いのちを守るハズバンダリー・トレーニング」
ハズバンダリートレーニングとは?
行動分析学に基づき、飼育動物の健康管理、心理面での管理を可能とすることを目的にした行動形成です。
詳しく述べると
笛やクリッカーの音などを合図にして、できたらご褒美のエサを与えたりほめたりすることで動物に、こちらがやってほしいことに協力してもらうためのトレーニング。できない場合には怒ったり罰を与えたりしません。
動物園動物に対するハズバンダリートレーニングは、欧米ではかなり広まっていますが、
日本では、イルカ・アシカなどのトレーニングはかなり高度なものがお粉れていますが、陸上動物で以前からトレーニングを行うことが必須とされてきたのはアジアゾウなどごく一部に限られていました。
トレーニングをすることで、飼育員さんや獣医さんが身体を触診したり採血、削蹄するなど、健康管理をしてあげることができるようになることです。
※写真はインターネットより引用
このトレーニングはイルカで取り組まれているのは知っていましたが、まさかキリンで?!という第一印象を受けました。
https://www.youtube.com/watch?v=f-YDO6nIVSs&sns=tw
https://www.youtube.com/watch?v=BidM8Mm-KvE&sns=tw
キリンでの取り組みは、大森山動物園の柴田さんが初めてだったようです。
(常識的には考えられないことを試みた ということをみなさんには知ってもらいたい)
2017年1月のプロフェッショナルでもリンリンちゃんがお腹が張って食欲がなくなってしまった状態でした。
大好きなリンゴも吐き出してしまい、かなり心配されてましたね。
そこでいつものように首の脇をパンパン叩いて、そこに注射器を指して投薬し、点滴もして食欲と脱水症状を改善させてました。
キリンは、血圧も高く転ぶことがかなりの衝撃ですので、転倒防止のためにも蹄を定期的に削ってあげるのが重要なんだそうです。
柴田さんは、過去の飼育していたキリンの死のショックで一度は飼育から遠ざかっていた時期もあるみたいでした。
でも、二度と治療しないままキリンの死を待つようなことはしたくないとのことで水族館のイルカの調教師の方々にトレーニングを教わりに行ったことも研究・勉強会の時にも話されていました。
今では、キリンだけでなく、ブタ、トナカイ、フクロウなどの動物にも導入されていることを紹介されていました。
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柴田飼育員の印象は
今までの常識とされていたことに違和感を持てると同時に行動にも移せる人物だということ。
携わる動物の知識と行動をしっかりみれる目を持っていること。考えたことは試す行動力もあります。
キリンのことについてディープな話を様々な角度や分野のことを考えながら話されていたので、研究者タイプの方だと思ってしまいました。
あと、Amazonを多く利用する点については共感してしまいました笑。私も普段から使用しているコンテンツを飼育員さんも活用している新鮮さを受けました。確かに、安いしはやく届くのでコスト削減にも繋がってきます‥私も研究所で活用しまくってます笑。
1番の印象は熱意です。
この一言の意味がふさわしい飼育員さんです。
柴田さんは「給餌(きゅうじ)や清掃だけではない飼育員の仕事を知っていただくことで、新しい視点で動物園を楽しんでもらえるはず。動物園が子どもだけではなく、大人の知的好奇心を満たす場所になれば」と来園を呼び掛けています。
エンリッチメント大賞を受賞した際の声
※インターネットより引用
大森山動物園は開園40周年を迎えました。これに今回の受賞が重なり、さらに記念すべき年となりました。
私は2011年4月、9年ぶりにキリン担当となりました。以前最後に担当した個体は物語ともなった「義足のキリンたいよう」。当時は、何もできない自分に対する歯がゆさに震える毎日でしたが、従来のキリンの飼育のあり方について考えはじめるきっかけになりました。大型動物のキリンに対して、「何もできない」ではなく、「人との関わりの重要性」、「事故を限りなくゼロに近づける努力」さらには「ゾウと同等の健康管理の必要性」を強く感じ、同じ後悔を二度と繰り返したくないと思いました。
