皇位継承と万世一系に謎はない

皇位継承と万世一系に謎はない (扶桑社新書)/扶桑社

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著者は「新皇国史観」を提唱しているとかで、まあ、はっきりいって、天皇制があったからこそ、日本は２千年もまとまってこられた、という、いわば「右」側の立場。

戦後の教育が「日本書紀」や「古事記」を軽視し、かえって「魏志倭人伝」の卑弥呼を実質以上にもてはやしたのは許せん、といったあたりは、なかなか説得力がある。そら確かに伝説の部分も多いかもしれないとしても、日本で正式に作った歴史書が、外国で作られた歴史書の断片よりも軽んじられるとしたら、ちょっとおかしい。

継体天皇が新王朝を建てたという説が、ありえない俗説である、との見方もなるほどと感じた。どうも継体天皇って、王朝簒奪者の割には地味で、あまりエピソードのない人物。もし何かやらかしたのなら、もっといろいろ伝説が出てくるはず。

本は古代から中世、近世から現代まで進み、雅子妃が皇太子妃として適任だったかの問題から、皇位継承問題まで触れられている。天皇制の歴史の流れをチェックするのに、なかなか適した内容といえる。

ただ、残念なのが、神武天皇にあたる人物が日向で生まれた、との記述はあるものの、そのルーツについてはあいまいなままになっていることだ。半島からやってきた可能性が高いなら、やはり触れてほしいし、

そうでない可能性が高いなら、その理由も書いてほしい。

天皇制が「偉大」だったことと、そのルーツが半島にあったことは決して矛盾しないのだから。