日本史集中講義 | 山中伊知郎の書評ブログ

日本史集中講義

点と点が線になる日本史集中講義/祥伝社

¥1,512
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よく読む井沢元彦歴史本の一つ。
これは、学校で学ぶ日本史の教科書が、どれだけ一面的で、「点」でしかない歴史の記述にあふれているかを指摘しつつ、「点と点をつなげて線にしたら、こんなに意外でオモシロい実像が見えてくる」というのを実例付きで綴っている。

中身としちゃ、やはりすでに読んでることは多い。信長の比叡山焼き討ちなんて、構成から見ると蛮行のように思われるが、実は戦国時代は宗教勢力こそが最大の武装集団だったのを忘れてはいけない、とか、最悪の法律のように思われている「生類憐みの令」にしても、戦国以来の殺伐とした日本人の気風を改めるためには非常なタイムリーな法令だった、とか。

ま、現代人の常識と当時の人たちの常識とはまったく違うわけで、それをただ「点」として書いてしまうと、なぜそれが起こったか、なぜそれが作られたか、という流れがまったくわからない、と著者は説く。

歴史は、結果が原因となり、また次の結果を生む、その繰り返し、なんの原因もなく突然起こることなんてない、そういうことをわかりやすく語ってくれる本だ。