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2016-07-26 01:02:53

昭和名セリフ伝

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昭和名せりふ伝/小学館
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 タイトルから、昭和にハヤった言葉などを集めて時代背景をからめつつ、客観的に解説する歴史本、と想像していた。


 中身はまったく違う。全編、「反天皇制」で固められた、思いっきり「左旋回」の本。著者自身の60年安保闘争での活動、ベトナム戦争におけるアメリカ脱走兵の支援活動など、時代時代のほぼ最前線で「闘ってきた」様子まで語られている。

 

 実はこの著者については、『上海バンスキング』の作者で自由劇場の創立メンバーってくらいしか知らなくて、まさかここまで左側の人だったとは、この本読むまでイメージなかった。


 天皇は常に平和を願っていたのは真っ赤なウソ。太平洋戦争にしても、調子のいいころは「もっとやれ」って調子だったし、終戦にしても、「民草」、つまり国民のためよりも自分と天皇制がどう残るのかの方に腐心していた、と著者は訴えている。だから当然「戦犯」でもある、と。


 「私はどうなってもいいから国民のために」と言ったというマッカーサーとの会見も、天皇制維持のためにうまく作られたフィクション、皇太子ご成婚も戦後に天皇制を残すために打たれた究極の一手、と、どこまで徹底して天皇制、ならびに昭和天皇批判が続き、日本がそれゆえに様々な悲劇を生んでしまったことを綴っている。


 おいおい、昭和天皇って、そこまで政治力あったのかよ、買い被りじゃねぇの、と心配になってしまうほどだ。


 ただ、それだけ幹となるテーマが一貫していたので、確かに一本筋の通った「昭和史」本になっているのも事実。調べたエピソードを並べていくだけのものとは、明らかに一線を画している。


 ちなみにピックアップされた名セリフも、「堪エ難キヲ耐ヘ忍ビ難キヲ忍ビ」「あっそう」「ご誠実、ご清潔」「Xデー」と言った、皇室絡みのフレーズが多い。

 私、昭和天皇のキャラクターって好きなので、内容についてはとても同意できないが、読みごたえはあった。

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2016-07-16 21:33:51

スター誕生 ひばり・錦之助・裕次郎・渥美清 そして新・復興期の精神

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スター誕生―ひばり・錦之助・裕次郎・渥美清そして新・復興期の精神/講談社
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 この著者は、いわゆる通常の「伝記本」を書くつもりはまったくない、とあらかじめ宣言している。

確かに読んでみると、最初は戸惑う。


 美空ひばりについて語る前に、いきなり平成の「コギャル」について触れ始めたり、ひばりの母の出身地の南千住について語り始めたと思ったら、本題は置きっぱなしで、もっぱら南千住の歴史の方にこだわりだしたり。


 どうも、独りよがりで自分に酔うタイプの人なのかな、と最初は軽い嫌悪感があったものの、読み進めていくと、なんとなくハマっていく。

 

 貧しい「屋根なし市場」の魚屋の娘だった、ほぼ底辺から浮上してきた美空ひばり。河原者から特権階級にのし上がった歌舞伎の世界を飛び出した中村錦之助、いわば「良家の御曹司」であった石原裕次郎、インテリながらビンボーな父のもとに生まれ、一時期は本当にヤクザの世界に足を踏み入れていたかもしれない渥美清。


 彼らの違いを、たとえば同じスターでも、ひばりなら、彼女が出世していくのに対し、「何でひばりちゃんだけ」と嫉妬して、彼女に硫酸を浴びせようとするファンが出てくる。だが、裕次郎に、そういう嫉妬の目は向かない、といったような形で表している。


 そういうところが説得力があるのだ。

 さらに「芸能」が本来持つ、淫靡さ、被差別性、ヤクザとの共通性といった「裏歴史」に関して、この著者は、それが楽しくて仕方ないみたいにどんどん書いていく。河原があり、刑場があり、差別されていた人たちがあり、そこから「芸能」が生まれた、と。


