人の健康は腸内細菌で決まる! | 山中伊知郎の書評ブログ

人の健康は腸内細菌で決まる!

人の健康は腸内細菌で決まる -善玉菌と悪玉菌を科学する― (知りたい!サイエンス)/技術評論社
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著者は、いわば日本の腸内細菌研究の草分けのような人物である光岡知足さん。
今、腸内細菌と発酵食品との相性について調べていて、その参考にならないかと、手に取った。

 腸内細菌そのものについての解説と、「こんなやり方で腸内細菌を培養しましたよ」といった研究方法が最初の1、2章。ことに研究方法の方はよくわからなかったりするので、ちょっとパス。
 ようやく3、4章が腸内フローラを改善する食事についての部分なのだが、先生のとなえるバイエジェニックスについての説明などが主であり、また、発酵食品の中でも特にヨーグルトの素晴らしさを押しつつ、なぜ腸内フローラとの相性がいいのか、今一つピンと来ない。

 乳酸菌生産物質によって腸を基点として体全体が活性化するのはわかる。ただ、何がどうなって、腸管免疫が刺激され、効果が全身に波及するのかのシステムが、どうもよくわからない。ほら、送り込まれてきた菌が腸で生きている菌のエサになるとか、そういうのがよくわからないのだ。

 最後の5章は、もう単なる腸内細菌研究の話というより、著者自身の人生論。人間社会に善玉だけじゃなく悪玉がいないとバランスがとれないように、腸の中も同じだと語ったり、いい研究課題を見つけて、成果をあげるには「運・鈍・根」が大切だ、と言ったり、いわぱ後進たちに訓示をたれている。
 でもまあ、内容的にはこの部分が一番わかりやすく、スムーズにアタマに入ってきた。