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2016-05-28 12:49:31

漢方  日本人の誤解を解く

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漢方―日本人の誤解を解く/講談社
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 いつもお世話になっている長崎の東洋医学医師・田中保郎先生からお借りした本。

「もっと東洋医学を知ってほしい」

 といわれて、さっそく読む。


 著者は、どうしても難しいイメージのある漢方医学を、どうすればわかりやすく語れるか、相当、考えた

のだろうな、中心テーマを「寒熱」、つまり体質的に「寒」の人と「熱」の人、それに漢方薬や食べ物についても「寒」のものと「熱」のもの、その中間にあたる「平」のものに分類した。その上で、体調を整えるというのは、この「寒」「熱」のバランスをうまく保ち、中庸の状態にもっていくことだ、と明快に説いている。


 もちろん「単純化」といった安易なものではない。漢方医学が一人ひとりの異なった体質と相対するオーダーメイドの医学だといっていて、その個々人のバランスをとることの大変さは読んでいてある程度まで感じられてくる。


 漢方医学と西洋医学との比較の中で、現代人がどれほど科学崇拝の「科学教」にかかっているか、といった指摘も、大いに納得できる。

 たかが最近200年くらいで作り上げられた「科学」。それをもとに出来た西洋医学。確かに臓器移植を可能にするくらいにテクノロジーは進歩したかもしれないが、果たして「科学」がすべての価値基準になるほどの代物かという点について、著者は大いに疑問を投げかけている。

 がんはもちろん、アレルギー、アトピーだって、西洋医学ではちゃんと治せないし、人間の中にある腸内細菌の数だって、実はぜんぜんわかってないんだしね。


 「科学」って言ったって、人間の体のこと、地球や宇宙のことのたぶん1%もわかってないんじゃないかと思う。それを盲信するって方が、よっぽどおかしいんじゃないか。少なくとも医学について考えれば、西洋医学の200年に対して、漢方医学には数千年の歴史があり、それだけ多くの患者を診た結果、生まれている分、「人体実験」はたっぷりできてる。


 医師は治療家である前に思想家であれ、との著者の主張も説得力がある。

「治療マシン」として、患者の体内の、悪くなった部分を切って取り替える、といった機械の部品交換のようなやり方が、果たしてその患者を本当に幸せに出来るのか? それよりも人間の幸せな生き方をとことん追求し、患者個々人の「体質」に沿って手を差し伸べるべきではないか?


シンプルに、しかし深く「漢方医学」をわからせてくれる本だ。

 

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2016-05-22 01:46:35

時代を喰った顔

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時代を喰った顔/中央公論新社
¥1,404
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 カメラマンである著者が、ちょうど写真誌のように、写真と文章で「時代の顔」たちを記録していく。全編モノクロ。みんな、かつて著者がいろいろな雑誌の仕事で撮りためた写真だ。


 そして、登場する「顔」たちが、実にどうも懐かしいのだ。70年代くらいからバブル期に至るまで。要するに、私にとっても青春真っ盛りだった時期に時代の中心にいた人物たちが次々と出てくる。


 若き日の松田聖子や、20代の藤圭子、戸塚ヨットスクールの戸塚宏から、角栄、中曽根、大平正芳、それに自殺した中川一郎とその秘書だった鈴木宗男、長嶋や野村といった野球人、バブル期に大儲けした不動産屋

や若き日の孫正義、立花隆や梅原猛のような文化人もいれば、タモリ、赤塚不二夫もいる。

 笹川良一、児玉誉士夫、赤尾敏といった右翼系の人物もいるしダライ・ラマもいる。

 なんと、40歳そこそこだったドラルド・トランプまでいる。


 文章はあえて読まず、写真だけ眺めていても、あの日本がやたらと元氣だった時代がよみがえってくる気がする。


 多くの人たちは亡くなり、何人かは時代の中心から離れていき、また何人かはいまだに中心にいる。

 