 そこから近い存在としてひばりや渥美清、本来は近いはずがだいぶ離れてしまった存在として錦之助が、ほとんど関係ないところから出現した存在として裕次郎が置かれている。


 エピローグでビートたけしや宇多田ヒカルに触れているのは、ややあざとい「読者サービス」の気もするが、こういうパラレルワールドの戦後芸能史もありかな、とは思わせてくれる。


 ただ、カバーの美空ひばりの似顔絵、あまりに似てない。これ、わざとかな?  大いに気になった。

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2016-07-09 14:16:07

丁先生、漢方って、おもしろいです。

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丁先生、漢方って、おもしろいです。/朝日新聞出版
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いくつか、漢方や東洋医学についての本を読んでいるが、その中で、これは最も読みやすい。


漢方についてはシロートである南伸坊が聞き役になって、漢方のプロ・丁宗鐡が答える形式。つまり、普通の漢方本のようにいきなり「難しい話」からくるのではなく、シロートのフィルターを通したうえで書かれているのが実によいのだ。


たとえば東洋と西洋では「薬」に対する定義が根本的に違う。西洋では、薬とは有効成分を純粋化した「物質」であるのに対し、東洋では空気も、水も、みんな「薬」になりうる、と考える。もうそういう開設をされただけで、西洋医学と東洋医学の違いが、わかりやすく、解説されてしまう。


明治政府が西洋医学を国家の医学として採用した裏には、単なる西洋崇拝だけでなく、東洋医学には「秘伝」を隠す習慣があり、とてもこれじゃ使い物にならん、と政府が判断したのも大きな要因だった、とも書かれている。現に当時の国民的病だった「脚気」については、東洋医学の方が西洋医学よりも試してみたら治癒率は高かった、とも。
もしも東洋医学がもっと開かれていて、後進を数多く育成するシステムが出来ていれば、あるいは東洋と西洋が並立する事態が続いていたのかもしれない。


 ずっと『漢方』を分かりやすく解説してほしい、と期待していたら、話は日本の保険制度に向かったり、漢方医学とは離れて糖尿病そのもののことになったり、内容が飛んでいくので、肩透かしを食う部分もある。

 がん対策に、抗がん剤ではなく分子標的薬を使えば副作用も少なく、治る率も高い。ただ特許はアメリカが持っているために、やたら高いし、それ使ったら医療費が膨張して、日本は破産する。・・・こんな話も興味はあるものの、とりあえずは漢方をわかりやすく解説する本として進んでもらいたかった。


 漢方ではA級の薬が「命を養う」、B級が「新陳代謝を高める」、C級が「病気を治す」。つまり、西洋医学では最も尊重されている「病気を治す」薬がもっとも低レベルに見られ、一見、たいして働いていないような、体のバランスを良くして、体質改善をしてくれるようなのが重んじられる、 との解説も、漢方独自の哲学が感じられて、興味深かった。

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2016-07-03 23:05:44

大俳優 丹波哲郎

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大俳優 丹波哲郎/ワイズ出版
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 図書館で何度も見かけ、借りようかどうしようか迷ったのだが、本があまりに厚くて重そうだったので、そのたびにパスしていた。

 ただ、先日、昔のB級映画に登場する脇役に関する本を読み、なぜかエログロ映画を量産していた新東宝に興味を持ち始め、さらにそこの専属俳優だった丹波哲郎についても気になって、とうとう借りてしまった。


 ページ数が多いには違いないけど、そのうち三分の一は資料編。映画やテレビの出演作品などが列挙されている。最初の300ページくらいが記事部分だ。


 インタビューアーに応える形で自分の半生を振り返っている。

 まあ、まだ無名のうちから、時代劇スターの立ち回りを寝転がってひじ枕ついて見ていたり、態度がデカいというか、とびぬけて失礼だったエピソードがそこここに出てくる。


 自分から仕事をお願いしたりは決してしない話や、セリフは覚えようと思えば覚えられるが、面倒なので覚えず、現場でカンペ―を張りまくっていた話など、この人ならではの大胆不敵エピソードも満載だ。

