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2017-01-12 11:17:30

1964年のジャイアント馬場

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1964年のジャイアント馬場/双葉社
¥2,052
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 やたらと分厚い本で、やや取っつきにくい感じだったが、中身を読んでみたら、これがサービス満点の凝縮されたプロレス歴史本。

 タイトルからすると、ジャイアント馬場のみにスポットを当てたもののように想像したが、実際は馬場だけでなく、1960年代における日本、アメリカのプロレス界全体が縦横無尽に描かれており、それだけでも十分に圧倒される。


 日米のパイプ役になっていたグレート東郷がどれだけビジネスセンスがある男で、しかしカネに執着した嫌らしい男だったか、アメリカで抜群の人気を誇ったバディー・ロジャースがなぜ仲間には嫌われながら、観客に支持されていったのか、そういう「人物伝」の側面からも読める。

 NWAのプロモーターを中心としたプロレスビジネスの推移を追うところから「ビジネス書」としての側面もある。

 あくまでレスラー一人一人が個人事業主であるアメリカと、一つの団体の中で必ず先輩後輩や格の違いが生まれる縦社会の日本プロレスの違いが描かれるところから、日米文化の分析本としても読める。

 力道山や馬場が日本国内でどう「スーパースター」になっていったかを追うことで、1950年代から1960年代当時の日本の社会状況を示す近代史本としての味わいもある。それに、さりげなく、アメリカでは馬場は「スター」だったが、力道山はアメリカでは「単なる無名の一レスラー」にすぎなかったエピソードなども、さりげなく触れられている。

 そういういろんな要素が含まれた上に、馬場の半生記の要素ももちろんある。
 しかも、この著者のすごいところは、いたずらに馬場を美化するのではなく、マイナスと思える点も、しっかり書いているところ。
 全日本プロレスのトップとなった後、ジャンボ鶴田にエースの座を譲るの躊躇して、どんどん猪木の新日本に引き離されて行ったこと、プロレスに転向した元横綱の輪島が人気を集めたのに嫉妬していたこと、自分の妻を重用してマッチメイクにまで口をはさませたこと、何より1960年代のプロレス感覚を捨てられず、どんどん「時代遅れ」になっていったことなどが、明確に描かれている。

 とはいえ、馬場が「心優しき日本人」であり、それは死ぬまで変わらなかった点もしっかりとおさえている。「素敵なおじいちゃん」として彼と映画『東京物語』の笠智衆とダブらせる著者の感覚も、よくわかった。そういえば昔読んだ本には、この笠智衆と昭和天皇をダブらせる記述があったのも思い出した。
 とすると、馬場と昭和天皇にも、ある種の「拝みたくなるような神々しいおじいちゃん」としての共通性があるのかもしれない。
 
 
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2017-01-07 00:19:06

『男はつらいよ』の幸福論

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「男はつらいよ」の幸福論 寅さんが僕らに教えてくれたこと/日経BP社
¥1,620
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 私も、何年かおきに順繰りに全48作を変わりばんこ見るような「寅さんマニア」の一人なのだが、どうもこの「寅さんマニア」と言われる人の書いた寅さん本は、総じてツマラない。
  自分の寅さんに対する思い入れが強すぎるのか、その思い入れを押し売りするような内容のものがほとんどなのだ。
 その点、映画のスタッフや出演者をはじめとした関係者の出した本の方が、より寅さん、ならびに渥美清に関するエピソードが豊富な上に過剰な思い入れが少ない分、読みやすい。
 だから、「寅さん本」については、まずどんな立場の人が書いたのかをチェックした上で読むことにしている。

 で、この本。本来はマニア側の著者なので、どうもシンドいかな、と読み始めると、これが案外すんなりと読める。
 著者が精神科医であり、「寅さんは幼少期に愛されずに育ったために、恋愛などで相手と関係を構築できない基底欠損」なんて専門用語をさりげなく使いながらも、自分の思いをさほど押し売りはしない。やや距離を置いて、寅さんや周囲の人たちの心理分析や上映当時の社会状況などについて語るのだ。
「「サラリーマンは家庭の中で孤独である」というのは、この時代の共通認識だったのです。」
 なんていって。そこから、『男はつらいよ』に登場するサラリーマンたちと、それと反対の立場に立つ寅さんの生き方を比較してみたり。
 とにかく押しつけがましくないのがいい。

