1 かえる銀行強盗事件
デカゲロたちは今日もコーヒーを飲んでいる。
――これから、事件が起こり、デカゲロ探偵事務所に連絡が来ることをまだ知らない。
プルルルル
「ん?何だぁ?はい?」
『中央蛙市のかえる銀行です。さっき、強盗が来たんです。防犯カメラを見せますので来てください!』
「中央蛙市ぃ!?」
この前、デカゲロたちがテレビに出てまだ一週間なのに、もう事件。テレビ放送は、かえる県全体に出てくるので、pickles市から遠い中央蛙市から来るのも無理はないが・・・・・・
デカゲロは、ちょっと驚くが、一応、「今から行きます。」と言っといた。
「なかゲロ、メガゲロ、とくゲロ、行くよ!」
とくゲロが不満そうな顔で言った。
「え。今、トランプやってるのにぃ。」
今度はメガゲロ。
「今からクレープ買いに行こうと思ったのに。」
そんな事でも、デカゲロは二人の弱点を知っている。
「じゃあ、給料、無し。ぼくとなかゲロで分けるよ。」
「ダメダメダメ!絶対ダメぇ。行くからぁ。」
「行くよ!もちろんね。トランプなんかどうでもいいもんね。」
二人はお金の話になると真剣になる。
「じゃ、行くよ。」
2 中央蛙市まで車で五十分
「ねえ、中央蛙市まで車?」
「当たり前でしょ。中央蛙市まで時速六十キロで行ったら、行ったら、五十分掛かるよ。」
算数が得意なメガゲロはもう計算。
「じゃあ、中央蛙市まで五十キロあんの?」
車酔いに弱いとくゲロは、
「げっ。そんな。」
「酔い止めでも持っていけばいいでしょ。」
「ふぁ~い。」
「LettsGO!」
車の中には音楽が響き渡る。
『ぼくらーはpickles。ぼくらーはpickles。たとえ、どんなことがあっても、ぼくはpickles。君もpickles。』
「ラララ~。」
「ルルル~。」
「ふんふふ~ん。」
みんな、歌詞が分からないから、鼻歌。
とくゲロは、酔い止めを飲んでいるせいか、寝ている。
「ZZZ。ZZZ。」
デカゲロは、かえる銀行を発見。
「あ!もうすぐだよ。」
3 現場におかしいところは?
デカゲロたちは、かえる銀行に到着。
「デカゲロさん、こっち来てください。」
電話されたと思われる女性が来た。
「防犯カメラです。」
デカゲロたちが見たもの――それは、顔に白粉(おしろい)が塗ってある人物の姿。
それを見たメガゲロは、
「え~。防犯カメラに顔が映って無かったら、犯人特定出来ないよ。」
防犯カメラに顔が映っていたら、警察だけで済むので、デカゲロたちを呼ばないのでは?
「じゃ、現場を捜索するとしますか。」
デカゲロたちは手袋、マスクを装着。
「あ、とくゲロは、話を聞いて。」
とくゲロは手袋とマスクをはずした。
「あの、現場の時の状況を教えてくれませんか?」
「えっと、大きなナイフを持った人がふたり・・・・・・。で、『金を出せ。』と言ったんです。」
とくゲロが話を聞いているなか、なかゲロが何か発見。
「先輩、ドアの所にピクルス指紋がありますよ!」
「本当?じゃ、鑑定しよう。」
「でも、掃除している割にはいっぱいありますね・・・・・・」
メガゲロが入ってきた。
「当たり前じゃない?今、何時だと思ってんの?お客さんいっぱい来るに決まっているでしょ。」
久しぶりにメガゲロもいいこと言う。
今日はもう事務所に帰ってしまった。
五十分なら、泊まっても悪くないが・・・・・・。
4 それぞれの証拠
四人は、昨日の調べたことを報告。
「じゃ、なかゲロから。」
「ドアの所にピクルス指紋が十数箇所ありました。今は鑑定中です。」
「じゃ、とくゲロ。」
「昨日電話をかけてくれた、マロンさんの話によると、大きなナイフを持った二人組が、『金を出せ。』と言って脅し、銀行はパニクったため、千万円出してしまったのこと。」
「千万円って、大損害。」
「だからこそ、ぼくたちが解決するんだ。」
『プルルルル プルルルル』
「あ、電話!あ、はい!あ、そうですか。はい、はい。」
なかゲロはきっと指紋鑑定の話をしている。
「人数は五人で、全て社員だって。」
メガゲロがいきなり。
「犯人の証拠が無いのは当たり前じゃない?」
「え?」
「そんなことも分からないの?名探偵、デカゲロくん。」
(うるさーい!君のほうが算数得意だから有利だろ―――!)
「防犯カメラ見て、犯人、手袋してたよ。」
(それ、早く言え!っていうか、証拠を見つけたのはなかゲロだし!ぼくに言うな!)
「じゃあ、何で犯人を調べるの?」
とくゲロは分からない。
「それは、大きなナイフを買った人物を探せばいいのさ。」
なんだか、メガゲロから、名探偵の匂いがぷんぷん。
5 一体、誰なの?
四人は、大きなナイフを買った犯人を探すため、ナイフ屋へ。
「最近、大きなナイフを買った人って、います?」
「ええ、確か、“モンブラン”って名前の人。」
他のナイフ店でも調査。
「あ、“モンブラン”って人が買いに来ましてよ。」
「“モンブラン”って人、五丁も買っていたわ。」
しかし、別の候補も・・・・・・
「“ブラウン”って人が二丁買っていったの。」
「だ、誰だ―――――!」
「名探偵デカゲロくん、ぼくは、犯人、分かっちゃったよ。」
(な、なんだとぉ!)
