を引き戻してくれたようだ。

「白露様、お待たせ致しました。

今日は近隣の方々から、旬の野草等を頂きましたので、色々とこしらえてみました。

どうぞ召し上がってください。」

楓の母は、産後間も無く病歿(ぼつ)しており、奥向きのことは、女中の"お登勢"に任されていた。

そんなお登勢も、二年前に病没している。

それ以来、奥向きのことは楓が仕切っており、手習子弟の母親達も、何かと気に掛けて立ち働いてくれている。

「ありがとうございます。では、頂かせていただきます。」

そこで巌(いわお)の如く、静かに酒を呑み干しながら、膳を味わっていた龍毅が、唸るようにつぶやいた。

「うむ、美味い!! また腕を上げたな、楓!!」

普段からあまり口数の多いほうではない龍毅が、このように洩らすのは珍しいことと言えよう。

特に父、十全と居る時は殆ど口を開くことはない。

龍毅いわく。

「儂の言いたいことは、全て親父殿が話してくれる。

儂はただ黙って聞いておれば済むことだ。」 

というような次第である。

そんな兄の称賛に対し、少し照れながら、楓は微笑みでかえした。

今宵の膳は、土筆(つくし)の玉子とじ、こごみの木の芽和え、わらびの酢醤油和え。

田螺(たにし)の味噌汁、真子鰈(かれい)の煮付け等となっている。

「本当に良い香りですね。

毎年これ等、旬の野山の菜が供されると、あぁ桜の時分が来たのだと、心が浮き立ちます。

楓殿、真に美味しいです。」

白露の言葉に、楓は少し頬を赤らめ。

「良かった、白露様のお口に合って。

これからも腕によりをかけて、美味しいものを作りますね !」

上機嫌の楓の声色に、瞑目を終えた十全がぽつり。

「うむ、白露のご相伴に預かれて幸いだわい。」

と、笑み混じりに含む父に、楓は少し頬を膨らませて。

「もう、、、お父様ったら!!」

と、更に顔を上気させながら、台所へとかけていった。

「ふふふ。楓も、もうそんな年頃になったか。」

と、しみじみと感慨深くもらす、十全であった。

夜気が色濃く立ち込めていく中、それぞれの胸中に様々な想いを秘めながら。

複雑に絡み合う運命の糸に結ばれ、時の流れは大きなうねりと共に、動き出していく。



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