今日もアメリカの政治に関する豆知識について紹介します。

財政年度、もしくは会計年度、という言葉をきいたことがあると思います(英語ではFiscal Year, FYとよく訳されます)が、この年度の区切り方についても、各州で変わってきます。日本は4月ー3月ですよね。


アメリカは、50州のうち、46州が7月ー6月というサイクルを採用していますが、アラバマ州とミシガン州、そして連邦政府は10月-9月というサイクル、テキサス州は、9月-8月、そしてニューヨーク州は日本と同じ4月ー3月なわけです。


また予算の立て方も州で変わっていて、1年ずつ予算の決定を行う州と、2年ごとに予算を決めていく州があります。2年ごとに予算を決めることを英語では、Biennial Budget と呼ぶのですが、現在20州がこのBiennual Budget Cycleになっています。


(詳しい情報は、National Association of State Budget Officers (NASBO)の The Fiscal Survey of Statesを参照。)


今日は何が言いたいのかというと、このNASBOに関連したことです。といっても、この組織うんぬんについての話ではなく、アメリカって、こういった政府関連の非営利組織(以下NPO) がとにかく多い、といことです。例えば、このNASBOは各州の予算を担当する人たちが作ったNPOです。また僕の職場は、各州の高等教育のCEOに当たる人たちが作ったNPOになります。こういったNPOは数え上げればきりがありません。


この政府系NPO、政府と何が違うのかというと、単純に言えば、政府が出来ないことをやるわけです。


ここからは僕の職場の話ですが、例えば、今、ある州が、大学が使い切らなかった州からの予算を、年度末に州に返還するという法案を提出しようとしています。この州は、今までは、余った額は来年に繰り越せるというルールだったのですが、それを繰り越せないようにしようとしているわけです。


それでこの法案を作成している人がふと思ったのは、「他の州は一体どうしているんだろう?」ということでした。そういうわけで、僕の職場に、他の州はどうやっているのか調査して欲しい、という依頼が来たわけです。


政府だけでは出来ないことは沢山あります。例えば上記のことなどは、日々の業務で多忙な人には調べている余裕なんてものはありません。自分の州のことは誰よりも知っているかもしれませんが、他の州の事になったら全く分からないし、いちいち調べている時間もないわけです。


日本にはこういった政策決定に影響を与えられるNPOが少ないような気がします。政府ができることは非常に限られています。予算も足りないだろうし、人も足りなければ、時間もない。しかし、そのような中で大事な法案が作成されていくわけですね。これは少し怖いような気がします。


NPOというと地域ボランティアの集まり、というようなイメージがあるかもしれませんが、それはあくまでもNPOの一部でしかありません。NPOとは基本コンセプトは社会の向上のために存在する組織であり、その「社会」の定義は地域コミュニティであったり、国であったり、または世界レベルなんてこともあるわけです。


日本はまだまだ「お上」の社会なので、政府の権限が非常に強いです。だからこそ、政府が正しい意思決定を出来るようにするためのNPO、「政府」と「民間(企業)」の間に入ってくるNPO、が必要となってくると思います。