キリン飼育からしばらく離れた後、再び担当になってから、キリンの飼育管理そのものを見直すため、思いを巡らしました。
「可能な限りストレスを与えない飼育管理」、「枝葉をできるだけ多給する努力」、そして「ハズバンダリー・トレーニングの導入」です。
キリンの担当に戻った時、ジュン(故オス18歳)の前肢はあきらかな過長蹄で、少しずつ関節に影響を及ぼしていました。触ることからはじめ、馴致を開始しましたが、削蹄することができないまま、ジュンは6月に亡くなってしまいました。蹄を削ることができたのは、死して横たわった後でした。しかし、ジュンは「キリンの蹄の柔らかいこと」を教えてくれ、私はヤスリによるケアが可能であると確信しました。また、歯の著しい摩耗が確認され、給餌のあり方も深く考えさせられました。
過去のキリンたちの死は私の経験となり、今飼育している個体に対しどう接すべきか示してくれたことで、キリン飼育員としてこの後すべきことは明白でした。
過長蹄の情報収集をする中で出会った他園の技術者に指導してもらいながら、オペラント条件付けによるトレーニングの勉強、手探りでの実践を開始しました。
想定を超えるスピードでトレーニングの成果が現れ、今では飼育しているオス、メスの蹄のケアのほか、メスのリンリン(8歳)は定期採血もできるようになり、これまで1年半ほど継続しています。
「動物と語らう森」をテーマとし、人と動物とのいい関係を構築することを大事にする大森山動物園では、3人の飼育員「Teamキリン(泉弘美 舘岡幸枝 柴田典弘)」が、これらの飼育管理を徹底しています。
キリンの幸せを追及する活動の中には、一人では決してできないことも含まれています。キリン飼育をチームで行なうことを後押ししてくれた組織、私たちの活動を日頃からあたたかく見守って下さっている全国の動物園関係者や動物園ファンの方々の支えがあって、ここまで来ることができました。皆様に心より感謝申し上げます。
@nori_212
国連自然保護連合が「レッドリスト」の最新版を発表。2016/12
過去30年で個体数が4割も減ったというキリンを絶滅危惧2類に指定した。
アフリカなどに生息するキリンは、1985年には15~16万頭いたが、2015年には約9万7500頭と、過去30年で個体数が約4割減少。絶滅危惧種の3段階のランクでは最も危険度が低い「絶滅危惧2類」に指定した。
最近の研究では、キリンは4つの異なる種で構成されている可能性があると分かっているが、IUCNは今回のレッドリスト更新で、従来の1種9亜種の定義を使った。
このうち5亜種で生息数が減少しており、1亜種は横ばい、3亜種は増加した。生息地が亜種ごとの違いに大きな影響を及ぼしているとみられる。
動物園のキリンも貴重になってくると私は思う。
動物園の目的の1つに種の保存がある。
それを、果たしてもらい
この世界からキリンが消えないよう祈りたい。。
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個人的にキリンに関心がある問題がある‥それは、キリンの首の変化だ!
動物の骨格標本好きということは、あまりこのブログでは公言していませんが‥大学の時から骨の病理組織を顕微鏡で観察診断しながら研究していました。。。(研究室の友達とも卒業制作で牛の骨格標本も作ってしまいました‥)
根っからの骨屋に成長して、根っからの骨好きです!
キリンの首の変化の過程って未だ解明されてないみたい。化石も首が長い時と短い時は発見されているが、その途中の過程が見つかっていないという。
ダーウィンの進化論やラマルクの説、自然淘汰の諸説がいろいろと存在しているが、、、ほんと骨の研究をしている私自身にも興味深い内容。
これも、いつか解明されてない私の頭の中のもやもやも晴れることを祈りたい!
i§ei
とのこと。