 このころの日本人て、全体的に自信に満ち溢れた顔をしてたな、と再確認。政治家でも芸能人でも、そういった「自信」を、見ていてあまり感じなくなった昨今なのだ。

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2016-05-20 01:38:34

頼朝の武士団

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頼朝の武士団 ~将軍・御家人たちと本拠地・鎌倉 (歴史新書y)/洋泉社
¥961
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 これ、歴史新書の中でも、だいぶ「邪道」側に属する本だ。

 古文書の現代語訳に、「何言ってんの!? おめェ!」とか、「アイツ、バラしちゃいましょう」とか、くだけ過ぎの言葉を頻繁に使うわ、御家人にとって頼朝がいかに「アイドル」だったかのたとえにAKBを持って来たり。

 ウルサいっちゃ、だいぶウルサい。いい加減にしてほしい気もした。


 ただ創立当時の鎌倉幕府の様子を、カラオケルームや居酒屋やゲーム・イベント会場もある武士たちの交流の場、としたあたりは不思議な説得力があった。


 しかも、時代を追って書いていく編年体でもなく、エピソードごとに列挙していく「エピソード集」でもなく、

「鎌倉」「鎌倉幕府」「頼朝」などを章ごとのテーマに据えつつ、全体を読むと鎌倉幕府創立時のむちゃくちゃな勢いや頼朝と御家人たちとの関係性が鮮やかに見えてくる、ツボにはまった構成になっている。


 「残虐」と「ほのぼの」、「物騒」だけど「ゆるい」ってぃう、当時の武士たちや鎌倉の雰囲気も、何となく感じ取れる。

 たとえ仲がいいはずの相手とも、カッとなったら平気で殺し合う反面、死罪を宣告された者でも、うまく逃げ切れば「ま、いいか」と許されてしまうようなアバウトさもある。

 野蛮で、どんだけ無茶をするかわからないながら、純粋に頼朝を崇拝する無邪気さも持っている武士たち。


 頼朝にしたって、ただ、陰険に粛清をするだけの男ではない。どんな端っこの御家人であっても、全員の情報を頭に入れて、時には「お前のことは気にかけてるよ」とフォローする。トップとしては相当うまい。


 初めて出来た「武士の都」で、みんなが連日、「御祭り気分」で盛り上がっていた様子も伝わってくる。


 あと、心に引っかかったのは、突然、著者自身が、大豪族たちにバカにされていた弱小御家人たちと自分の境遇を重ね、自分の学歴について、恨みつらみをまくしたてる部分が出てきたこと。

「卒業した大学を「弱小私大」「三流私大」と嘲笑われ、研究者としての実力とは無関係に、卒業した大学を理由に「一流大学」とやらを出たヤツから見下され、ハラワタが千切れそうなほど悔しい思いを、何度も、何度、何度も、何度も、何度も・・・・、して来た私には」

 とご丁寧に「何度も」を5回も繰り返している。よっぽどたくさん悔しい思いをしてきたんだろうな。


 これは、「邪道」っぽい内容になるのも無理はない。オツにすまして、学者然として文章はイヤだったのだろう、というのも少しわかる。


 ちなみにこの著者の略歴を見ると、東洋大学の大学院と立正大学の大学院で学び、現在は国学院大学と東洋大学の非常勤講師。著書もいくつもある。仕事先が見つからない「オーバードクター」が溢れている昨今、うまくいってる方じゃないかという気もする。

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2016-05-12 00:29:46

人身売買・奴隷・拉致の日本史

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人身売買・奴隷・拉致の日本史/柏書房
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 これ、なかなか視点がエグい。歴史の中の「暗部」として常に行われてきたことなのに、案外、このテーマを取り上げた本ががない。


 まず古代日本の「奴婢」から始まって中世まで、朝廷や幕府は極力、人身売買に歯止めをかけようとしたものの、たびかさなる飢餓もあったりして、飢え死ぬくらいなら「奴隷」になってもメシが食えた方がいい、との極限状態ゆえに、人身売買はなくならなかったようだ。
 

