貧乏クジ世代 | 山中伊知郎の書評ブログ

貧乏クジ世代

貧乏クジ世代―この時代に生まれて損をした!? (PHP新書)/PHP研究所
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 本を出して当てる近道の一つとして、タイトルに、いかにも流行語になりそうなフレーズを使うってことはある。「格差社会」だの「負け犬」なんてのは、まさにそれを狙って、見事に成功した例だろう。

 だが、うまく行く、っていうケースは、そう名付けるとピッタリな人たちや事象があって、みんなが読んで「なるほど、そういうネーミングはアリだな」と納得しなくちゃいけない。

 その点で、この「貧乏クジ世代」というのは、そもそも対象となる世代がアイマイ過ぎる。一応、団塊ジュニアを中心とした70年代生まれあたりを指すらしい。バブルに間に合わず、楽しいことが終わって大人になった人たちというわけだ。

 

 ところが、後半では、60年代生まれで、仕事をしてきたために結婚できなかった「負け犬」たちや、80年代以降生まれの、豊かだけど恵まれているとは感じられない世代も「貧乏クジ世代」に入れてしまっている。こうなると、広がり過ぎて、言葉としてのインパクトが弱すぎる。

 これでは流行語にはなれない。