「うっそぉ。アハハ。騙された!」
「こらっ。人をだますなぁ!」
「ちぇっ。」
ちょうどそのとき、電話がかかってきた。
『あの。pickles警察です。pickles銀行の事件について、防犯カメラから、見て、実は三十年前にも同じケースがあったんです。』
それを聞いて、デカゲロはすぐに「モンブラン」と検索。すると、生年月日は二十八年前。同じように「ブラウン」と検索。やっぱり、生年月日は、三十年より前、二十七年前。
「もしかしたら・・・・・・犯人はモンブランとブラウンで、模倣犯・・・・・・?」
6 模倣犯って、なあに?
「・・・・・・ねっ。デカゲロくん。」
とくゲロは、何か聞きたいみたい。
「模倣犯って、なあに?」
一気に雰囲気が・・・・・・変わる!
とくゲロ以外、唖然&呆然。なかゲロ、メガゲロは、固まっているが、デカゲロが答えた。
「模倣犯は、前代にあった事件を真似すること。つまり、今回の事件でいうと、今回と同様な事件が三十年前にあって、それを真似た事件、ってとこ。」
「なるほど。」
「んじゃ、この事件は、モンブランとブラウンで、いいかな。よし、解決!三十年前の事件があることで、こんなに早く解決するなんてね。」
と、メガゲロが言った、その時。
「いや、三十年前の事件は、まだ解決していないんだ。それも、ぼくたちが解決しなくちゃね。」
「え―――!」
そう、三十年前の事件は、未だに解決していなかった――。
「んもう!せっかく一休みできると思ったのに。」
「ちぇっ。」
メガゲロととくゲロは戦意喪失。
「二人とも。しょうがないよ。ぼくたちは、テレビにも出る、“名探偵”だからね。」
「ちぇっ。」
この二人の先が、思いやられる。
7 三十年前の未解決事件
早速、四人は三十年前の未解決事件を片付けることに。
「先輩、三十年前の事件で逮捕されたのは「キラ」と、「ファイヤー」です。多分、ブラウンとモンブランの親、というところでしょうか。」
「じゃっ、無実の罪で逮捕された二人の敵をとるために・・・・・・?」
「でも、少し変ですね。復讐とかならば、殺人事件起こしてもおかしくはないと思うのですが。」
「自分に罪を背負いたくないからかもね。」
「誤認逮捕って、ウザい。」
「ほんとほんと。」
「ねえ、犯人って、白い人?」
「か、もね。」
なぜか、とくゲロは「か」を区切った。
「警察によると、三十年前の犯人は、捕まって、事情聴取のときに、逃げ出したそうです。そのとき。白粉はついてなく、そのまま模様がかいてあったそうです。」
「なかゲロ、ご苦労。」
とくゲロは叫んだ。
「分かった!犯人。」
「え?」
「肌が白いピクルスで、三十年より前に生まれている人!」
「・・・・・・。とくゲロ、そんなこと、みんな分かってるの。」
「え・・・・・・。」
もし、これがアニメだったら、チーンと鳴る。
8 未解決事件、未解決?
「うーん。検索に頼りますか。」
「いや。でも、検索だと、たくさんいるはずだし・・・・・・。」
デカゲロはひらめいた。
「あ、市役所で調べれば?」
「いいね、いいねっ!」
とくゲロ、真っ先に賛成。
――四人は中央蛙市役所住民課の窓口へ。
「はい。なんでしょうか。」
「ちょっと、調べたいことがあって。」
「三十年前のデータ、お借りしてもいいですか。」
「それはプライバシーに関わることです。絶対にいけません。
断固拒否。
すると、メガゲロ、いいことを思いついた。
「pickles市デカゲロ探偵事務所の探偵です!お借りしたいです!」
「ああ、デカゲロさんと、その後輩たちですか。いいですよ。どうぞ。」
意外とあっさりいけた。
「イェーイ!」
「みんな、終わった?」
「うん。」
「白いピクルス、見つけた?でも、子供は除いて。」
「すると、この5人に絞られるね。」
そこには、“グレープ”“ブレッド”“ピーチ”“ブライアン”“ドレミ”の文字。
「女の子、二人・・・・・・。」
「でも、女の子だからって犯人じゃない、とは言い切れないよ。」
デカゲロはうんうん、とうなずく。
「みんな、犯人、考えて、指差してみて。」
「せーの!」
デカゲロは“ブレッド”と“ドレミ”。
なかゲロは“グレープ”と“ドレミ”。
メガゲロは“ピーチ”と“ブライアン”。
とくゲロは“ブレッド”と“ブライアン”。
デカゲロは、
「みんな、犯人は、この二人。」
「なんで?」
デカゲロ以外、テキトーに指差したようだ。
「履歴、見て。ブレッド以外、事件当時は、刑務所に服役中なんだよ。だから、この三人は、犯行は、出来ない。そして、ドレミは刑務所を抜け出した、というニュースがあったんだよ。つまり、犯人はブレッドと、ドレミ。」
「すごーい!パチパチ!」
メガゲロは褒めている。
「でも、メガゲロくん、なんか、『そんなことも分からないの?名探偵、デカゲロくん。』とか言ってた気がするけど。」
「ぎくぅ。」
「アハハ!デカゲロくんの勝ち。残念。」
「ちぇっ。」