 驚くのが、古代から中世でも、なぜか女の一人旅が思いのほか、盛んだったらしいこと。今とは比べものにならないくらい危険な道のりで、強姦されたり、拉致されて売られたりする可能性は高かったのに、けっこういたらしい。性的にオープンだったのかね。

 

 室町期にあっても「倭寇」などによる拉致や人身売買は盛り上がったいたようだ。


 が、やはりピークは戦国期。しょっちゅう、戦争の連続なわけで、特に、下っ端の「雑兵」にとって、ろくに給料もない立場としては、人をモノを略奪する、すわゆる「乱取り」が給料代わりになったらしい。

 そりゃ、止めようったって、止まらない。

 決してほめられた行為ではないが、戦争には略奪はつきものだからな。よほど統率力のある、織田信長みたいな大将でないと、抑えはきかない。


 ただ、それ以上に注目したいのが、ポルトガル商人による日本人奴隷の海外での売買。

 これは許されんでしょ。キリスト教の宣教師たちも、「困ったこと」といいつつ、「彼らがキリシタンになるなら」と半ば黙認、中には積極的に売買に関わっていた人間もいたらしい。


 その彼らの言い訳が、なんと「日本人の方が売るから」。戦国期、戦争捕虜だけでなく、生きる糧を得るために自分の妻子を外人に売る人間はやたらと多かったらしい。

 でもそれだからって「日本人が悪い」と責任を押し付けて奴隷売買やるキリスト教徒に、「愛」だの「信仰」だの語る資格はないでしょ。「善人」のツラをして、裏で悪魔以上のことをするっていうあたりに、キリスト教の「偽善」が見えて、とても気持ち悪い。


 日本人も「朝鮮征伐」でさんざ略奪行為はやったようだが、こういう「偽善」の匂いはあまりない。「どこが悪いんだ」と開き直った感じ。いいわけないが、いやらしさがない。


 ポルトガル商人による日本人奴隷の売買を誰より怒ったのは秀吉だが、「やめろ」と抗議した大きな理由は、倫理的なものより、「そんなに連れてったら田畑を耕す人間がいなくなる」という方だったとか。

 また、中には自分から志願して外人に売られ、東南アジアについたら逃げ出して一旗揚げようともくろんだ連中もけっこういたらしい。


 だいたい女の奴隷なら家内労働やセックス目的が主ながら、男並みに肉体労働をさせられたケースも少なくないらしい。男は傭兵として使われたこともあったようだ。


 遠い過去の話のようでいて、21世紀の今でも、戦争やってるような国では日常茶飯事のようにこんなことが起きてる。人間は懲りるってことを知らない。

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2016-05-06 23:49:06

真田幸村と真田丸の真実

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真田幸村と真田丸の真実 徳川家康が恐れた名将 (光文社新書)/光文社
¥864
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 最近、私が楽しみにしているテレビ番組といえば『ブラタモリ』と『真田丸』。『真田丸』は6時からはじまるBSの方を見てるくらいハマってる。


 で、ついこの本を手にしてしまったわけだが、やたらと出ている「真田丸便乗歴史ウンチク本」の中では、なかなか良くできている方。


 一言でいうと、伝説や逸話だらけの「真田幸村」についても触れつつ、実像としての「真田信繁」にも触れている点だろう。

 しっかり「真田十勇士」の一人ひとりも紹介しつつ、これはあくまで立川文庫が作ったものですよ、という注釈も忘れない。

 その一方で、九度山での昌幸・信繁親子がどれだけカネに困っていて、昌幸も「打倒徳川」なんて気持ちは全くなくて、早く上田に帰りたかった、という実像にも触れている。意外に、こうしたビンボったらしい実像部分が、通常のウンチク本ではなおざりになりが゛ちなのだ。


 ほどよく大坂冬の陣、夏の陣の活躍も描かれていて、バランスのいい「真田本」といえる。

 案外、こういうの、少ないんですよ。

 

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