恒例になりつつあるGW特別企画の今回は、絵下山から東側に見える「灰ヶ峰」と「野呂山」から逆に絵下山を見てみようというツアー。
灰ヶ峰には気象レーダー、野呂山には鉄塔群があり、いずれも同定しやすい山。あちらから、絵下山を見たらどんな感じだろうと、ずっと思っていた。
平成28年5月4日(祝・水)。私の車に、O副隊長、K副隊長を乗せ、午前9時、矢野駅にあきく魅力探見隊のHRさんを迎えに行く。
灰ヶ峰
9時25分、カーナビ頼りで灰ヶ峰への登山道に入る。対向車が来ても、速度を落とさずに離合できる道幅。路面も悪くない。
9時35分、山頂に到着。こんなに近い場所とは思っていなかった。
「気象レーダーさん、こんにちは。いつも遠くから拝見しておりました。」
車を降りると眼前に広がる呉市街地。圧倒的な景色に「わぁすごい」と声が上がる。
絶景。夜景の名所である。標高737メートル、絵下山より144メートルも高い。
これだ。望遠で寄るとテレビ塔がはっきりと見えた。
のろしリレーにはこの山も参加していただいるが、「絵下山の赤い煙を見た」という報告をいただいたことがある。
景色としては絵下山と同じようだが、近いため、野呂山の目標物である鉄塔群が肉眼でもはっきり見える。
上空を飛ぶオスプレイを3機見た。旅客機より速い。
10時5分、下山を開始した。
野呂山
呉市街地に下り、休山トンネルを通って、阿賀、広、仁方と進む。事故があったらしく、渋滞ぎみ。
川尻に入り、11時4分に野呂山公園入口交差点に到達。
「さざなみスカイライン」を登って、「ハチマキ展望台」で途中下車。
川尻の町の向こうに、上蒲刈島がよく見える。霞みがなければ、瀬戸内の島々、四国が見えるはずだ。
「十文字ロータリー」で進行方向を間違えて、遊園地跡や林道郷原野呂山線に入りかけて時間をロスしたが、11時45分、野呂高原ロッジに到着。
ここからものろしリレーに参加していただいたことがある。
「店長のおすすめ」と書いてあった「野呂御膳」をいただく。温かい物は温かく、冷たい物は冷たく、とてもおいしくいただいた。満足。
ロッジの隣にある「川尻筆づくり資料館」を見学。熊野と並んで、川尻も筆づくりが盛んな町だった。有名な書家の作品も展示されていたが、HRさんとK副隊長は「書」に詳しいらしく、書道談義。
私たちのミッションは「絵下山を見る」ことだった。
野呂山は広い高原になっており、西、中、東と3つの頂上がある。ロッジは「中の頂上(815.5メートル)」になるらしい。
絵下山は西にあるはずだが、「西の頂上」と思しき尾根があり、ここからその向こうは見えそうにない。そもそも絵下山から見える、あの「鉄塔群」はどこにあるのか。
何か見えないものかと高いところを目指して、少し藪を漕いでみたが、どうにもならなかった。
ミッションを諦めて、東の頂上(822メートル)からさらに東に広がる「弘法寺」に向かう。HRさんの誘いであったが、O副隊長も最近行ったことがあるらしい。
午後1時7分、野呂山弘法寺。この「山号」が山の名前の由来だったのか。私は野呂山にこんな立派な山寺があることさえ知らなかった。そこそこの観光客があった。
石仏や巨岩を巡る山道の遊歩道がある。
弘法寺からの帰り道にある「野呂山ビジターセンター」で少し休憩して、2時に帰路につく。
ロッジを過ぎて、十文字ロータリーに向かう下り道。
「あった。鉄塔群!」。
あそこに行く術はないのだろうか...。あとで調べたのだが、十文字ロータリーから西の頂上に行く道があったようだ。この西の頂上こそが野呂山の最高地点839.4メートルにあたり、鉄塔群のある場所だった。また、そこには「膳棚山」という別の名前がある。これらのことは、ロッジで入手したマップにも書かれておらず、現地にも案内はなかったように思う。)
ミッションを果たせぬまま、来た道とは違う「林道郷原野呂山線」を下り始める。野呂山の西の頂上こと膳棚山の北側になる。
まもなく...
「あ、あ、あ、灰ヶ峰のレーダー!」
ハザードランプを点けて車を止める。
少し下る。
「あ、あ、あ、あった、あった。絵下山見える!」。
ついに見えた。ミッションコンプリート! メンバー一同感激。
郷原
林道郷原野呂山線という名のとおり、野呂山から下りると郷原だった。
郷原といえば、4月の「黒熊焼ツアー」で来た「グリーンヒル郷原」があるはず。せっかくなので行ってみる。
絵下山は、巨大なテレビ塔が目印になるため、認知性が高い。灰ヶ峰からも野呂山からも、どちらが絵下山の方向か分からなくなっていたが、テレビ塔のおかげで、見えれば見逃すことはない。
「遠くから絵下山のテレビ塔を見る」喜びは、われわれだけのものかもしれないが、ここに何かこれからの観光のヒントがあるような気がした。