コムスン こけたら みなこけた | グレースケアのとんち介護教室

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時代の先端にして崖っぷち、ケアのトレンドを脱力レビュー。

コムスンが怪しいのは当たり前だが、マスコミの動きもそれ以上に相当怪しい。


景気回復で介護職がいよいよ集まりにくくなっているなか、2万3千人もスタッフがいるコムスン。なかには、ほんと、どうしようもないヘルパーも紛れているだろうし、クレームも最大手と思われる。利用者も7万人近いし。でかいし。


介護保険開始当時の、急拡大(1200拠点)→急縮小(400拠点)ほど極端ではないにせよ、いまだに走りながら慌てて形をつくる社風(よくいやベンチャー)、ふりまわされるスタッフや顧客はたまったものではない。


が、今回のマスコミ報道、なんで年末のこのタイミングなんだろう?


グッドウィルの株、一気に売られて大暴落かと思いきや、急上昇で持ち直すし。コムスンの反撃が功を奏し、読売の誤報、あるいは大きな問題ではないという世評を反映?(またはどっかの筋が入ってる?)


モルガン・スタンレーのレポートは、介護報酬の組織的な過大請求について、「誤報の可能性が高い」とする。東京都福祉保健局にモルガンさんが聞いたところ、「厚生労働省との協議によって本年度から影響力の大きい大手介護事業者を集中的に実地調査することになっており、その一環。…監査という言葉は適当ではなく、読売新聞に誤解があったのではないか」との答え。また、ニチイ学館にも聞いたら、通常の実地調査に同社も協力している由。


読売は、「都は実地指導をしたが、…従わなかったため、今回は行政処分も可能な『監査』に踏み切った」と書いている。これ、明らかに事実と違う。コムスンが激怒するのもわかる。では、何で、そんなテキトーな記事が、大新聞の1面を飾り、他紙やテレビでも引用されてしまったのだろうか?


そもそも記事中、問題とされている事例は、以下のとおり。


読売 (関係者によると、とする)

・家事援助などで「見守りサービス」もしたことにして時間を長くする

・服薬介助のみで、保険対象外のケースなのに、他のサービスも行ったことにする


毎日 (都によると)

・介護報酬を請求できない掃除や皿洗いにかかった時間を加算して請求

・実際にはやっていないサービスを提供したように装う


日経 (都への内部告発として)

・ヘルパーが実態よりサービス時間が長かったことにしている

・本人が1人でできるのに買い物に付き添い、介護したことにしている


朝日 (昨年と今年の調査結果として)

・散歩や話し相手、マッサージなど、保険対象外のサービスについて請求

・服薬介助など、数分で終わるはずのサービスを「30分間の介護」とする

・2日に1度、部屋の掃除をするなど、不自然な請求


これ、マスコミが直接、コムスンの利用者やヘルパーに取材して挙げているわけではなく、そもそも行政の取材なので、曖昧で、今ひとつパンチに乏しい。4月改正の保険請求Q&Aをみるよう。そして、記事自体が、ここまでは認めないっつうレベルを周知する役割を果たしている。


モルガンさんのレポートでは、企業と取引を行っており客観性に影響を及ぼす場合があり得る、と正直に打ち明けている(このブログだってそう)。

読売さんの場合は、いちおう客観中立じゃなきゃいけないハズなので、どこと取引しているのかわからない。でも、ネット上、「コムスンが過大請求」の記事と同日にアップされたのは、以下の記事(強調はアタシ)。


「介護予防」基準を4月から緩和、対象者集まらず

 厚生労働省は27日、介護保険の「介護予防事業」の対象者を拡大する方針を決めた。来年4月から、選定要件を緩和する。
 同事業は、今年4月施行の改正介護保険法の目玉事業。高齢者が要介護状態になるのを防ぎ、給付費を抑制する狙いがあるが、現行の選定方法では対象者が予想以上に少なく、このままでは目的が達成できないと判断した。
 介護予防事業は、介護サービスを使う前の虚弱な高齢者が対象。厚労省が作った基本チェックリストなどで市町村が選定し、希望者は筋力トレーニングや口腔(こうくう)ケアなどの予防事業に参加する。
 厚労省は、65歳以上の全人口の約5%、事業初年度の今年度は約3%が該当すると見込んでいた。


引用終わり。


一方は叩いて減らし、一方は受け皿を拡大する。

この発表のタイミング、あまりにも露骨…。


来年の介護事業の先行きを示す、キビシイ年の瀬。

大新聞の提灯だけが、こうこうと明るい光を放っている。


木鐸でいい。介護負担に苦しむ家族や、正月なく低賃金で働く介護職も照らして欲しい。

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