 この本が2016年発行、要するにまだ出て一年もたっていない、というのもいいのかもしれない。最終作から20年たち、ようやく寅さんを生々しいものとしてでなく、一種の「歴史」として語れる時期が来たのかもしれないのだ。「あ、あのシーン、また見たくなった」と思わせてくれる本。

 
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2017-01-01 20:26:35

小説・コント55号

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小説・コント55号/山中企画
¥1,296
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 年のはじめということで、あえてこの本を紹介する。
 10年以上前に私が書いて竹書房から出たもので、去年11月、改めて山中企画で改訂版を出したのだ。だから新刊本とはいえない。
 内容的には、前のものに、もう一章、新たに坂上さんの死の直前、2人が共演した明治座公演のエピソードを付け加えている。「ちっとも気が合わないのに、なぜかかけがえのない「同志」だった」という二人の妙な関係性が、その最後の章が入ることで、さらに明確になる、と考えたからだ。

  帯につけた言葉は、
「昭和41(1966)年、

ビートルズが来日して、

コント55号が生まれた!

 ビートルズの来日で日本の音楽界がガラッと変わったのと同じ時に、コント55号の出現で日本のお笑い界が一気に変わったのをあらわしたかったのだ。



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2016-12-31 01:01:57

最後のGSといわれた男

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最後のGSといわれた男/山中企画

¥1,620
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 この本、一カ月ほど前に山中企画から出した新刊なのだが、まだこのブログで紹介していなかったので、一年の最後、大晦日に書いておく。

  元グループサウンズ「オリーブ」のドラム&ボーカルだったマミーこと木村武美(キムタケ) さんの、いわば自叙伝。
 彼は今、自分の経営する仙台・国分町の店「DRUM」で演奏もしている「現役ミュージシャン」であるとともに、だんだん減りつつある「GSの生き証人」でもある。
 オリーブ時代には『マミー・ブルー』というヒット曲も出している。

 要するに、昭和40年代の、あのGS全盛期の熱気を思い出したい、あるいは知りたいと思っている方にはピッタリの内容。
 と同時に、彼が当時出会った、新人時代の井上陽水、山口百恵、デビューしたころの藤圭子なども登場する。
 あの時代に興味がある人なら絶対に楽しめる本になっているので、どうかよろしく。

 

 

 

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2016-12-28 22:59:35

力士雷電

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力士雷電〈上〉/ベースボールマガジン社
¥2,700
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 江戸時代の強豪力士・雷電について、元力士で、相撲関係の著書も多い著者がまとめた本。取材も徹底している上に、雷電や大相撲に対する愛がにじみ出ているのは、たとえば長野の雷電の生家に幾度となく足を運んだりしているのでもよくわかる。

 しかも雷電個人にスポットを当てたのではなく、当時の相撲興行の様子がていねいに描かれてもいる。

 これを読んで、いささか唐突ながら、私は江戸時代の大相撲って、どちらかといったら今の大相撲よりプロレスに近かったんじゃないかな、と感じた。
 とにかく力士たちは、時間があれば地方の巡業で回って、一カ所に落ち着いていない。お祭りがあれば神社の境内で小さな集団でも興行するし、都合が合えば大きな都市での大興行もする。「売り興行」もあれば、親方が自前でやる興行もある。
 本場所は晴天十日間ながら、雨で順延して一カ月以上かかるのも珍しくなく、別の大きな用事が入れば、本場所を休場してしまうのもよくあること。
 つまりなんというか、明治大正以降に「国技」と自称するようになる前の大相撲って、客観的に見て、相当に「いい加減」なのだ。

 しかも、雷電の引退が「数え年45」でもわかる通り、当時の力士の引退年齢は総じて高齢。
平均寿命が今よりずっと短かった時代であるから、まあ、今なら60歳くらいまで現役でとってる人が多かったようなものだ。
 これ、スポーツとして考えると無理がある。だが、プロレスなら50、60もいるわけで、江戸時代の相撲が、単に運動能力の勝負ではなく、そこにショーアップできるかどうかのプロレス的要素が濃厚にあったのをうかがわせる。
 つまり今よりずっと、芸能的要素が強かったのだろう。看板大関なんて、ただデカいだけで相撲はちっとも強くなかった力士もいたくらいだし。

 タイムスリップして、江戸時代の本場所を見たくなった。
 
 
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