イエズス会
- イエズス会―世界宣教の旅 (「知の再発見」双書)/フィリップ レクリヴァン
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「イエズス会」といえば、フランシスコ・ザビエルをはじめ、日本史や世界史の中に登場する過去のモノ、となんとなく思い込んでいたが、ぜんぜんそうじゃないんだな。
日本でも上智大学や栄光学園をはじめ多くの学校を運営しているのをはじめ、世界中に活動域は及び、今でもキリスト教、ことにカトリックの普及のために働いているのだ。
それをこの本を読んで、知った。
しかし、この中の歴史に関する記述を見ていくと、どうもイエズス会賛美の論調があまりに強すぎる。
たとえばアフリカでは、ヨーロッパの奴隷商人と戦い、奴隷を解放したとか、南アメリカでは、スペイン人たちが軽蔑した地元のインディオ芸術をイエズス会員だけは評価した、とか。
著者も監修者もイエズス会の会員らしいので、それは仕方ないのかもしれないが、食い足りない、っていえば食い足りない。
あくまで噂とはいえ、ローマ教皇の教えを広げる「布教軍団」として、イエズス会は、数々の陰謀や、外国への侵略に加担した、といわれているではないか。そのあたりのことを、客観的に紹介し、それが事実に即したものなのかどうかを検証する目も欲しかった。
著者の人選が、その意味では違うんじゃないかな。