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2016-11-30 01:26:41

歌謡曲の時代

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歌謡曲の時代/新潮社
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 これは、著者自身が主に「昭和」に作詞した作品の数々をとりあげつつ、それを平成の世の出来事とダブらせて語るコラム集。だから曲に対する思い出がメインの回もあれば、もっぱら
2002年のサッカーワールドカップの話がメインで、曲のエピソードは付けたし、みたいな回もある。

 ただ一貫した流れとしてあるのは、歌謡曲が歌謡曲として輝いていた昭和、ことに著者自身が最も活躍した1970年代は極上だった、ということ。裏返せば平成の世は、男と女についても、音楽についても、社会全体についても、硬直化し、元気がなくなっているのを嘆く。

「社会に元気がなくなると、自分を慰める歌はあっても、人を喜ばせる歌はなくなる。今がきっとそうなのだろう」

 とまで言い切っている。要するに活気のあった「あの時代」はよかった、といったよくあるっていうばあるオッサンの嘆きと回想だ。

 しかし、じゃあ、阿久悠自身が、元気な時代に元気な歌を作っていたかといったら、まったくそうじゃないのは自覚している。
 自分たちの世代は「与えられた自由と豊かさの中での精神の迷い子」であり、「明るい歌の必然性はなかった」ともいっている。実際、あの人の歌で私も強烈に覚えているのは『さぜんげの値打ちもない』とか『津軽海峡・冬景色』とか、どうあっても明るくなりようもないのばかりだし。

 まあ、元気な世の中の片隅で、どこかその中から零れ落ちたような人たちや情念をうたうのが「歌謡曲」の王道のような気もするし、そりゃそれでいいのか。

 私も、停滞の「平成」よりも、みんな元気だった「昭和」の方が好きなわけで、つまりは同じようなオッサンだったりするのだ。
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2016-11-26 13:39:29

なぜか売れなかったが愛しい歌

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なぜか売れなかったが愛しい歌/河出書房新社
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 まさに「ヒットメーカー」だった作詞家・阿久悠が、愛着はあるのに、なぜかあまり売れなかった自分の歌を振り返る。

 さすがに私は流行歌にそんなに詳しいわけじゃないので、ここで取り上げられた曲は、ほとんどわからない。どちらかといえば暗く、重苦しい曲が多いため、あまり歌詞の方は集中しては読まない。

 どちらかといえば、作者の、歌に対する想いの部分を読みつつ、昭和40年代から50年代にかけての「時代の匂い」を味わうといったところ。

「その当時、作品を作るということは、たっぷりのエピソードを含んだ人間くさい仕事で、青年にしろ少年にしろ、その場にいる者は面白い人であった」
「かつて、日本の歌は風穴をあけるほどの力を持っていた。風穴をあけたいと思ってぼくらは歌を作った」
 本人がこう語っているように、一曲一曲から、歌を作る楽しさがにじみ出てくるのだ。

 すでに音楽業界が底なし沼のような状態に陥り、かろうじてレコード会社が自主制作のP盤作りで存続しているような現状にあっては、永遠にこんな「匂い」は生まれない。
 いい時代だったな、と過去を懐かしむばかりだ。
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2016-11-24 11:50:58

中国の大盗賊・完全版

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中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)/講談社
¥価格不明
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 「盗賊」といったって、村や町を荒らしまわって、金品や女を奪う、なんてそんなチンケなレベルの話ではない。国ごと奪っちゃったようなメンバーが次々と登場する。劉邦だの、朱元璋だの。それにいいところまでいったが、最後は滅んでしまった陳勝や李自成なども入っている。

 「大盗賊」の定義は、「官」、つまり発生当時は体制側ではなく、武装し、自分の欲求を通そうとする集団。だから、登場人物の最後には、中国共産党を率いた毛沢東も出てくる。
 彼なんかは、20世紀が生んだ最大の「大盗賊」なわけだ。

 この著者、どうやら毛沢東や共産党が大嫌いのようで、その、イデオロギーにハメ込んで、善と悪とではっきりと分類する硬直した歴史観や、そのくせ、本質的には昔の「大盗賊」となんら
変わりのない「成功の手口」を大いにこき下ろしている。

 「革命中国」が大好きな、年寄りのプロ市民運動家とか、こういうの読むと「反動」とかいって怒りそうなくらい。でもまあ、そういう人たちも、年々少なくなってきてるか。だいたいもともと、
中国にはマルクスのいう「プロレタリアート」なんて、ほぼいなかったわけで、劉邦も朱元璋もやってきたような、「農村のあぶれ者」を組織して政権を転覆させるパターンを中国共産党も踏襲したのは確かなこと。
 私は、読んでいて、この毛沢東の章が一番すっきり出来て楽しめた。
 章のタイトルも「これぞキワメツキ最後の盗賊皇帝ーー毛沢東」。悪意にあふれてる。