 高倉健、萬屋錦之助、三船敏郎などといった日本映画界のトップスターたちと五分でやっていたわけで、彼らをほぼ呼び捨てにしつつ、「三船敏郎は気の小さいヤツで、うまくいかないとなると逃げちゃうんだよ」みたいなことを堂々と語る。


 新東宝時代に出演した「C級映画」も、小林正樹の『切腹』のような「一流映画」も、『網走番外地』のような娯楽作品も、特に分け隔てなく、「あの監督は面白い男だった」「あいつとは気が合わなかった」とフランクに語れてしまうのもまた、丹波哲郎ならではだ。


 だいたい『ポルノ時代劇 忘八武士道』と、創価学会の戸田城聖役に扮した『人間革命』をほぼ同時期に
撮っているダイナミックさが魅力的だ。「聖」も「俗」もあわせ飲んで、どちらでもスケールのデカい演技ができる人。

 こういう存在は、その後の日本映画界にもテレビ界にも出てきてないな。


 霊界の宣伝マンとしての話も最後に出てくる。それで明治時代、何も食べず、何も飲まずに生きた超能力者として知られた長南年恵の映画をぜひ作りたい、といっている。結局、作れないまま丹波は死んでしまったわけだが、もし出来上がっていたら、ちょっと見たかったな。

 たぶんいささか胡散臭くて、そんなに芸術性が高い作品にはならないだろうが、ツッコミどころ満載の、話のタネになりそうなものになるだろうから。

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2016-07-02 01:34:35

裸一貫

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裸一貫/創出版
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AV男優でプロレスラーもやっていたチョコボール向井が、雑誌『創』に連載していたエッセイをまとめた本。時期としては2004年から2006年あたり。

ちょうど彼がハプニングバーでショーをやり、公然わいせつで逮捕されたり、18歳未満の少女とからんで再逮捕されたり、賑やかな話題満載のころだった。
その上にプロレスラーとして自主興行をやったり、新日本プロレスのリングに登場したりもしている。


まあ、ある意味、「時代の寵児」として脚光を浴びていた時期だったんだろう。


それだけに、読んでいると「自分はAV男優のトップとして業界を引っ張っていかなくてはいけない」との使命感が強い。しっかりした後輩AV男優を育てなければ、と考えたり、秩序のないAV界を改革していかないといけないとか。


実は私も、一度だけこのチョコボール向井を取材したことがあり、彼はしきりに、

「AV男優のトップという自分の立場が、そのまま芸能界とかの他の世界にも横滑りでいけるようになりたい」

 と夢を語っていた。つまり「もっとメジャーになりたい」「もっと市民権を持ちたい」という上昇志向の強いタイプだったのだ。


頑張ってAV男優とAV界のステイタスを上げたい、と真剣に取り組む姿勢はエラい。批判は出来ない。

ただ、ちょっと重たすぎるというか、力み過ぎの感はある。

世の中、AV界に一般社会並みの秩序は求めてないだろうし、AV男優に「良識」を求めたりもしない。見る者をコーフンさせてくれればそれでいいのだ。

楽屋で後輩男優が先輩にちゃんと挨拶できなくても、別にどうってことないのだ。


私は別に「AV男優」という職業を差別する気はない。しかし、「地位向上」みたいなことを考えるなら、それよりもテクニックを磨くとか、Hの見せ方を工夫するとか、そちらの方向に向上心を向けた方がいいのではないか、と思ってしまう。

背伸びしたってしょうがない。自分のいる世界の中でトップなら、それでいいじゃないか。


すでにこの本が出来てから10年。今、この著者がどんなことをしているのかも、少し興味はある。 






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