「家族」難民
- 「家族」難民: 生涯未婚率25%社会の衝撃/朝日新聞出版
- ¥1,728
- Amazon.co.jp
また狙ってきてるな、というのが、まず本の表紙を見た印象。
この著者、「格差社会」「婚活」「パラサイト・シングル」など、いわゆる流行語になりそうなキーワードを作り出してはヒットさせてきた人物。
古い社会や家族制度の崩壊と、それに伴う新しい流れについて、実にうまいところに目をつけて、ポイントになる部分に的確なタイトルをつける。学者というより、コピーライターの才能の方があるんじゃないかと思うくらい。
その人が、2014年に出したのが、これ。残念ながら、「家族」難民は、今年の流行語にはならなかったものの、今回もなかなか、いいとこついてくるな、と感じた。
要するに、家族のフォローを得られないシングルが急増してるってこと。著者はクドいくらいに、「シングルを選ぶかどうかは個人の自由なので、その生き方についてはとやかくは言わない」と最初に語っている。その上で、人口減、年金をはじめとする社会福祉制度のいき詰まりなど、社会に及ぼすマイナスの現象について触れていく。
構成は、ほぼ予想したとおりだな。前半はもっぱらシングル急増の現状とその要因、歴史的経緯について語り、後半はその問題点と、「家族」難民にならない方法について語っている。
特に説得力があった部分は、もともと日本の社会制度は夫婦と子供二人、といった「標準家族」を基本にして社会保障制度が成り立っていて、「家族」のスタイルが変化してしまった現状では、もっと個人単位の保障に変えていかなくてはいけない、というところ。これは納得。
ただ、家族難民にならないための具体的方法として、活発な「婚活」や、ルームシェアをあげるのはどうかね。それくらいで克服できるのなら、こんなに急にシングルは急増しないでしょ。不安定雇用で結婚するだけの経済的裏づけのない男性を減らすとか、そういう問題を解決していかなくてはどうにもならないし、まず解決は難しい。
どのみち、読者の側も、この本に解決策を求めてるわけじゃないしな。私だって、「次はどんなネーミングでくるのか」に注目して手にとったんだし。