 太平天国を作った洪秀全を「偉大な農民革命家」にしてみたり、李自成軍を「人民の軍隊」にして、李と毛を重ね合わせるようにしてみたり、中国共産党も、けっこういろいろやってるらしい。しかし結局は、ただ権力が欲しかったのであって、「人民のために働く」なんて盗賊はいない、とは著者の指摘。
 その通りだと思う。
 
 
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2016-11-20 01:37:13

鎌倉幕府の転換点

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鎌倉幕府の転換点―『吾妻鏡』を読みなおす (NHKブックス)/日本放送出版協会
¥940
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 どうも年はとりたくないもので、最近、電車で席に座れると、本を読むつもりでいても、ついつい居眠りしてしまう。この本も、読もうと手に取るうちに眠りだし、思わず床に落としてしまった。

 お蔭で、とても中身をきっちりと呼んだとはいえないのだが、おおよその流れはわかる。
 鎌倉幕府の権力の動きが、将軍専制から北条政権に移っていくのはもともとの歴史の教科書でも出てく
るところ。しかしながら、前半はことに北条と他の有力御家人との政争があり、やがては北条内部でもトラブルがあり、そこに、「傀儡」としてやってきたはずの四代将軍が将軍の位を息子に譲って、自分は「大御所」として政治力を持とうと画策したり、いろいろあった末に
システムが固まる、ということらしい。
 
 しかし、鎌倉時代の中期に入ると、もう征夷大将軍ていうのは、実権がなく、神事や儀礼の主催者としての役割を持つ存在になっていたらしい。ほとんど東国の「天皇」だな、それじゃ。

 実は、頼朝には、血統的にも十分にライバルになりそうな希義なる兄弟がいて、偶然、朝廷が頼朝を伊豆に、希義を土佐に流したために、2人のその後の運命が大きく変わった、なんてエピソートは、ちょっと気になった。ただ、先例に従って機械的に流刑地を決めただけなのに、
頼朝は東国で挙兵の後、幕府を開き、源氏の基盤が弱い土佐に流された希義はあっさり殺されて歴史から忘れ去られている。

 頼朝、政子、北条時政がみんな決して一枚岩なわけではなく、熾烈な主導権争いを繰り広げていた様子も、なかなかに楽しい。政子が、実の息子ながら乳母の方に顔を向け、自分が思うようにコントロールできない二代将軍・頼家を冷徹に権力の座から追い落とす様も、なかなかドラマチック。

 地味ながら、義時、泰時、時頼と、優秀な人材が次々と出てきた北条家がついには勝ち抜いていく感じも、とてもよくわかる。

 うたた寝しながらでも、これくらいはわかるってこと。

 
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2016-11-17 01:35:48

すぐそばにある「貧困」

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すぐそばにある「貧困」/ポプラ社
¥1,620
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 著者は、ホームレスや生活貧困者の相談支援活動をするNPO法人の理事長。とはいっても
まだ20代。ボランティアで活動を始めているうちに、次第に本格的になっていったという経緯の人らしい。

 だから本の内容も、もっぱらホームレスや生活保護、それに女性や子供の貧困などといったあたりに向かっていく。著者自身が遭遇したさまざまな「貧困者」について紹介しながら、いったいどうしたらこうした貧困問題が生まれるかについても言及している。

 書き方として「貧困者」側に寄り添っているのは、立場上は当然だろう。ただ、いかにも「社会正義」を振りかざしたり、政治が悪いだのと声高に言っていないあたりは好感が持てる。
 このタイプの本て、どうしても「格差社会を推進する自民党政権が悪い」式の、ステロタイプの、プロ市民運動家みたいな方向に流れがちになる。そういう感じではない。
 実際に数多くの「現場」に関わっていればこそだな。

 ただ、じゃあ、この著者のやっているような支援活動を支持できるかとなれば話は別。
 私は、この本の中にもチラッと出てくる、末期がんのくせに、周囲の手助けを拒否するホームレスの気持ちがとてもよくわかる。たとえ体がキツくても、とにかく動ける限りは、どこかの施設に押し込まれたり、束縛されたりはまっぴらごめん。
 困窮者支援には、常に支援する側の「自己満足」の匂いがするのだ。

 やや飛躍するが、こういう本を読むたびに、病院のベットで家族に囲まれながらスパゲッティ状態の末に死ぬのと、路上で1人きりで「野垂れ死に」するのとどっちがいいかを考えてしまう。
もちろん、野垂れ死にの方がいいに決まっている。
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