臨終の言葉 | 山中伊知郎の書評ブログ

臨終の言葉

臨終の言葉―時代を生きた258人最期のメッセージ/主婦の友社
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 どうも、先日、私の7歳下、つまり53歳の友人が亡くなったのもあって、ここのところ、ことに「死に方」に興味がある。ただ、この本を読む限り、「家に帰りたい」とか「痛い」とか、最後の言葉は、ごく当たり前のことを言って死ぬ人が多いようだな。

 それよりも、ついつい、何歳で死んだかに目がいってしまう。
 ここにおさめられているのは日本人ばかりで、功成り名とげて死んだ人も多いために、高齢者もけっこういる。ただ、若くして死んだ人も少なくないし、今の還暦の私よりずっと年上で死んでると思っていた人がまだ50代でなくなっているのを発見して、驚かされる。

 越路吹雪だの小池朝雄だの開高健だの高見順だの、みんな年寄りになってから死んだイメージがあったのだが、揃って死んだのは50代だったんだな。
 だいぶ年代は違うにしろ、夏目漱石なんて49で死んでる。
 38で死んだ太宰治だの、37で死んだ宮澤賢治のような「早死に」のイメージが強い人たちが一方ではいる。
 だが、少なくとも越路吹雪や開高健には、「早死に」のイメージがない。そんな人たちよりも、自分は長生きしてる、ということが、軽いショックなのだ。

 私も、そろそろ「いつ死んでもおかしくない」年代に差し掛かったってことでしょう。